出産時の心強い味方として知られる「助産師」。産科・産婦人科で働いたことがなくても、自身の妊娠・出産で助産師のサポートを受けた経験のある人はいることでしょう。
この記事では、助産師と看護師の違い、助産師の仕事内容や年収、助産師になる方法について紹介します。助産師の資格取得を視野に入れている看護師は、 参考にしてみてください。
助産師とは
助産師は母子の健康を支える専門職で、妊娠・出産・育児にいたるまでをサポートします。
妊娠中の健康診断や出産時のあかちゃんの取り上げだけでなく、出産後の母子の健康指導、母体の乳房ケア、新生児の健康管理なども行います。また正常分娩であれば、医師の指示がなくても自身の判断で助産介助をすることができます。助産院の開業が認められていることも、助産師ならではの特徴です。
「保健師助産師看護師法(保助看法)」の第3条には助産師について「助産師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」と記されています。つまり女性しかなることのできない専門職なのです。オーストラリアやイギリスなどでは男性の助産師が活躍していますが、日本では男性が助産師になることは認められていません。
出典元 :保健師助産師看護師法
助産師と看護師の違い
助産師と看護師の違いは、主に“資格”・“仕事内容”・“職場”にあります。
看護師になるには看護学校を卒業し、看護師国家試験に合格することが条件です。
助産師になるには看護師国家試験にくわえて、助産師国家試験にも合格する必要があります。なお、助産師国家試験を受験するには「看護師免許を取得し、 助産師課程を1年以上履修」または「厚生労働大臣が指定した助産師養成所を卒業」しなければなりません。
仕事内容については、医療機関で働く看護師が病気やケガの処置などを行うのに対し、助産師は主に、妊娠前後の女性の健康管理や分娩介助、新生児のケアを行います。そのため助産師の7割は病院で活躍しています。
看護師の活躍の場は病院だけでなく、介護福祉施設や保育施設などさまざま。看護師も産婦人科で働くことはできますが、仕事内容は妊産婦の健康管理やサポートにとどまります。助産師は「妊娠・出産にまつわるケアに特化した専門職」という点で、看護師と大きな違いがあります。
助産師と看護師はどちらも医療現場で重要な役割を果たしていますが、資格や仕事内容、ケアする対象など、多くの点で違いがあります。 この記事では、助産師と看護師の具体的な違いを解説します。また、給料や将来性についても詳しく説明していきます。[…]
助産師の仕事内容
ここからは、助産師の代表的な仕事内容について紹介します。
分娩介助
分娩介助は助産師の代表的な仕事のひとつで、出産時にあかちゃんが無事に産まれてこられるよう手助けをします。分娩介助において助産師は主に、分娩前の準備や分娩介助、分娩後のサポートを担当し、母子の健康を守ります。
この役割は、昔は“産婆さん”と呼ばれていたものです。1948年に“助産婦”と称され、2002年に“助産師”と改められました。江戸時代から令和の現在にいたるまで、長い歴史を持つ役割でもあるのです。
助産師外来
助産師外来とは、助産師が妊婦健診や保健指導などを行う専門外来 のことで、妊婦が安心して、心身ともに万全な状態で出産に挑めるよう支える場です。病院の産婦人科や産婦人科クリニックに開設されていることが多く、助産師は常に産婦人科医と連携を取り合いながら、妊婦と胎児の健康をサポートします。
従来は産婦人科医が一手に担っていたこの役割ですが、助産師の“同性ならでは”の視点や気配りが妊婦の助けとなると考えられ、多くの病院・クリニックで開設が進んでいます。
産後のケア
出産後の母体は疲れきっており、すぐに元気に活動できるものではありません。疲れや痛みがやわらぎ、体調が戻るまでの“産褥期”をサポートすることも、助産師の仕事です。母体に何が起きているのか、どんな助けを必要としているのか。それがわかるのは、妊娠・出産・産後のサポートの専門家である助産師だからこそ。 健康管理や生活指導などにより、出産後の母体の健康を守ります。
家族への指導やアドバイス
あかちゃんが産まれると、お母さんやお父さんになったり、お兄ちゃんやお姉ちゃんになったり、家族の立場は変わるものです。助産師は新たな家族を迎えるための指導やアドバイスを通し、あかちゃんとの接し方を伝えることで、退院後の生活環境の準備を手伝います。その一環でもある“母親学級”にくわえ、近年では“父親学級”や“両親学級”を開催する産婦人科や自治体も増えています。
助産師になるために必要なこと
助産師として働くには、助産師国家試験に合格する必要があります。
この試験に合格すると助産師免許が得られ、助産師として活動できるようになります。
受験資格を得るには、以下のルートがあります。
● 看護師課程・助産師課程を選択できる4年制大学や専門学校で必要な課程を学ぶ
● 看護師として働きながら助産師課程を1年以上学ぶ
なお、大学の看護学部や4年制の専門学校では、必修課程を修了していれば、卒業時に助産師と看護師の国家資格試験を同時に受験することが可能です。
助産師国家試験は年1回、2月に実施されます。合格率は毎年90%と比較的高く、多くの看護師が助産師として活躍の一歩を踏み出しています。
参照元:第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表
助産師の年収の目安
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、助産師の平均年収は570万円、看護師の平均年収は508万円です。助産師の仕事は生命の誕生にかかわる重大なもの。給与には分娩介助に対する手当が加味されています。
また助産師は看護師の上位資格です。それを考慮し、助産師に資格手当を上乗せして支給する医療機関もあります。
助産師の仕事の将来性
日本では少子化が進んでいますが、かといって子どもを持つ家庭がなくなるわけではありません。いつの時代にも子どもは産まれてくるもの。妊娠・出産・育児をサポートする助産師の仕事も“なくてはならないもの”といえます。
そうはいっても「子どもが減っているなら、助産師の需要も少なくなるのでは?」と不安に感じる人もいることでしょう。医師の高齢化による産院の閉鎖、産婦人科医を志す医師の減少などにより、出産を直接サポートできる助産師の手は、むしろ引く手あまたです。
また、妊産婦やその家族の多くは助産師の助言を求めており、母親学級・父親学級・家族学級の開催、育児相談の実施といった場面でも活躍が期待されます。産まれてくる子どもの数にかかわらず、助産師の活躍の場は着実に広がっています。
まとめ
生命の誕生に立ち会えることに魅力を感じたり、自身の出産を機に助産師の仕事にあこがれを抱いたり。助産師を志す看護師は多く、毎年たくさんの助産師が新たな一歩を踏み出しています。
生命の誕生を一貫してサポートできることにやりがいを感じ、助産師として長く活躍する人は少なくありません。年を重ねることにより妊婦から「ベテランの助産師さんがいてくれると安心できる」と信頼を寄せてもらえ、それに喜びを感じ「もっと長く続けていきたい」と考える人も多いものです。助産師の需要は安定しており、これから先もなくなるものではありません。やりがいと安定性、どちらも実現できる資格といえるでしょう。
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