美容に興味があり、美容医療の現場で働きたいと考える看護師もいるのではないでしょうか?美容看護師の給料はどのくらいもらえるのか気になりますよね。
本記事では、美容看護師の月給と年収、やりがい、メリット・デメリットについて解説します。これから美容医療分野で働くことを検討している人は、参考にしてみてください。
美容看護師の給料・年収は高い?手取りの目安はいくら?
美容看護師の平均的な給与は、月収35~40万円、年収450~600万円です。美容看護師は、月給や年収が高いイメージがありますが、一般病院で働く看護師と給与水準は 大きく変わりません。
ただ美容看護師の多くは日勤のみで働いており、残業も少ない傾向があります。夜勤手当が付かず、残業手当もほぼないことを考えれば、病院で働く看護師よりも基本給の水準が高いといえるでしょう。
また、所属する院や個人の業績ごとにインセンティブや報奨金を支給する美容クリニックは多くあります。インセンティブは給与に上乗せされるため、看護師個人の努力次第ではさらに高収入を目指せます。
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美容看護師の給料・年収が高い理由とは?
美容看護師の月給 や年収が高いといわれる理由には、次のものがあげられます。
1:自由診療のため利益が給料に反映されやすいから
美容医療の多くは自由診療で、医療機関ごとに施術料金を設定できます。とくに美容医療は最新の技術や医療機器を用いることも多く、一般的な診療よりも施術料金が高額になりやすくなります。病気やケガの治療を行う保険診療と比べると、クリニック側が収益を得やすいことから、美容看護師の給与にも反映されやすいのです。
2:物品販売で収益を上げられるから
多くの美容クリニックでは、美容施術の提供以外にも、スキンケアグッズやサプリメント等の販売を行っています。美容医療で扱う物品は、継続的に使用する患者さんも多く、安定した収益が見込めます。クリニックの利益が増えれば、美容看護師の給与増にもつながります。
3:売上に対するインセンティブがつくから
美容クリニックのなかには、美容看護師の売上貢献に対し、インセンティブ制度を採用しているところもあります。患者さんからの指名や物品購入の促進などで医院の収益が上がると、利益の一部が看護師の給与に還元されるのです。
インセンティブは看護師一人一人の努力を評価し、医院から支給されるものです。美容看護師が働くうえでのモチベーションにもなります。収入増のために、スキルや接遇の向上を目指す看護師が増えるという良い循環も生まれます。
5:業績に応じて報奨金を支給しているから
美容看護師は、インセンティブとは別に報奨金を得ることもできます。インセンティブは指名や物品購入の一つ一つがカウント対象とされますが、 報奨金は期間ごとの業績に応じて支払われます。
報奨金の扱いはクリニックによって異なり、看護師個人の業績に対し報奨金を支払うところもあれば、医院全体の目標達成時に看護師全員に報奨金を支払うところもあります。また、インセンティブと報奨金を同義としているクリニックもあります。
そもそも美容看護師とは?どんな仕事内容?
美容看護師と一般看護師とでは、職場や仕事内容に大きな違いがあります。ここでは美容看護師の仕事内容についてみていきましょう。
美容クリニックと一般病院の違いは?
美容クリニックと一般病院の主な違いは、治療内容です。一般的な医療機関では、病気やケガの治療を目的とした診療が行われます。そのため看護師は、健康問題を抱える患者さんに対して、診療の補助や療養上の世話を行います。
一方、美容クリニックでは、審美性の向上を目指した治療が行われ、基本的に健康な患者さんが通院します。美容看護師の仕事内容は、レーザー照射や点滴といった施術や医師の診療補助、施術に関する補助的な説明など、患者さんとのやり取りが中心になります。
美容皮膚科と美容外科の違いは?
美容皮膚科と美容外科の違いは診療内容の範囲です。美容皮膚科では皮膚に関する悩みの解決を目指して、レーザー治療や注入治療を中心に行います。美容皮膚科でもメスを使った処置を行いますが、全身麻酔を用いるような手術はなく、プチ整形などの際も糸リフトやレーザー・高周波を用いた処置が行われます。
美容外科の診療範囲は全身に及び、レーザー治療や注入治療に加えて手術も行われます。また美容皮膚科と美容外科の治療を網羅している美容クリニックも多くあります。
美容看護師として勤務するメリットとは?
美容看護師は一般的な看護ケアのスキルを磨く機会は少ないですが、いくつかのメリットがあります。ここでは美容看護師として働くメリットについてみていきましょう。
1:夜勤がない
多くの美容クリニックでは、夜勤がありません。美容医療でも手術が行われますが、日帰り手術が主で、患者さんが入院治療を受けることはほぼありません。
一般的な看護師の仕事には夜勤がつきものです。給与に夜勤手当が上乗せされるものの、心身に負担がかかる夜勤は、長期的にみて健康を害する要因になります。夜勤のない美容看護師は、昼夜逆転による生活リズムの乱れがほぼなく、働きやすいといえます。
2:残業が少ない
美容クリニックは予約制で診療していることが多く、看護師の業務時間に大きなばらつきがありません。また一般病院のように緊急入院の受け入れがなく、患者さんの急変も少ないため、残業が少ない傾向があります。毎月の給与に残業代が付かなくても、美容看護師の給与水準は一般看護師とほとんど変わりません。
夏や年末年始などクリニックの繁忙期は、美容看護師が残業をすることもありますが、美容クリニックの大半は、残業した分の時間外手当を支給しています。
3:患者さんの命を預かるプレッシャーが少ない
美容クリニックは、一般病院よりも患者さんの命に関わるストレスが少ない特徴があります。一般病院では、看護師のミスがきっかけで患者さんの健康状態に悪影響を与えることもあるため、一つ一つの業務に対して大きな責任を感じるものです。また患者さんの健康状態も不安定で、いつ急変が起きてもおかしくないことから、看護師は常に患者さんの死を意識せざるをえません。
美容クリニックでも医療ミスにより、患者さんの死亡リスクがともないます。しかし、美容看護師は健康な患者さんと接することが多く、一般病院と比べれば「命を預かる」というプレッシャーを感じにくいでしょう。
4:美容の知識や接遇のスキルが身につく
美容看護師には医師の施術補助を行ったり、患者さんに施術内容やアフターケアについて説明したりする場面が多くあります。美容クリニックで働くうちに、全身や肌の美容に関する知識やスキルを得られるメリットもあります。美容医療で美しくなる患者さんに感化されて、看護師自身の美しさも磨きがかかるでしょう。
また美容医療の現場では、サービス精神を意識した接遇スキルを身に付けることができます。美容クリニックにとって、来院する患者さんは“お客様”でもあります。美容看護師は一般病院にいるときよりも、おもてなしを意識した接し方が求められます。
美容看護師として勤務するデメリット・注意点
美容クリニックで働くことで得られるメリットがある一方で、デメリットもあります。美容看護師として働くうえでのデメリットは、次のとおりです。
1:一般的な看護技術の経験を積みにくい
美容看護師の業務は、一般的な看護師の仕事と大きく異なります。美容クリニックでは、美容医療に関わる専門的な知識やスキルは身に付きますが、幅広い疾患と治療に関する知識や看護師に求められる基本的な技術を、すべて習得することができません。そのため、新卒で美容看護師となると、生涯にわたって看護師として働くうえで、つぶしが利かなくなる恐れがあります。
実際に美容クリニックの求人のなかには、「一般病院での臨床経験が1年以上あること」を条件としているところもあります。美容医療分野で働くことを目指している看護師も、まずは一般病院で基本的な看護技術を身に付けておくとよいでしょう。
2:接遇・施術に気をつかうことが多い
美容クリニックでは一般病院以上に、接遇や施術時の対応に気を配る必要があります。美容医療の患者さんは若い人から中高年まで幅広く、高い治療料金を払っていることから、施術時の看護師の手際や対応について厳しくチェックしています。
とくに現代は、インターネット上で美容クリニックの口コミ評価を簡単に行える時代です。患者さんが不満を感じるような応対をすれば、リアルタイムで勤務先に関する口コミ評価がされ、集患に影響を与える可能性もあるでしょう。
医師の対応や施術の仕上がりだけでなく、美容看護師の一挙一動も、患者さんのクリニックに対する満足度を大きく左右します。美容看護師として働くにあたって、患者さんの気持ちに配慮し、さらにていねいな接遇を行わなければなりません。
3:土日・祝日に休みを取りにくい
美容クリニックの大半は、より多くの患者さんが施術を受けやすい土日や祝日に診療を行っています。勤務先となる美容クリニックのシフトによっては、土日や祝日に休めず、平日休みとなることもあるでしょう。
一般企業や学校は土日・祝日休みが多く、美容クリニック勤務の看護師は、友人や家族と休みの予定が合いづらくなることがあります。
4:売上へのプレッシャーを感じやすい
美容クリニックのなかには、医院全体で目標の売上ノルマを掲げているところが多くあります。課せられたノルマを達成するために、看護師が自身の気持ちにはそぐわない施術や物販の提案しなければいけない場面も あるでしょう。一般病院では営利目的の診療は行っていないため、大きな苦痛を感じる看護師もいます。
また一部のクリニックでは、看護師個人にノルマを課しているところもあるようです。看護師がノルマを達成できなければ、職場で肩身の狭い思いをするかもしれません。
5:インセンティブがもらえる分、営業要素が強い
多くの美容クリニックでは、患者さんからの指名を受けたり、物品購入促進に貢献したりした看護師にインセンティブを支給します。一般的な医療機関で働く看護師は、勤め先の収益アップを意識することはほぼありませんが、美容看護師には営業的な行動も求められます。
一般企業と同じように、営業利益を意識した仕事の進め方を求められる場面もあるため、戸惑いを抱く看護師もいるかもしれません。
6:高い接遇スキルが必要とされる
美容看護師は一般病院で勤務する以上に、接遇を意識する必要があります。美容医療の患者さんは高い診療費用を払っているため、看護師の言動についても厳しくチェックしているものです。看護師が少しでも雑な言動をすれば、自身やクリニックの悪い評価につながります。
美容看護師に向いている人の特徴は?
美容看護師に適しているのは、美容医療に大きな関心があり、コミュニケーションに長けた人です。日本でも美容整形が身近になっていますが、施術を受けることに対しては、まだまだ賛否両論があります。美容クリニックでは、看護師が患者さんに施術等を提案することもあるため、看護師自身が美容医療に対して前向きなイメージを持っていることは大前提です。
また美容看護師は、勤務先のクリニックの“顔 ” ともなる存在です。美容看護師は、一般病院で働く看護師よりも見た目に気を配る必要があります。実際に美容クリニック勤務の看護師は美容医療が好きな人が多く、自院の施術を受けるスタッフもいます。
美容看護師には、高いコミュニケーション能力も求められます。施術に関する補助的な説明をし、時には施術や物品購入の提案をする必要があるからです。患者さんの美容の悩みに寄り添ったり、希望をくみ取ったりしながら、クリニックの収益アップにつなげることが求められます。
美容看護師に必要な資格・経験はある?
美容看護師になるには、看護師免許を取得して美容クリニックに就職する必要があります。看護師免許以外に特別な資格や経験は必要ありません。しかし化粧品に対する知識や語学に関する資格があると、転職活動に有利になるかもしれません。
新卒で美容看護師になることもできますが、大半のクリニックでは、応募条件に一般病院での臨床経験を求めています。
美容看護師への転職を成功させる方法・コツ
美容医療分野で看護師として働きたいと考える人もいるでしょう。ここからは美容看護師への転職を成功に導くポイントを紹介します。
1:美容クリニックの方針や仕事内容をきちんと理解する
転職先の美容クリニックを選ぶときは、医療機関ごとの診療方針や治療内容をしっかり確認しましょう。医院によって、診療方針や治療内容が異なるため、日々の業務にも違いが出ます。またインセンティブや報奨金制度があるクリニックは、上手くいけば高収入が見込めますが、そうでなければ日々の仕事でプレッシャーを感じるようになるでしょう。
2:求人情報の詳細を確認する
美容クリニックへの転職を検討する際は、求人情報にきちんと目を通しましょう。応募条件や給与、休み、福利厚生はクリニックごとに特色があります。転職先の仕事内容はもちろん、給与や福利厚生は美容看護師として働くうえでのモチベーションにもなるものです。転職後に就業したときに、やりがいを持って働けるクリニックを選びましょう。
3:書類選考・面接の対策に力を入れる
美容医療の職場で働くには、転職対策をていねいに行うことが大切です。美容看護師の仕事は一般病院で働く看護師と大きく異なるため、「なぜ美容クリニックでの就業を希望するのか」「一般病院で学んだ経験を新しい職場でどのように活かせるのか」を明確にする必要があります。
近年、高収入を期待できる美容医療分野は医療職のあいだでも注目されています。美容看護師の求人への応募者が多いと、書類選考の時点で落とされることもあります。転職活動をするときは、履歴書作成の時点から入念に準備することを心がけましょう。
まとめ
美容医療の現場で働く美容看護師の月給や年収は、一般病院の看護師のものと大きく変わりありません。一方で、美容看護師は残業が少なく、夜勤がないことを考慮すれば、給与水準は高いといえます。
また多くの美容クリニックでは、インセンティブなど報奨金制度を採用しており、看護師個人の頑張り次第でさらなる収入アップを期待できます。
美容看護師の仕事内容は、病気やケガの療養上の世話ではなく、美容施術の補助や健康な患者さんとのコミュニケーションが中心になります。美容医療と患者さんをつなぐ架け橋として、時には施術や物品購入の提案といった営業的な仕事をすることもあるでしょう。
美容看護師として働くことを検討している人は、メリット・デメリットを十分理解したうえで就職および転職活動に取り組みましょう。
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