呼吸療法認定士とは?役割や資格取得の条件、流れ、合格率について解説

呼吸療法認定士とは?役割や資格取得の条件、流れ、合格率について解説

呼吸療法認定士とは?役割や資格取得の条件、流れ、合格率について解説

呼吸療法認定士とは、呼吸器疾患をもつ患者に対し、専門的な呼吸管理を行うための資格です。

この記事では、呼吸療法認定士の役割や資格取得の条件、流れ、合格率について解説します。資格を取得するメリットもお伝えするので、呼吸療法認定士について興味がある人、呼吸疾患の患者を受け入れる病棟などで働く人は、参考にしてください。

呼吸療法認定士とは

呼吸療法認定士は、呼吸器疾患の患者に対して専門的なケアを提供するための資格です。

近年、医学の進歩により、長寿は比較的叶いやすくなっています。そうした社会の流れとともに、呼吸療法を含む重症管理患者が増加する反面、呼吸療法に精通した医療スタッフの不足が深刻な問題となっています。

そこで、日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会が3学会合同で、呼吸療法認定士の資格制度を創設しました。この制度は、看護師・准看護師・臨床工学技士・理学療法士・作業療法士の有資格者が呼吸療法を習熟し、より高度な呼吸管理を行えるようになること、またレベル向上を図ることを目的としています。

呼吸療法認定士は、医療チームの一員として、患者の呼吸状態を評価し、最適な治療法を提案します。また、患者やその家族に対して、呼吸管理の方法を指導することも重要な役割です。

呼吸療法認定士を取得する方法

呼吸療法認定士の資格を取得するまでの流れや、試験を受けるための条件、費用、合格率、資格の更新における注意点について解説します。

資格取得までの流れ

呼吸療法認定士の資格取得までの流れ

呼吸療法認定士の資格取得までの流れは、以下の通りです。

申請書類提出日から過去5年以内認定委員会が認める学会や講習会に出席
12.5点を取得
2月中旬〜3月Eメール登録
申し込み書類の作成
4月中旬申し込み書類を郵送
※「特定記録郵便」のみ
8月下旬〜9月認定講習会に参加
※「会場+eラーニング」「eラーニングのみ」から選択可
12月上旬認定試験
12月下旬〜1月合格発表

出典:公益財団法人医療機器センター
出典:公益財団法人医療機器センター 医療従事者向け講習会・試験第29回3学会合同呼吸療法認定士 認定講習会及び認定試験
出典: 第29 回(2024 年) 3 学会合同呼吸療法認定士認定講習会および認定試験 実 施 要 領 【講習会受講用】

認定試験を受けるための3つの条件

看護師としての実務経験2年以上

呼吸療法認定士の認定試験を受けるためには、以下のいずれかの免許を保有し、かつ、少なくとも2年以上、常勤としての実務経験を積んでいる必要があります。

 看護師
 准看護師
 臨床工学技士
 理学療法士
 作業療法士

また、実務経験の年数は、それぞれの免許を取得した日から、申請書類の作成日までです。看護師や准看護師の資格を取得してから申請までのあいだに、実務経験が2年以上あるか、確認しましょう。

講習会や学会の参加によって12.5点以上を取得

呼吸療法認定士の資格を取得するためには、認定委員会が認める講習会や学会に参加し、12.5点以上の点数を取得しなければなりません。また、講習会や学会の参加は「受講の申込時からさかのぼって5年以内」と明確に定められています。必ず確認しましょう。

以下は、講習会・学会への出席または講演をした場合の取得点数です。

<講習会への出席・講演>(委員会が認める他の学会・団体などが主催する講習会)

取得点数
受講時間が半日の場合12.5点
受講時間が1日の場合25点
講師として講義した場合30点

<委員会が認める学会への出席・発表・講演>

取得点数
出席20点
呼吸療法に直接関連した演題の座長20点
呼吸療法に直接関連した演題の第1演者20点
呼吸療法に直接関連した演題の共同演者10点
講師として講義・講演した場合30点

<学術論文>
呼吸療法関連の学術論文を学会誌あるいはそれに準ずる医学雑誌に発表した場合

取得点数
第1著者50点
共同著者15点

資格取得の申請には、受講証や修了証等の写しが申請に必要です。それらを提出することで、必要な点数を取得した証明となるからです。なくさないよう保管しておきましょう。また、認定委員会の公式サイトで必要な取得点数について確認することも重要です。

講習会や学会の詳細は、公益財団法人医療機器センターの公式サイトで確認できます。

出典:公益財団法人医療機器センター

認定講習会の受講

呼吸療法認定士の資格を取得するためには、認定講習会を受講する必要があります。

2024年の認定講習会については「eラーニングのみ」もしくは「会場+eラーニング」の2つの受講方法が公開されています。受講方法によって、日時や定員、受講料、会場などの受験概要が変わります。以下は、2024年の概要です。

eラーニング会場+eラーニング
開催期間9月5日(木)~9月30日(月)8月24日(土)~8月25日(日)
定員3,000名290名

※定員超過の場合は抽選でeラーニングに振替

受講料

(税込)

20,000円30,000円
会場eラーニング推奨環境砂防会館別館

(東京都千代田区平河町2-7-4)

備考・インターネット環境を通じて受講・会場講習を収録した動画研修形式

・eラーニングも含まれる

出典:公益財団法人医療機器センター

認定講習会の講義内容は、以下の通りです。

  1. 血液ガスの解釈
  2. 呼吸機能とその検査法
  3. 呼吸不全の病態と管理
  4. 呼吸リハビリテーション
  5. 酸素療法
  6. 人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス
  7. 気道確保と人工呼吸
  8. NPPVとその管理法
  9. 開胸・開腹手術後の肺合併症
  10. 新生児・小児の呼吸管理
  11. 人工呼吸中のモニター
  12. 人工呼吸中の集中治療

認定講習会の開催期間や定員・会場・講習内容などは、年度によって異なります。公益財団法人医療機器センターのホームページ上で確認しましょう。

認定試験にかかる費用

呼吸療法認定士の認定試験は試験は年に一度行われ、受験日程や費用が定められています。

2024年度の受験資格と認定試験の日程・受験料は、以下の通りです。

受験資格第29回認定講習会を受講した人
第29回認定講習会の受講を免除された人
日程2024年12月上旬(日)
開場:11時
終了:16時(予定)
会場東京都内
※6月下旬に案内
受験料10,000円(税込)

出典:公益財団法人医療機器センター

出典:公益財団法人医療機器センター|認定士に関する情報

資格の更新について

呼吸療法認定士試験に合格すると「3学会合同呼吸療法認定士認定証」が発行され、晴れて呼吸療法認定士になれます。ただし、この認定証には有効期限があり、5年ごとに更新が必要です。この更新制度の目的は、認定士のスキル向上や継続的な学習を推進することにあります。

更新には、委員会が指定する学会や講習会への参加、論文発表などを通じて、50点以上の得点を取得している必要があります。更新に必要な書類をそろえ、指定の期間内に委員会に提出することで更新が完了します。

 認定証の有効期間:5年間
 更新期間:認定5年目の4〜9月
 更新条件:学会や講習会への出席、論文発表などで50点以上の取得
 更新手続き:点数取得証明書など、必要書類の提出
 更新審査手数料:3,500円

更新受付期間は認定5年目の4月から9月までです。この期間内に更新手続きを完了させる必要があります。詳細は、公益財団法人 医療機器センターの「認定更新申請手続きについて」を確認しましょう。
出典:公益財団法人医療機器センター|認定更新制度

呼吸療法認定士の合格率

呼吸療法認定士の過去5年間の合格率の推移は、以下の表の通りです。

回数(年度)合格率(%)受験者数合格者数
第24回(2019年/令和元年)67.24,7743,210
第25回(2020年/令和2年)69.11,238855
第26回(2021年/令和3年)70.03,4202,393
第27回(2022年/令和4年)68.53,8682,648
第28回(2023年/令和5年)66.13,6872,438

出典:公益財団法人医療機器センター

2023年(令和5年)の認定試験の合格率は66.1%、直近5年間の認定試験の合格率の平均は約66%と、難易度は高めです。

また、2023年(令和5年)の医療資格別の合格者数は、臨床工学技士が全体の79.4%と最も多く、次いで理学療法士66.7%、看護師64.2%、作業療法士58.9%、准看護師26.3%でした。

出典:公益財団法人医療機器センター|3学会合同呼吸療法認定士 医療資格別合格率推移

呼吸療法認定士資格を取得するメリット

呼吸療法認定士の資格を取得するメリットとして、個人の専門的な知識やスキルの向上、所属する医療チーム全体のスキルアップなどがあげられます。

呼吸に関する知識やスキルの向上

比較的、難易度が高い資格ですが、呼吸療法認定士の資格を取得することで、呼吸に関する専門的な知識やスキルが向上します。これにより、患者さんに対し、より質の高いケアを提供することができます。

また、最新の治療法や技術に関する情報を常に学び続けることができ、自己研鑽の機会になるでしょう。特に、人工呼吸器などの医療機器は常に新しいものが出てくるため、そういった機器の取り扱いにも自信を持つことができ、医療現場で即戦力として活躍できるでしょう。

所属する医療チーム全体のスキルアップ

呼吸療法認定士の資格を持つことで、所属する医療チーム全体のスキルアップに貢献することもできます。

例えば、同じ部署で働く医療スタッフへ知識やスキルを共有するために勉強会を開いたり、後輩スタッフへの指導を行ったりするのです。

チーム内への専門知識の共有や指導・アドバイスを通じて、自身のスキルアップにつながるだけでなく、チーム全体の医療サービスの質が向上すれば、患者さんの満足度向上も期待できるでしょう。

まとめ

呼吸療法認定士は、呼吸器疾患の患者に対する専門的な呼吸管理を行うための資格です。この資格を取得することで、専門的な知識やスキルが向上し、患者に質の高いケアを提供できます。

さらに、人工呼吸器などの最新医療機器の取り扱いにも自信が持て、医療現場で即戦力として活躍することができます。呼吸療法認定士を目指すことで、自身のスキルアップを図り、同時に医療チーム全体のレベル向上につなげることもできるでしょう。

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