「認定看護師になるには?必要な流れや費用、スケジュールを解説」

「認定看護師になるには?必要な流れや費用、スケジュールを解説」

「認定看護師になるには?必要な流れや費用、スケジュールを解説」

看護師のキャリアアップの手段の1つである認定看護師。看護師として働くなかで、認定看護師資格の取得を目指したいと考える人もいるのではないでしょうか。

認定看護師になるには、臨床経験や教育施設での修学が必要です。そこで、認定看護師の役割、資格取得の流れやポイントについて解説します。認定看護師を志している人は、参考にしてみてください。

認定看護師とは?特徴・役割を紹介

認定看護師は医療の高度化にともない、専門性の高い看護を提供する人材を育成するために作られた資格制度です。ここでは、認定看護師の特徴や役割についてみていきましょう。

認定看護師とは?

認定看護師とは、特定の看護分野において高い看護技術と知識を持つと認められた看護師のことです。日本看護協会が認定する認定看護師教育機関でカリキュラムを履修した後、認定試験に合格すると、資格を得られます。

認定看護師制度は水準の高い看護師を社会に送り出すことで、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的としています。

認定看護師の活躍する分野は、制度が始まった1995年時点では救急看護と皮膚・排泄ケアの2つでした。その後、見直しや統合を経て分野を増やし、現在は21分野あります(2024年6月現在)。

クリティカルケア, 緩和ケア, がん薬物療法看護, 在宅ケア, 生殖看護, 腎不全看護, 摂食嚥下障害看護, 小児プライマリケア, 脳卒中看護, 呼吸器疾患看護, 心不全看護, 皮膚・排泄ケア, 感染管理, 糖尿病看護, 新生児集中ケア, 手術看護, 乳がん看護, 認知症看護, がん放射線療法看護

参考:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

認定看護師の3つの役割

特定の分野の高度なスキルと知識を持つ認定看護師には、現場での看護ケアの実践、他の看護師への指導、医療機関の内外での看護者の相談対応の3つが求められています。

≪認定看護師の役割≫

実践患者や家族に、高度なスキルや知識に基づいた看護ケアを提供する
指導 職場の看護師に対して、認定看護分野に関する技術や知識の指導を行う
相談 医療機関内外の看護ケアに携わる人(介護施設の看護師や介護職員など)にアドバイスする

出典:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

認定看護師の数

日本看護協会における認定看護師の登録者数は年々増えています。特定行為研修が含まれていない「A課程」が20,351名、特定行為研修を含む「B課程」が2,550名在籍しています。(2023年12月時点)。

2022年のデータでは、看護師の総数がおよそ1311万人であることを考慮すると、看護師200名のうち3名以上は認定看護師であることがわかります。

また、2022年時点で専門看護師数が3115人であることから、認定看護師の数は専門看護師の数よりも13倍ほど多いことがわかります。

出典:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
出典:【A課程】都道府県別認定看護師登録者数(日本地図版)
出典:日本看護協会の資格認定制度について (制度の現状)

専門看護師との違い

認定看護師と混同しやすい資格に、専門看護師があります。専門看護師は、特定の看護分野の知識や技術を持つ看護師に与えられる資格です。認定看護師と同様に、専門看護師資格も日本看護協会が発行します。

専門看護師の看護分野は以下の14分野があります。

がん看護, 精神看護, 地域看護, 老人看護, 小児看護, 母性看護, 慢性疾患看護,急性・重症患者看護, 感染症看護, 家族支援, 在宅看護, 遺伝看護, 災害看護, 放射線看護

認定看護師の担う分野が特定の看護ケアや疾患などであるのに対して、専門看護師は特定の看護分野全体を担います。そのため専門看護師には5年の臨床経験のほかに、看護系大学の修士卒業資格が求められます。

専門看護師も認定看護師と同じように、高度な知識や技術に基づいて、看護ケアの実践や相談対応をおこないます。専門看護師はこれらに加え、患者や家族が必要な看護ケアを受けるための調整や教育をしたり、研究活動をしたりする役割を担います。

認定看護師には、医療現場における質の高い看護ケアの提供が求められており、より臨床に即した資格といえるでしょう。

参考:専門看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

認定看護管理者との違い

認定看護師と名前がよく似ている看護師資格に認定看護管理者があります。認定看護管理者には、看護師長など管理業務に関わる人の指導や教育をおこない、病院や地域の看護ケアを向上させる役割があります。

認定看護管理者の資格取得の要件を満たすには、5年の臨床経験があり、そのうち看護管理に関する経験が3年以上必要です。認定看護管理者は看護師長クラスのための資格であり、看護師の管理や育成などのマネジメントを担う存在です。

このため、看護師長や看護部長を務める看護師が、さらにマネジメント能力を高めたり、キャリアアップを図ったりするために、認定看護管理者の資格取得を目指す傾向があります。このように、医療現場で直接患者や家族と関わる認定看護師とは役割が大きく異なります。

認定看護師になるには

認定看護師を目指す場合、資格要件を満たした上で認定看護師教育機関に入学・修了し、認定審査に合格しなければなりません。ここでは各ステップについてみていきましょう。

1.資格要件を満たす

認定看護師を目指すには、看護師免許取得後、5年以上の臨床経験が必要で、このうち3年以上は、認定看護師資格の取得を目指す分野に関連する診療科・領域であることが求められます。

そのため、早期に認定看護師を志す人は、希望の診療科・領域に配属されるよう自ら動く必要があります。希望する認定看護師分野の診療科・領域に配属されていない場合、早めに配置転換を申し出るとよいでしょう。

2.認定看護師教育機関入学・修了

認定看護師になるには、認定看護師教育機関に入学し、指定のカリキュラムを修了しなければなりません。認定看護師の養成カリキュラムには、特定行為研修が含まれていない「A課程」と、特定行為研修を含む「B課程」があります。

認定看護師教育機関での授業時間は、A課程が615時間、8課程が800時間+特定行為研修の実習時間です。2029年度にはA課程の認定看護師の認定審査が終了します。教育機関を選ぶのに迷っている人は、B課程を検討してみるとよいでしょう。

3.認定審査

教育機関のカリキュラム修了後は、日本看護協会が実施する認定審査を受けます。認定審査は筆記試験形式で行われ、問題は共通科目と教育機関で学んだ専門分野から出題されます。

認定審査の筆記試験は150点満点で、105点以上獲得すれば合格となります。認定看護師の合格率は90%以上と高く、教育機関のカリキュラムをしっかり学べば合格できるでしょう。

A課程認定看護分野一覧(21分野:2026年度をもって教育終了)

分野名特定年月認定開始年月英語表記知識と技術(一部)
救急看護1995年
11月
1997年
6月
Emergency Nursing
  • 救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
  • 災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
  • 危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
皮膚・排泄ケア1995年
11月
1997年
6月
Wound, Ostomy and Continence Nursing
  • 褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
  • 患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア1997年
10月
1999年
6月
Intensive Care
  • 生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
  • 廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施
緩和ケア1998年
5月
1999年
6月
Palliative Care
  • 疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
  • 患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護1998年
5月
2001年
8月
Cancer Chemotherapy Nursing
  • がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
  • 副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護1998年
5月
1999年
6月
Cancer Pain Management Nursing
  • 痛みの総合的な評価と個別的ケア
  • 薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護1998年
11月
2006年
7月
Visiting Nursing
  • 在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理1998年
11月
2001年
8月
Infection Control
  • 医療関連感染サーベイランスの実践
  • 施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護2000年
2月
2002年
8月
Diabetes Nursing
  • 血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護2000年
2月
2003年
8月
Infertility Nursing
  • 生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア2001年
7月
2005年
8月
Neonatal Intensive Care
  • ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
  • 生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護2003年
7月
2005年
8月
Dialysis Nursing
  • 安全かつ安楽な透析治療の管理
  • 長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護2003年
7月
2005年
8月
Perioperative Nursing
  • 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
  • 周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護2003年
11月
2006年
7月
Breast Cancer Nursing
  • 集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
  • ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護2004年
7月
2006年
7月
Dysphagia Nursing
  • 摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
  • 適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護2004年
11月
2006年
7月
Pediatric Emergency Nursing
  • 救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
  • 育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護2004年
11月
2006年
7月
Dementia Nursing
  • 認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
  • 行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護2008年
2月
2010年
6月
Stroke Rehabilitation Nursing
  • 脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
  • 活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
  • 急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護2008年
5月
2010年
6月
Radiation Oncology Nursing
  • がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
  • 安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護2010年
2月
2012年
6月
Chronic Respiratory Nursing
  • 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
  • 呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
  • 急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護2010年
2月
2012年
6月
Chronic Heart Failure Nursing
  • 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
  • 心不全増悪因子の評価およびモニタリング

B課程認定看護分野一覧(19分野:2020年度から教育開始)

分野名特定年月認定開始
年月
英語表記知識と技術(一部)
感染管理2019年
2月
2021年
5月
Infection Control
  • 医療関連感染の予防・管理システムの構築
  • 医療管理感染の予防・管理に関する科学的根拠の評価とケア改善
  • 医療関連感染サーベイランスの立案・実施・評価
  • 身体的所見から病態を判断し、感染兆候がある者に対する薬剤の臨時投与ができる知識・技術
がん放射線療法看護2019年
2月
2021年
5月
Radiation Oncology Nursing
  • 放射線治療を受ける対象の身体的・心理的・社会的アセスメント
  • 再現性確保のための支援
  • 急性期及び晩期有害事象に対する症状マネジメントとセルフケア支援
  • 医療被曝を最小限にするための放射線防護策、安全管理技術
がん薬物療法看護2019年
2月
2021年
5月
Cancer Chemotherapy and Immunotherapy Nursing
  • がん薬物療法の適正な投与管理とリスクマネジメント、暴露対策
  • がん薬物療法に伴う症状緩和
  • 自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育
  • 患者・家族の意思決定支援と療養生活支援
緩和ケア2019年
2月
2021年
5月
Palliative Care
  • 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
  • 全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント
  • 家族の喪失や悲嘆への対応
クリティカルケア2019年
2月
2021年
5月
Critical Care
  • 急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理
  • 安全・安楽に配慮した早期回復支援
  • 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
呼吸器疾患看護2019年
2月
2021年
5月
Respiratory Nursing
  • 呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防
  • 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
  • 症状緩和のためのマネジメント
  • 身体所見を病態判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
在宅ケア2019年
2月
2021年
5月
Home Care
  • 生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援
  • 対象を取り巻くケアシステムの課題に対する解決策の提案
  • 生活に焦点をあてた在宅療養移行支援及び多職種との調整・協働
  • 意思決定支援とQOLを高めるエンド・オブ・ライフケア
  • 身体所見から病態を判断し、気管カニューレの交換が安全にできる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換が安全にできる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去が安全にできる知識・技術
手術看護2019年
2月
2021年
5月
Perioperative Nursing
  • 手術侵襲及びそれによって引き起こされる苦痛を最小限に留めるためのケア
  • 手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応
  • 患者及び家族の権利擁護と意思決定支援
  • 身体所見から病態を判断し、経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整ができる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保ができる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整ができる知識・技術
  • 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整ができる知識・技術
小児プライマリケア2019年
2月
2021年
5月
Pediatric Primary Care
  • 重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防
  • 外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ
  • 家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導
  • 不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止
  • 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
新生児集中ケア2019年
2月
2021年
5月
Neonatal Intensive Care
  • ハイリスク新生児の急性期の全身管理
  • 障害なき成育のための個別ケア
  • ハイリスク新生児と親への家族形成支援
  • 不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防
  • 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
心不全看護2019年
2月
2021年
5月
Heart Failure Nursing
  • 心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防
  • 療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
  • 症状緩和のためのマネジメント
  • 身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解 質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
腎不全看護2019年
2月
2021年
5月
Nephrology Nursing
  • 疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援
  • 腎代替療法の選択・変更・中止にかかわる自己決定に向けた支援
  • 透析療法における至適透析の実現に向けた支援
  • 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理を安全・確実にできる知識・技術
生殖看護2019年
2月
2021年
5月
Reproductive Health Care
  • 性と生殖の機能、その障害とリスク因子に関する知識に基づく妊孕性の評価
  • 性と生殖の健康課題に対する、多様な選択における意思決定支援
  • 患者・家族の検査期・治療期・終結期の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整
  • 妊孕性温存及び受胎調節に関する指導
摂食嚥下障害看護2019年
2月
2021年
5月
Dysphagia Nursing
  • 摂食嚥下機能とその障害の評価
  • 摂食嚥下機能の評価結果に基づく適切な援助・訓練方法の選択
  • 誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の増悪防止に向けたリスク管理
糖尿病看護2019年
2月
2021年
5月
Diabetes Nursing
  • 血糖パターンマネジメント
  • 病期に応じた透析予防、療養生活支援
  • 予防的フットケア
  • 身体所見から病態を判断し、インスリンの投与量の調整ができる知識・技術
乳がん看護2019年
2月
2021年
5月
Breast Cancer Nursing
  • 術後合併症予防及び緩和のための周手術期ケアと意思決定支援
  • ライフサイクルの課題を踏まえた、治療に伴う女性性と家族支援
  • 乳房自己検診、リンパ浮腫等の乳がん治療関連合併症の予防・管理
  • 身体所見から病態を判断し、創部ドレーンの抜去ができる知識・技術
認知症看護2019年
2月
2021年
5月
Dementia Nursing
  • 認知症の症状マネジメント及び生活・療養環境の調整
  • 認知症の病期に応じたコミュニケーション手段の提案と意思決定支援
  • 家族への心理的・社会的支援
  • 身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
脳卒中看護2019年
2月
2021年
5月
Stroke Nursing
  • 重篤化回避のためのモニタリングとケア
  • 早期離床と生活の再構築に向けた支援
  • 在宅での生活を視野に入れたケアマネジメントと意思決定支援
  • 身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
皮膚・排泄ケア2019年
2月
2021年
5月
Wound, Ostomy and Continence Nursing
  • 褥瘡のトータルマネジメント
  • 管理困難なストーマや皮膚障害を伴うストーマケア
  • 専門的な排泄管理とスキンケア
  • 脆弱皮膚を有する個人・リスクがある個人の専門的なスキンケア
  • 地域包括ケアシステムを視野に入れた同行訪問実施とマネジメント
  • 身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去及び創傷に対する陰圧閉鎖療法ができる知識・技術

出典:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

4. 認定看護師認定証交付・登録

認定審査に合格すれば、認定看護師として日本看護協会に登録されます。認定看護師の登録は、特定行為研修を含まない「A課程」と特定行為研修を含む「B課程」で区別されています。

A課程で登録された認定看護師も、特定行為研修を受けることでB課程の認定看護師に移行することが可能になります。認定登録が完了すると、日本看護協会より認定証が交付されます。

認定看護師になるメリット

認定看護師になると、以下のメリットがあります。

周囲から信頼される

認定看護師になり、特定の専門分野に関する知識やスキルを得ることで、自分の看護ケアに対して自信を持てるようになるでしょう。また認定看護師として、患者さんに専門的な看護ケアを提供するだけでなく、現場スタッフへの指導や教育を任されることもあります。

身に付けた知識とスキルを活かして専門性の高い看護ケアを広めることで、周りのスタッフからも頼られ、一目置かれる存在になれるでしょう。

出来ることが増えて待遇も向上する

医療機関によっても異なりますが、認定看護師の資格を取ると、毎月3千円から8千円程度の資格手当がつきます。また、認定看護師になり特定の分野の知識とスキルを身に付くことで、自分の業務範囲も幅広くなります。

看護師として責任のある業務を任されたり、スタッフの育成やチームをまとめる立場となったりするため、待遇が良くなり昇進のチャンスも広がるでしょう。

自身の看護観に沿ったキャリアが描ける

認定看護師になると、自分の興味のある看護分野のより深い知識や高度なスキルを身につけることができます。認定看護師として患者さんにより専門的な看護ケアを提供したり、周囲の看護師スタッフにアドバイスや指導をしたりするなかで、自分が理想とする看護を広めるきっかけにもなるでしょう。

認定看護師の取得にかかる費用

認定看護師になるには、さまざまな費用がかかります。ここでは、認定看護師にかかる費用と、その他の費用についてみていきましょう。

一般的な費用

認定看護師の取得にかかる一般的な費用は、約120~200万円です。各費用の内訳は以下です。

教育機関の入学検定料 50,000円

入学金 50,000~75,000円

授業料 約100~180万円

認定審査料 51,700円

認定登録料 51,700円

更新審査料 30,800円

更新登録料 20,900円

特定認定看護師移行費用  3,000円

※上記は税込の金額です。

認定看護師になるのに必要な費用には、教育機関の授業料以外にも、入学検定料や入学金、認定や再認定のための審査料や登録料があります。各費用は少額ではないため、計画的に次のステップを進めるように、資金の準備や預金をするようにしましょう。

その他費用

認定看護師になるためにその他の費用がかかることがあります。認定看護師教育機関には寮がない所も多く、賃貸アパートやマンションを借りる必要がでてきます。その場合、家賃や引っ越し代がかかりますし、住む場所によっては教育機関に通学するための交通費も必要です。

また、講義内容をメモしたり、課題レポートを作成したりするのにパソコンが必須となります。加えて、書籍や文献のコピー代もかかります。

認定看護師新制度の変更点

認定看護師の制度は、日本の医療の状況を踏まえて、定期的に見直しがされています。ここでは、認定看護師の新しい制度の内容についてみていきましょう。

A課程認定看護師の廃止

現在の認定看護師は、特定行為研修の有無によってA課程認定看護師とB認定看護師の2つに分けられます。特定行為とは、医師の指示の下でおこなう特定の医療行為(人工呼吸器の設定変更、気管カニューレの交換など)のことです。

看護師の特定行為制度は、少子高齢化や限られた医療資源で、患者に必要な医療行為を適切なタイミングを提供することを目的として作られました。

今後、特定行為研修を含まないA課程の認定看護師の養成は2026年度まで、審査は2029年度までとなり、以降は廃止されます。

また、A課程での更新審査や再認定審査は永続的に継続されるため、A課程制度が廃止になった後も認定看護師として活動ができます。さらに、特定行為の研修を受けることでB課程の認定看護師になることも可能です。

B課程認定看護師への移行

A課程認定看護師は、特定行為の研修を受けることでB課程認定看護師へ移行することができます。ただ、2027年以降はA課程の認定看護師教育機関がなくなり、B課程の認定看護師のみの教育機関となります。

制度の見直しにより、新たな登録が必要になる可能性もあるため、情報を欠かさずチェックしましょう。

認定看護師を目指すときの注意点

認定看護師になるには、いくつかの注意点があります。

資格取得までには時間がかかる

認定看護師の資格取得までには、教育機関の入学試験などの準備期間を含め約2年かかります。

また、教育機関での受講の時期や期間は、目指す分野や教育機関によっても異なります。一般的な受講期間は、A課程が7~11ヵ月、B課程が12ヵ月です。B課程の教育機関の受講期間は特定行為研修がある分、長くなります。

認定審査は年1回で、試験は10月頃におこなわれます。エントリー時期は8月頃です。分野や教育機関によっては、すぐに認定審査を受けられず、時間が空くこともあるでしょう。

このため、教育機関での受講期間と認定審査の時期を踏まえて、計画的に行動することが大切です。

分野によっては引っ越しなどが必要

認定看護師の教育機関は全国にありますが、目指す分野によっては全国で1箇所しかないこともあります。自分の目指す分野の教育機関に通学するために、一定期間の転居が必要になることもあるでしょう。

また、認定看護師の受講時間は、教育機関によってもバラバラです。例えば、朝から夕方まで講義がある全日制の施設もあれば、仕事との両立を図る看護師に配慮して、専門科目の講義は週2日、共通科目の講義は夏季に集中的に1ヵ月間実施するといった受講スタイルを取っている施設もあります。

そのため、教育機関の受講日程によっては、看護師の仕事を長期間休む必要があるでしょう。

さらに、既婚者が認定看護師を目指すのであれば、家庭や育児との両立についても考えなければなりません。

認定看護師教育機関の就学中は、仕事や家庭とのバランスをとるのが難しくなります。認定看護師を目指す際は、上司や家族へ相談しながら準備を進めていきましょう。

奨学金や取得支援制度を確認する

認定看護師を目指すにあたっては、奨学金制度や資格取得支援制度を利用することをおすすめします。日本看護協会では、認定看護師教育機関の在籍者に対して、年間120万円以下を貸与しています。

また、病院によっては、認定看護師資格の取得支援制度を設けている施設もあります。取得支援制度を利用すると、教育機関の就学中は休職ではなく、出張や研修扱いになるため、毎月の給与を受け取ることができます。さらに、病院によっては、受講料や交通費を支給している施設もあります。

認定看護師を目指す際は、勤務先の病院に認定看護師資格の取得支援制度があるかどうか確認してみましょう。

更新手続きを忘れずにおこなう

認定看護師資格を保持するには、5年ごとの更新手続きが必要です。定期の更新審査を受けないと、認定看護師の資格を喪失させてしまうことになります。

なお、2020年度以前に登録した人であれば、再認定審査に合格することで再び認定看護師として活動することができます。再認定審査では、更新審査と同様に、認定看護師としての実践時間や自己研鑽の実績が評価対象となります。

ただし、2021年度以降に初めて認定看護師に認定された人には、再認定審査は実施されません。認定看護師として働き続けたい人は、更新を忘れないようにしましょう。

まとめ

認定看護師は、特定の分野について高度な技術と知識を持った看護師のことです。医療現場での看護実践に加えて、指導者や相談役としての役割が期待されています。

認定看護師になるには、教育機関での修学や一定の臨床経験が必要です。修学期間や費用などを十分に把握した上で、認定看護師になるための準備を進めていきましょう。

看護職の転職エージェント「スマイルナース」では、看護師に関するさまざまなお役立ち情報を紹介していますので、参考にしてみてください。

参考:公式社団法人日本看護協会看護研修学校/2023年度認定看護師教育課程特定行為研修を組み込んでいる教育課程(B課程教育機関)募集要項

参考:公式社団法人日本看護協会/認定看護師

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