クリニックや病院の外来は、通院しながら治療を受ける患者を対象として診療を行う部署です。外来勤務は基本的に夜勤がなく、休みが固定されていることも多いため、日勤のみの勤務をしたい看護師には人気の職場です。しかし、病棟で働いている看護師の中には、外来看護師の仕事内容のイメージがつかないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、外来看護師の特徴や役割、仕事内容やメリット・デメリットを紹介しています。外来勤務について気になる人は、参考にしてみてください。
外来看護師の特徴・役割
外来看護師とは、病院やクリニックの外来部門で勤務する看護師のことです。まずは、外来看護師の特徴や役割について解説します。
病院の「外来」とは
「外来」とは、通院して治療を受ける患者を対象として診療を行う部署のことです。病気を持つ人や怪我をした人、体調に異常を感じた人が訪れます。医療スタッフは、それぞれの患者の状況や体調に合わせて、医師の指示のもと必要な検査や処置を実施します。
医療機関には、入院施設のないクリニックから専門的な検査や治療が可能で、入院設備も備える総合病院まで、さまざまな規模のものがありますが、入院しない場合の診療はどちらも外来診療と呼ばれます。
また一般の外来が開いていない休日や夜間の診療や、救急車で搬送された患者の治療を行う救急外来も、外来のひとつです。入院病棟と同様に、外来にも内科や外科・産婦人科など、複数の診療科があります。
外来看護師の役割
外来で働く看護師の主な役割は、患者がスムーズに診察や治療を受けられるように医師・患者双方のサポートをすることです。
外来には、生活習慣病をはじめとする慢性的な疾患で長期にわたり治療を受ける人、健診で問題を指摘され再検査のために受診する人、術後の経過観察のために来る人など、さまざまな患者が訪れます。1日に数多くの患者が来院するため、効率よく診療を進めていく必要があるでしょう。
また、外来は患者を最初に受け入れる部署でもあります。外来で働く看護師には、瞬時に患者の状態や病気、怪我の状況などをアセスメントする能力や、素早く必要な処置につなげる対応力が求められます。
病棟看護師との違い
外来看護師の仕事は、病棟看護師の仕事内容と大きく異なります。病棟看護師は、患者の日常生活の援助をしたり、医師の指示のもと内服薬や点滴の管理をしたりと、入院中の患者の看護ケアを主に担います。一人ひとりの患者と長く関わり、信頼関係を築きながら看護ケアを実施します。
一方、外来看護師の主な仕事は、来院した患者の問診や医師の診察の介助です。状況により採血や点滴などの医療処置や検査の説明、生活指導も行います。1日に多くの患者の対応をするため、効率よく立ち回る能力や、より迅速な判断力が求められます。
勤め先の選択肢が広い
勤め先の選択肢が広いことも外来看護師の特徴です。外来看護師の活躍の場は、小規模の診療所から入院設備のある総合病院まで幅広くあります。給与や規模感など、自分の希望する条件に合う勤め先を見つけやすいでしょう。
また、ひとくちに外来といっても強みを持つ診療科や領域、主な患者層や平均来院数についても特長があります。給与や休日などの条件面だけでなく、それぞれの特長をしっかり把握したうえで自分に合った職場を選択することをおすすめします。
外来看護師のおもな仕事
外来看護師の主な仕事内容には、次のものが挙げられます。
● 診察補助
● 処置や検査のサポート
● 健康指導
● 病棟への連絡
さらに、外来の規模や在籍スタッフの数によっては受付や電話対応、事務作業、器具の消毒や清掃など、幅広い業務を担うこともあります。ここでは、外来看護師の仕事内容について、具体的に解説します。
診察補助
外来看護師の代表的な仕事は、医師の診察の補助です。医師が効率よく診察できるよう、患者の問診や、バイタルサイン測定、診察室・検査室への誘導を行います。診察前に患者から直接話を聞いたり状態を観察したりと、診察や治療に関する情報を集めることにより、医師が的確な診察をできるようになります。
診察前の問診は、服用中の薬やアレルギーの有無の確認など、検査や治療内容に影響の出る可能性のある事柄を把握する重要な仕事です。また、診察の際には、聴診時の衣服の上げ下げ補助、器具の準備、移動介助が必要な患者のサポートなどを担当します。
処置や検査のサポート
外来看護師が医療処置を実施する機会は病棟よりも少ないですが、検査や治療にともない採血や点滴などを行うことがあります。そのため、採血や点滴のスキルとともに、検査ごとに必要なルートや針を素早く選択したり、複数の検査のオーダーが出た場合に段取りを組んだりなど、スムーズに検査や治療が行えるよう調整する技量が求められるでしょう。
総合病院や規模の大きな病院には外来とは別に検査部門があることが多く、その場合には、検査部門との連携も必要です。
また検査によっては前日や当日の朝より食事制限があります。主治医の指示に従い、患者に検査の流れや注意事項をわかりやすく説明することも外来看護師の仕事です。
健康指導
外来看護師は、診察を受けた患者が医師の指示どおりに自身の健康管理ができるよう、医師の診察後に健康管理に関する指導を行うこともあります。また患者によっては、医師に細かなことを相談するのが難しいと感じる人もいます。その場合はあらためて看護師が相談や質問に対応します。
加えて、医師から患者、家族へのIC(インフォームドコンセント)が行われる際には、病状や患者の状況に応じ、看護師も同席します。その場合に看護師は、患者が医師から伝えられたことを理解できているか確認したり、患者の思いを直接聞き出したりといった役割を担います。
病棟・検査部門への連絡
病院の外来で働く看護師は、外来を受診した患者に入院が必要になった場合、病棟へ連絡することも行います。そのため、病棟のベッドの稼働状況をある程度把握し、病棟看護師と連携を取る必要があります。
また、入院の前に複数の検査の指示が出た場合は、検査部門と連携し患者がスムーズに移動できるよう配慮します。外来で得た患者の個人情報や診断結果・治療方針を病棟看護師に申し送りをすることも大切な仕事です。
外来看護師を目指すメリット
ここまで、外来看護師の役割や病棟看護師の仕事との違いについて解説しました。次に、外来看護師として働くことのメリットを解説します。
勤務体系が一定する
勤務する病院や配属部署にもよりますが、外来勤務では基本的に夜勤はなく、日勤のみのシフトです。夜勤を負担に感じる人や、子育て中の人などには、外来の勤務体系が一定である点は大きなメリットでしょう。
また外来の診療時間終了後に患者を受け入れることはないため、病棟のように終業間近に緊急で対応しなければならないことが少なく、残業も少ない傾向にあります。
しかし、外来でも救急外来や内視鏡外来など、一部の部署では24時間体制で患者を受け入れています。24時間体制の外来で勤務する場合には、夜勤や遅番があったり、オンコール体制があったりと、不規則な勤務になることは把握しておきましょう。
固定休がある
固定休があることも、外来看護師として働くメリットのひとつです。一般外来は、カレンダーどおりに開院しているところが多く、日曜日や祝日は固定で休みとなります。病院によっては、お盆の時期や年末年始もすべて休みとなる場合もあるでしょう。
子育て中や家族の介護がある人など、プライベートの時間をきちんと確保したい人には、外来看護師の働き方がおすすめです。
ただし、クリニックの中には夜診を行っているところもあり、診療の終了時間が遅くなる場合があります。終業時間を重視する人は、早い時間に終わることの多い、病院の外来が適しているでしょう。
コミュニケーションスキルが身に付く
外来看護師の仕事を続けることで、コミュニケーションスキルを培えます。外来では、来院した患者の状態を短時間で把握する必要があるために、円滑なコミュニケーション能力が求められます。
患者の表情や発する言葉、家族との会話により、健康状態や心境、普段の生活の様子などをつかみ、必要に応じて医師に伝えたり、他職種との連携をしたりします。検査についての説明や健康指導では、それぞれの患者に合わせ、適切にわかりやすく伝える能力も磨かれます。
外来業務を通じて、短時間でのアセスメント能力やコミュニケーション能力を身につけられることは、大きなメリットです。
ハードな業務が少ない
外来看護師の仕事は、臥床中の患者のベッドからの移乗や清拭・入浴介助などを行う病棟看護師のように体力的にハードな業務は少なめです。立ち仕事が多く、業務自体は忙しいこともありますが、力を使う仕事が少ないため、腰痛があったり、体力に自信がなかったりして病棟勤務がつらいという人も、働きやすい職場です。
ただし、外来勤務であってもベッド移乗や身体的なケアがまったくないというわけではありません。外来には、普段から車椅子で生活している患者や、全介助が必要で入所施設に暮らす患者も訪れます。
診療内容によっては、付き添いの人やほかのスタッフと協力し、移乗の介助やおむつ交換などを行うこともあるでしょう。
外来看護師になるデメリット
外来看護師として働くことには、メリットだけではなく、デメリットも存在します。外来看護師になるデメリットについて紹介します。
給与が少ない
外来看護師には夜勤がないことが大半であるため、病棟で勤務するよりも夜勤手当がない分、給与が少なくなる場合が多いでしょう。残業が少ない職場であれば残業手当も減り、手当による給与の割増は期待できません。
ただし、透析や内視鏡検査など、外来のなかでも特殊な知識や技術が求められる部署では、給与の相場が上がることがあります。また、美容クリニックをはじめ自費診療を扱っている外来に勤めれば、給与アップを見込めます。
医療処置のスキルが身に付きにくい
看護師としてスキルアップを目指している人には、処置のスキルを発揮することが少ない外来看護師の仕事にデメリットを感じる場合があるでしょう。
外来では、採血や皮下注射・筋肉注射・点滴など、一部の医療処置をする機会はよくありますが、病棟のように幅広い医療処置を行うことは少ない傾向にあります。採血の技術、ルート確保の技術など、基本的なスキルは磨ける一方、幅広い処置を学ぶチャンスは少なく、新卒の看護師や、看護技術を身につけたい人には不向きといえます。
ただし、大学病院や総合病院の専門外来では、外来で専門的な処置や治療を行うところもあります。自分の極めたい分野や経験を生かせる外来に勤務できれば、より専門的なスキルアップが望めるでしょう。
患者と関わる時間が短い
外来には、1日に多くの患者が訪れます。一人ひとりと関わる時間が多い病棟と異なり、じっくりコミュニケーションを取ることは難しいところが大半です。
また、診療をスムーズに進めるために、効率を重視し流れ作業になりがちです。病棟での業務のように、患者とじっくり向き合い看護計画を立てたり、それぞれの患者と深く関わりたいと感じる人は、物足りなさを感じるかもしれません。
クレーム対応を求められる
クレームへの対応が発生しやすいことも、外来看護師の仕事のデメリットといえます。外来には、多くの患者が訪れるため、体調が悪いなか、診察や検査まで長時間待たなければなりません。
待ち時間の長さやスタッフの対応への不満、医師の診療や治療への不信感など、患者のクレームが上がった際には、外来看護師が対応しなければならない場面もよくあります。こうしたクレーム対応にストレスを感じ、疲れてしまう人もいるでしょう。
まとめ
この記事では、外来看護師の特徴や役割、仕事内容やメリット・デメリットを紹介しました。
外来看護師は、夜勤がないこと、ハードな業務があまりなく身体的負担が少ないことから、ワークライフバランス重視の看護師の転職先として人気の仕事です。
とはいえ1日に多くの患者に対応するため、患者の状態を素早くアセスメントし、スピーディに仕事を進める力が求められます。
また、外来であっても、選ぶ病院やクリニックにより、仕事内容や忙しさは異なります。自分がどのような働き方をしたいのかを明確にしたうえで、希望の職場を探すことが重要です。
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