養護教諭と看護師の違いを徹底解説!それぞれに向いている人の特徴も紹介!

養護教諭と看護師の違いを徹底解説!それぞれに向いている人の特徴も紹介!

看護師と養護教諭、どちらも人々の健康を支える大切な職業ですが、その仕事内容や特徴には多くの違いがあります。

この記事では、養護教諭と看護師の違いやそれぞれの職業に向いている人の特徴を紹介しています。養護教諭の仕事に興味のある看護師は、参考にしてみてください。

養護教諭と看護師の違い

養護教諭は学校で、看護師は医療機関で働くというイメージをもつ人がほとんどではないでしょうか。実際には、働く場所や仕事内容だけでなく、必要な資格や知識・スキルも異なります。

養護教諭と看護師の違いについて、詳しく見ていきましょう。

1:働く場所

養護教諭と看護師では、勤務場所に違いがあります。

養護教諭が働く場所は、主に教育機関です。具体的には、次の勤務先があります。

 小学校
 中学校
 高等学校
 大学
 特別支援学校 など

教育機関には公立と私立とがあり、それぞれ就職方法が異なります。

公立の学校で働くためには、都道府県や市区町村が実施する教員採用試験に合格する必要があります。合格すると、“地方公務員”として働くことになります。私立学校の場合は、各学校が独自に採用試験を行っており、それに合格することで就職できます。

一方、看護師の勤務場所は医療や介護福祉の現場が中心です。具体的には、病院やクリニックといった医療機関や介護福祉施設など。その他、保育園や企業の健康管理室も勤務先に挙がります。

2:仕事内容

養護教諭と看護師の仕事内容は、大きく異なります。養護教諭は児童生徒の健康管理や保健教育が主な仕事ですが、看護師は患者の治療や看護が中心となります。

それぞれの主な仕事内容は以下のとおりです。

養護教諭の主な仕事内容看護師の主な仕事内容
児童生徒の健康診断の実施・管理
ケガや病気の応急処置
保健室の運営・管理
健康教育の実施
学校環境衛生管理児童生徒の心のケア・相談業務
患者の観察・アセスメント
医療処置の補助や実施
患者の療養上のサポート
投薬管理
患者や家族への説明・指導
医療チームとの連携

養護教諭の仕事は、児童生徒の健康管理や健康教育がメインです。子どもたちが健康的な学校生活を送れるよう、健康指導や環境整備を行ったり、ケガや体調不良の児童生徒に応急処置を施したりします。

また、心身の問題を抱える児童生徒の相談相手や保護者・医療機関との連携の橋渡し役となることもあります。教員として児童生徒と長期に関わるため、子どもたちの成長を感じられるやりがいが得られます。

一方看護師の仕事は、医師の指示のもとで行う医療処置の補助や提供、健康に問題を抱えた人の日常生活上のサポートなどで、職場や配属先により業務内容は多岐にわたります。

たとえば手術室に配属されれば、執刀する医師の補助的な役割を担います。また、介護福祉施設で勤務する看護師は、利用者の健康管理や日常生活援助が主な業務となるでしょう。

看護は人の命を預かる責任の大きな仕事です。それと同時に患者の回復を間近で見守り、支援できるというやりがいを感じられます。

参照元:文部科学省 養護教諭の職務内容等について
参照元:教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議(第3回)配付資料[参考資料7]

3:サポートする相手

養護教諭と看護師では、サポートする対象に違いがあります。

養護教諭がサポートする相手は、主に健康な子どもたちです。勤務する場所は小学校や中学校、高等学校で、対象となるのは人生の基盤となる能力や価値観を形成する重要な時期にあたる児童生徒です。そのため養護教諭は、ただ健康管理を行うだけでなく、子どもたちの成長や人格形成を促す教育的な側面を持っています。

一方で看護師の場合は、勤務する医療機関や介護福祉施設を利用するすべての人がサポート対象です。新生児から高齢者まで幅広い年代かつ多様な背景をもつ人々と関わることになります。

4:必要な資格・免許

養護教諭と看護師では、必要な資格や免許が異なります。養護教諭になるには“養護教諭免許状”が、看護師になるには“看護師免許”が必要です。

養護教諭免許状には次の3つの区分があり、それぞれ取得方法が異なります。

 一種免許状(4年制大学卒業相当)
 二種免許状(短期大学卒業相当)
 専修免許状(大学院修了相当)

免許の種類によって働ける職場や仕事の範囲に違いはありません。どの免許状を取得していても、養護教諭としての仕事に就くことができます。

なお、保健師資格を持っている人は必要書類を提出すれば二種免許状を、看護師資格を持っている人は、文部科学大臣指定の教員養成機関で必要な科目を履修すれば、一種免許状を取得できます。

ただし、免許状を取得しただけでは養護教諭として働くことはできません。 公立学校で働くためには、各都道府県の教育委員会が実施する教員採用試験に合格する必要があります。 私立学校で働く場合は、各学校が独自に行う採用試験を受験し、合格しなければなりません。

一方で、看護師になるためには、専門の教育機関で教育を受け、看護師国家試験に合格することが必須です。看護師国家試験は年に1回、全国で一斉に行われます。

国家試験に合格すると、厚生労働大臣から看護師免許が交付されます。看護師免許を持っていれば、全国の医療機関や介護福祉施設の採用試験を受けることが可能です。

参照元:教員免許状に関するQ&A:文部科学省
参照元:看護師国家試験の施行|厚生労働省

5:必要な知識・スキル

養護教諭と看護師、それぞれに求められる知識やスキルについて見ていきましょう。

養護教諭には、以下のように教育と健康管理の両面の知識が必要です。
 教育学や発達に関する知識
 保健指導のスキル
 応急処置の技術
 カウンセリング能力
 学校保健の知識 など

養護教諭には、学校に通う児童生徒全員に意識を向け、小さな変化や異変に気づく観察力が求められます。また、心身の問題を抱える児童生徒と交流し、悩みを引き出したり相談に応じたりするコミュニケーション能力や問題解決力も必要となるでしょう。

一方、看護師に必要な知識・スキルの例は、以下のとおりです。

 解剖学や生理学などの医学の知識
 看護技術
 薬理学の知識
 患者とのコミュニケーション能力
 アセスメントスキル など

医療現場で働く看護師は、医師の指示のもと医療行為を行うだけでなく、看護師としての専門知識を持ち、患者のアセスメントや看護を行います。

また、基本的な看護技術以外にも、勤務先や配属部署に応じて、必要な専門知識やスキルを身につけていかなければなりません。医療技術は日々進歩しており、看護師には常に新しいことを学ぶ興味関心や向上心が求められます。

6:通う学校・勉強する内容

養護教諭と看護師では、通う学校や勉強内容に違いがあります。

それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

養護教諭正看護師
通う学校4年制大学(免許状)

短期大学(二種免許状)

大学院(専修免許状)

4年制看護大学

3年制短期看護大学

3年制看護師養成所・専門学校

5年一貫制看護師養成課程学校

主な学習内容養護学・小児科・小児保健学・精神保健学・衛生学

公衆衛生学・救急処置・教育学など

看護学・精神看護学・解剖学・病理学・栄養学・公衆衛生学

臨床での実践的なスキル など

実習養護実習(2〜4週間程度)臨地実習(各専門分野で実施)
資格取得方法養護教諭養成課程修了看護師国家試験合格

養護教諭を目指す場合、一般的に4年制大学や短期大学の教育学部に通います。応急処置や健康に関する知識のほか、子どもの成長発達や学級運営をはじめとする教育学の基礎を学びます。

養護教諭養成カリキュラムには2〜4週間の教育実習があり、履修が必須です。実際に学校に通って養護教諭の仕事を間近で見て学ぶ重要な経験です。大学を修了することで、養護教諭免許状が習得できます。

一方、看護師を目指す場合は、看護大学や看護専門学校で学びます。解剖学、生理学などの医学的知識の講義、実習を通してケアや看護技術を習得し、医療チームの一員として働くための知識やスキルを身につけるのです。

また、臨地実習では実際に患者を受け持ち、看護師としての実践的なスキルを磨きます。実習は、学んだ理論を実際の医療現場で適用する重要な機会です。患者とのコミュニケーション能力や緊急時の対応力も養うことができます。

両職種とも、座学だけではなく実践的な学びが重視されます。実習では養護教諭は教育と健康の両面から子どもをサポートする能力を、看護師は幅広い医療知識と技術を身につけることが求められるのです。

参照元:広島県 養護教諭普通免許状の取得
参照元:看護職を目指す方|看護教育ポータル 発見・看護!|厚生労働省

養護教諭と看護師、それぞれに向いている人の特徴

養護教諭と看護師、どちらも対象者の健康に関わる仕事ですが、求められる役割が異なります。養護教諭は教育者としての側面が強く、看護師は医療に関する専門性や責任感が重要です。

養護教諭と看護師、それぞれに向いている人の特徴を見ていきましょう。

養護教諭に向いている人の特徴

養護教諭は、子どもが好きで、子どもたちの成長を見守っていきたいと考える人に向いています。たとえば以下の人が当てはまります。

 子どもが好きで、教育に興味がある人
 コミュニケーション能力が高く、人と話すことが得意な人
 緊急時に適切に対応できる人
 責任感を持てる人
 教職員や保護者と連携できる人

養護教諭は「保健室の先生」として学校に通う子どもたち全員の心身の健康を守る重要な役割を担います。教育職の一人として責任感をもって子どもたちに接することができる人に向いています。

また、保健室には様々な問題を抱えた子どもたちが訪れます。子どもと信頼関係を構築し、安心感を与える包容力、問題を解決するために必要な幅広い視野を持てる人が求められます。

看護師に向いている人の特徴

医療現場で活躍する看護師に向いている人の特徴は、以下のとおりです。

 人の役に立ちたいという強い意志を持っている人
 体力があり、ストレス耐性の高い人
 細かい観察力と洞察力を持っている人
 協調性があり、チームワークを大切にできる人
 医療や看護に関する知識に興味のある人

看護師は、患者の生命に直接関わる責任の大きな仕事です。そのため、責任感が強く、緊急を要する状況でも冷静に判断できる人に向いています。

また、夜勤や長時間労働、患者の移動介助などの力仕事が多いのも看護の仕事の特徴です。過酷な勤務をこなせる体力が必要であるといえます。

患者の痛みや苦しみに共感できる思いやりの心、医療チームの一員として他のスタッフと協力し合える協調性も、看護師には欠かせない要素です。

看護師が養護教諭免許を取得するメリット・デメリット

看護師が養護教諭免許を取得すると、医療機関だけでなく、教育機関で教員のひとりとして働くことができるようになります。キャリアの選択肢が増えることは大きなメリットです。

一方、看護師が養護教諭免許を取得することには、デメリットも存在します。ここからは看護師が養護教諭免許を取得するメリット・デメリットについて紹介します。

養護教諭免許を取得するメリット

看護師が養護教諭免許を取得することで、キャリアの選択肢が広がります。

看護師の勤務体系には、夜勤を含む交代制のところが多い特徴があります。睡眠時間が不規則になり生活リズムが崩れたり、年齢とともに体力的な不安が生じたりと、長く続けることが困難になることもあるでしょう。

一方、養護教諭の勤務体系は、多くの場合カレンダーどおりです。不規則勤務がつらいと感じる看護師にとって、養護教諭免許を持つことは、ワークライフバランスを整えるひとつの選択肢となりえます。

また、看護師の資格や経験は、養護教諭として働くにあたり、強みとなります。実際の教育現場では、医療的ケアが必要な児童生徒への対応技術や、適切な応急処置知識を持った養護教諭はそう多くはありません。看護師免許を持っていることで、就職も有利になることでしょう。

養護教諭免許を取得するデメリット

看護師が養護教諭免許を取得し、養護教諭を目指すことには、デメリットもあります。

まず、希望の職場で働きにくいことが挙げられます。養護教諭は各学校に1、2人の採用枠がありますが、すでに教員が足りている場合、募集がかからないこともあります。

また、公立学校の養護教諭採用試験に合格後は、自治体に採用されることとなります。必ずしも希望する学校に配属されるとは限りません。他の教員と同様、定期的に人事異動があるため、通勤の便の悪い職場になることも考えられます。

さらに、養護教諭になると、医療現場から離れて働くことになります。将来再び病院やクリニックで働きたいと考えている人は、看護師としてのブランクが空くことを考慮しておく必要があるでしょう。

養護教諭免許を取得する方法

養護教諭免許を取得するには、いくつかの方法があります。

 4年制大学の教育学部や看護学部で養護教諭のカリキュラムを修了する
 養護教諭養成所(専門学校)を卒業する
 短期大学の養護教諭養成課程を修了する

それぞれ見ていきましょう。

大学・専門学校・短大の教職課程を履修

養護教諭として働くためには、大学・専門学校・短大の教職課程を履修し、養護教諭免許状を取得する必要があります。

養護教諭免許状を取得できる教育機関は、以下のとおりです。

 4年制大学
 養護教諭養成所(専門学校)
 短期大学の養護教諭養成課程

最短で目指したい人は、2年制の短期大学や専門学校で二種免許状を取得するとよいでしょう。

ただし、短大や専門学校よりも、4年制大学出身の方が採用率は高い傾向にあります。4年制大学で時間をかけて学ぶことで、養護教諭として働くうえで必要な基礎学力があるとみなされるためです。採用試験対策にかけられる時間が長いことも、理由のひとつとして挙げられます。教育についてしっかりと勉強したうえで養護教諭になりたいという人は、4年制大学の教育学部に通うとよいでしょう。

また、看護系大学の中には、看護師国家試験受験資格と養護教諭一種免許の両方を取得できる大学もあります。看護師と養護教諭、どちらの仕事にも興味があるという人は、両方取得できる看護系大学に通うこともひとつの方法です。

参照元:令和5年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学:文部科学省

保健師資格を活かして養護教諭の免許を取得する

保健師免許を持つ人は、大学や短大・専門学校に再入学することなく、養護教諭二種免許状を取得できます。各都道府県の教育委員会に、保健師免許と必要書類を提出すれば、養護教諭二種免許状が交付されるのです。

ただし、下記の「規則第66条の6に定める単位」を各2単位修得していることが条件になります。
 日本国憲法
 体育
 外国語コミュニケーション
 数理、データ活用及び人工知能に関する科目又は情報機器の操作

二種免許を申請する際には、保健師の免許と共に、発行日から6ヵ月以内の「学力に関する証明書」を提出します。詳細は各都道府県の教育委員会のホームページで確認できます。興味のある人はチェックしてみましょう。

なお、このルートで取得できるのは養護教諭二種免許状のみです。看護師・保健師が養護教諭一種免許状を取得したい場合は、文部科学大臣指定の教員養成機関に半年〜1年以上在籍し、養護・教職関連科目を修得しなければなりません。

参照元:保健師免許を基礎資格として養護教諭二種免許状を取得する場合【申請書類等】 – 神奈川県ホームページ
参照元:広島県 養護教諭普通免許状の取得

まとめ

この記事では、養護教諭と看護師の違いやそれぞれの職業に向いている人の特徴を紹介しました。

看護師は医療従事者で、主に医療機関で治療の補助や患者のケアを担当します。一方で養護教諭は、教育機関で児童生徒の健康管理や保健教育を行う教育職です。看護師が養護教諭免許を取得することにより、教育機関で活躍することも可能となり、働き方の幅が広がります。

このように、看護師にはさまざまなキャリアが存在します。医療機関での経験を積んだ後、養護教諭として教育現場で活躍したり、訪問看護ステーションや高齢者ケア施設、保育園など、新たな分野にチャレンジしたりする選択肢もあるのです。

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