看護師の主な役割4つ!看護師にしかできないことを考えよう

看護師として経験を積んできた人の中には、自分が患者さん・利用者さんにとって、どのような存在であるべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。看護観は一人ひとり異なり、立場や状況、経験によっても変化します。理想の看護師像を明確化するためには、改めて看護師の役割を知っておくことが重要です。

本記事では、看護師の主な役割と各職場での重要性をご紹介します。

看護師の主な4つの役割

日本看護協会は2003年に公表した「看護職の倫理綱領」で、看護の目的を次のように定義しています。

・健康の保持増進
・疾病の予防
・健康の回復
・苦痛の緩和

出典:「看護職の倫理綱領」(公益財団法人 日本看護協会)

ここでは「看護職の倫理綱領」をもとに、看護師の役割と責務について詳しく解説します。

健康の保持増進

健康の保持増進とは、すべての人が健康な状態を維持し、その人らしい生活ができるよう支援することです。

より良い看護を提供するには、患者さん・利用者さんだけでなく、保健・医療・福祉に関わる人たちの協力が必要です。医師や薬剤師、管理栄養士など、あらゆる関係者と情報共有や相互理解を深めながら、最善策を考えなければなりません。

疾病の予防

疾病の予防は、すべての人の価値観や背景、思想を尊重しながら、生活習慣や食生活などの見直しを促し、病気を防ぐことです。

患者さん・利用者さん本人の望む生活ができるよう、ほかの看護師や医師に情報を共有したり、改善策を提案したりして、一人ひとりが納得のいく選択をするための合意形成をします。

また、その決定において患者さん・利用者さんの積極的な協力を促します。個々がもつ潜在的な能力を最大限に発揮できるよう支援する重要な役割のひとつです。

さらに、実施結果に責任をもち、患者さん・利用者さんと信頼関係を築くことも重要です。自分が専門職であることを理解し、人々の健康や福祉に寄与できる立場としての責任を果たします。

健康の回復

健康の回復とは、一人ひとりの意思決定を尊重した最善策を実践し、健康状態の回復を促すことです。

看護を提供する上で重要な「平等」という考え方は、単に同じ看護を提供するという意味ではありません。その人の個性やニーズに合った看護ケアを提供し、ともに回復への道を歩みます。

もし、自分の能力を超える看護が必要になった場合は、上司や同僚のほか、医師に支援やアドバイスを求めたり、サポートを求めたりします。

苦痛の緩和

苦痛の緩和とは、身体的・精神的苦痛を和らげるために支援することです。

看護師は患者さんやその家族が抱える苦痛を理解し、緩和のためのケアを施し、日常生活がより快適になるようにサポートします。

また状況に応じて、看護師は患者さん・利用者さんの代弁者として、患者さん・利用者さん本人が本当に望む治療やケアを受けられるよう、医師や家族にはたらきかける役割も担います。

【職場別】看護師の役割と重要性

働く職場によって、看護師に求められる役割は異なります。ここからは、それぞれの職場における重要な役割と重要性について説明します。

【病棟】入院患者の生活を支えること

病棟看護師の重要な役割は、入院中の患者さんの安全と快適な生活を支えることです。

病棟看護師は、患者さんの入院中の生活行動を観察し、体調の変化や患者さんの予備力がどの程度あるかを把握しながら治療の経過を見守ります。

食事、排せつ、入浴などの身体介助は、看護師が行うケースも多いでしょう。食が進んでいるか、便や皮膚の状態はどうかなど、介助をしながら観察し、不調が見られたら医師へとつなぎます。

また、夜間巡回の際はきちんと眠れているか、容態の変化がないかを確認します。点滴の自己抜去や不穏などの兆候が見られた場合は、心を落ち着かせる役割も担います。

このように、患者さんが安心して治療を受けられるようにサポートすることが、病棟看護師の重要な役割です。

【クリニック】身近な相談者として患者さんのケアをすること

クリニック看護師の重要な役割は、身近な相談者として患者さんの看護にあたることです。

クリニックは、患者さんが体調不良を起こしたときに、最初に相談する場所です。困ったときに安心して頼れるように、居心地の良い雰囲気や環境をつくることが求められます。

また、クリニックの中には地域密着型の事業所も多くあります。何でも相談できるかかりつけ医として地域住民の健康を支えます。病院と比べると、患者さんとの距離感が近いことが特徴です。

【訪問看護ステーション】その人らしい暮らしの実現を支えること

訪問看護師の役割は、医療と生活の両方の観点から、利用者さんにとっての最適な暮らしを支援することです。

そのためには、利用者さんの普段の状態を把握し、不調や不穏の早期発見や、医療機関への橋渡しを行います。

また、利用者さんの病状の変化や生活上の困難について、主治医やケアマネジャーへ共有し、連携を取りながら解決へ導きます。

訪問看護師の役割ややりがいについては、以下の記事でご紹介しています。

【訪問看護への転職】メリット・デメリットや成功のポイント

【一般企業】従業員の健康管理を通して労働環境の整備を進めること

産業保健師の重要な役割は、企業で働く従業員の健康管理を通して、医療面から労働環境の整備を進めることです。

健康上のリスクが高い従業員を早期発見し、事業運営と健康管理の両方の視点から解決策を提示することが求められます。例えば、繁忙期の長時間労働によって、睡眠障がいがみられた場合は、有給休暇を取得するなどの提案をします。

従業員だけでなく、人事担当者、経営者、産業医などのあらゆるステークホルダーと関わりながら、健康面でも健全な企業経営ができるよう貢献することが産業保健師の責務なのです。

【保育園・幼稚園】医療の専門家の視点で子どもたちの健全な成長を支えること

保育園看護師、幼稚園看護師の重要な役割は、医療の専門家の視点から、子どもたちの健やかな成長を支えることです。

子どもは自分で体調の異変を説明することが難しく、気づいたときには体調が悪化していることがあります。普段から子どもたちの様子を観察し、早期発見・早期治療へとつなげることが重要です。

また、保育園や幼稚園は感染症が急速に広まる可能性が高く、予防に努めなければなりません。保護者や園内への周知とアドバイスを行い、子どもたちの健康を守ることが大切です。

保育園看護師の仕事内容や向いている人については、以下の記事でご紹介しています。

保育園看護師の主な仕事内容とは?メリットや向いている人も紹介

まとめ

今回は、さまざまな医療福祉現場における看護師の役割や重要性を解説しました。

どの職場においても、患者さん・利用者さんの心に寄り添い、ニーズを読み取ることは、看護師にとって大切な責務です。また、異常を早期発見し、最適な処置やケアにつなげることも、より良い医療を提供する上で非常に重要です。

看護師は、自分の判断が患者さん・利用者さんにとって大きな影響を及ぼすことも多く、責任の大きい仕事ですが、その分やりがいを感じられます。

改めて、看護師としての役割を振り返り、今後自分がどういうキャリアを歩みたいのか、理想の看護師像を実現するにはどうすれば良いのかを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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