毎年2月に実施される看護師国家試験は、看護師を目指す人にとって重要な関門です。試験の合格率は例年90%前後と安定していますが、合格ラインをクリアするためには“必修問題”と“一般問題・状況設定問題 ”それぞれの基準をクリアしなければなりません。
この記事では、看護師国家試験のボーダーライン、合格率の推移、最新の第113回試験の結果について、詳しく解説していきます。
看護師国家試験のボーダーラインは?
看護師国家試験における“ボーダーライン”とは、合格基準点のことです。
看護師国家試験は、大学入試のように多数の志願者の中から成績優秀者を選ぶ相対評価方式ではなく、厚生労働省が定めている合格基準点を満たした者全員が合格できる絶対評価方式の試験です。
試験の問題は、次の3種類に分かれています。
● 必修問題
● 一般問題
● 状況設定問題
このうち、次の2種類の分野で合格基準点が設定されており、両方のボーダーラインを満たせば、試験に合格できます。
● 必修問題
● 一般問題+状況設定問題
問題数 | 配点 | ボーダーライン | |
必修問題 | 50問 | 50点満点 | 40点(80%) |
一般問題 | 130問 | 130点満点 | 年度によって変動する |
それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
必修問題
必修問題のボーダーラインは、他の問題と比べてやや高めに設定されています。ボーダーラインは“80%”で、全50問中40問以上正解できれば合格基準点に達します。
必修問題には、「看護師として絶対に必要な知識を問う問題 」が出題されるため、高い正答率が求められるのです。必修問題で合格基準を下回ると、一般問題や状況設定問題の成績が良かったとしても不合格になってしまいます。しっかりと対策を立てて臨みましょう。
一般問題と状況設定問題
“一般問題・状況設定問題”のボーダーラインは、年度により変動します。それぞれの問題数と点数は以下のとおりです。
● 一般問題:全130問(1問1点)
● 状況設定問題:全60問(1問2点)
一般問題は130点満点、状況設定問題は120点満点で、 合わせて250点満点となります。
また、評価方式には受験者全体の得点率によってボーダーラインが変化する相対評価が採用されています。必修問題のように「80%を下回ると不合格」という基準のある絶対評価とは判定方法が異なるため、結果を確認するときには注意しましょう 。
なお、一般問題と状況設定問題の 合格基準点は、過去の得点率では60%台を推移しています。確実に合格を目指したい人は、70%以上の得点率を目標と設定し、受験勉強を進めていきましょう。
看護師国家試験のボーダーラインと合格率の推移
過去10年間の看護師国家試験のボーダーラインの経過を表にまとめました。
回 | 一般問題+状況設定問題のボーダーライン(点) |
104 | 159点/248点 |
105 | 151点/247点 |
106 | 142点/248点 |
107 | 154点/247点 |
108 | 155点/250点 |
109 | 155点/250点 |
110 | 159点/250点 |
111 | 167点/250点 |
112 | 152点/249点 |
113 | 158点/250点 |
表をもとにした“一般問題+状況設定問題 ” の平均ボーダーラインは約155点です。第106回のボーダーラインは142点、111回の試験では167点と、年度によって差があることがわかります。
また、満点が250点より下回る年もあります。これは、「難易度が適切ではない」「選択肢が不適切」「正解を選ぶことができない」といった理由で採点対象から除外された問題があるからです。これを“採点除外等問題”と呼びます。 採点除外等問題は、一般問題や状況設定問題だけでなく、必修問題に対しても指摘されることがあります。
なお、過去10年間の受験者数と合格率の推移は以下のとおりです。
回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
104 | 60,947 | 54,871 | 90.00% |
105 | 62,154 | 55,585 | 89.40% |
106 | 62,534 | 55,367 | 88.50% |
107 | 64,488 | 58,682 | 91.00% |
108 | 63,603 | 56,767 | 89.30% |
109 | 65,568 | 58,513 | 89.20% |
110 | 66,124 | 59,769 | 90.40% |
111 | 65,025 | 59,344 | 91.30% |
112 | 64,051 | 58,152 | 90.80% |
113 | 63,301 | 55,557 | 87.80% |
合格率に関しては、毎年90%前後で推移していることがわかるでしょう。年度によって多少の変動があることから、出題される問題の質や受験者の状況が異なることが推測できます。
看護師国家試験のボーダーラインと合格率の調べ方
看護師国家試験のボーダーラインや合格率は、簡単に調べることができます。毎年3月に、厚生労働省のホームページに試験の合格発表とともに提示されるのです。
受験地ごとに合格者の受験番号も掲載されているため、受験者はインターネット上で自身の合否を確認することができます。
またホームページには、保健師・助産師国家試験、医師国家試験など看護師以外の国家資格の試験結果も掲載されています。
参照元:国家試験合格発表|厚生労働省
第113回看護師国家試験の合格率・ボーダーライン
ここからは第113回看護師国家試験の合格率・ボーダーラインについて解説していきます。第113回看護師国家試験の結果をまとめると 、以下のようになります。
● 受験者数:63,301人
● 合格者数:55,557人
● 合格率:87.8%
● 一般問題+状況設定問題のボーダーライン:158点(250点満点 )
例年の平均合格率が90%前後という結果から 、第113回の試験の合格率は少し低いことがわかります。ただし“一般問題+状況設定問題 ” のボーダーラインは平均155点であり、例年と大きく変わらなかったといえるでしょう。
参考元:第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省
第113回看護師国家試験の採点除外等問題
第113回看護師国家試験には、採点除外等問題が6問ありました。
● 午前の問題:第5問・第23問・第25問
● 午後の問題:第2問・第11問・第21問
上記のなかで午後に出題された 第21問は、「設問が不十分で理解が得られないため」ということを理由に採点対象から除外されました。
それ以外の採点除外等問題は、「問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため」という理由で除外されています。「正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する」といった対応がとられました。
合格基準については厚生労働省の発表に、以下のような記載があります。
○第113回看護師国家試験の合格基準
必修問題及び一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし、
次の①~②の全てを満たす者を合格とする。① 必修問題 40点以上/ 49点
但し、必修問題の一部を採点対象から除外された受験者に
あっては、下表のとおりとする。② 一般問題
状況設定問題 158点以上/250点
引用:第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表|厚生労働省
このことから、必修問題のボーダーラインとなる点数は、間違えた問題が採点除外等問題かどうかによって少しずつ異なることがわかります。 これから看護師国家試験を受験する人は、このような情報が後日発表されることを頭に入れておきましょう。
まとめ
この記事では、看護師国家試験のボーダーラインと合格率の推移、最新の第113回試験の結果について解説しました。
看護師国家試験は必修問題・一般問題・状況設定問題の3つで構成されており、定められたボーダーラインをクリアすることで合格できます。とくに必修問題は、“80%以上”という高い合格基準が設定されているため、しっかりと対策を行いましょう。
過去10年間の推移を見てみると 、合格率は90%前後で安定していますが、これは試験自体が簡単であるということではありません。日々の積み重ねと計画的な学習を行うことで、ようやく国家資格を手にすることができるのです。
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