第一志望以外の病院は内定辞退してもよい?トラブルを防ぐ伝え方や注意点を解説

就職活動や転職活動中に複数の施設に応募した場合、内定をもらった施設に「内定辞退」を伝えなければならないこともあるでしょう。内定を辞退すること自体は問題ありません。しかし、伝え方や伝えるタイミング、基本的なマナーを知ったうえで、誠意ある姿勢で相手側に伝えることが大切です。

この記事では、病院へ内定辞退を申し出る場合に覚えておきたいことや内定辞退の伝え方、トラブルを起こさないための注意点を紹介します。

内定辞退について覚えておきたいこと

内定を辞退するにあたり、「自ら就職を希望したのに内定を辞退してもよいのか」と、悩む人もいることでしょう。しかし、内定を辞退することには問題はありません。まずは、内定辞退について覚えておきたいことを解説します。

内定辞退は違法ではない

内定を辞退することは違法ではありません。内定は、法律上では労働契約のひとつです。採用者から内定通知が出され、求職者が承諾した時点で成立します。内定承諾前であれば、雇用契約に同意したことにはならないため、内定辞退をしても違法にはなりません。

また、内定承諾後にあらためて内定辞退の申し出をする場合、労働契約を解除することになります。労働契約の解除についても、民法第627条に「 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」という規定があります。そのため、内定承諾後に辞退したとしても違法とはならず、求職者が責任を負う必要はありません。

出典:厚生労働省/労働政策審議会労働条件分科会 第49回資料

内定辞退を伝えるタイミング

内定辞退を決めた場合、伝えるタイミングが気になる人も多いのではないでしょうか。

民法第627条では、「雇用の解約申し入れから2週間経過することで雇用が終了する」と規定されており、内定にもこの定めが適用されます。つまり、入社日の2週間前までに内定辞退の意思を伝えれば、入社前に雇用が終了となるため、内定承諾後でも法律上は問題なく内定を辞退することができます。

ただし、内定辞退の申し出が遅くなればなるほど、病院の負担する時間や費用が増えてしまいます。内定辞退の連絡がない限り、内定者の入社を前提に準備を進めているからです。辞退すると決めたら、できる限り早く採用担当者に連絡しましょう。

内定辞退の理由は自分から伝えなくてもよい

内定を辞退する際には、辞退の理由を伝える必要はありません。採用側はどのような理由であっても内定辞退を承諾しなければいけないと規定されているためです。病院側から辞退の理由を聞かれた場合にのみ伝えましょう。

病院から理由を聞かれた場合でも、「個人的な都合」や「先に内定をいただいたほかの病院に入職が決定した」など、一般的な内容で問題ありません。労働条件や待遇については触れず、あくまで自分自身の事情を理由にすることをおすすめします。

しかし、一度内定を承諾したあとで辞退する場合には、より具体的な理由をきちんと伝える必要があります。病院側に納得してもらえるよう、誠実に対応しましょう。

内定承諾前に辞退するか考える

内定の辞退は、内定を承諾する前に申し出ましょう。
やむを得ない事情があり、一度内定を承諾したあとに辞退することになったとしても法律上問題はありません。しかし、相手にとって印象が悪く、ビジネスマナーには反するといえます。病院側とのトラブルを防ぎ、悪い印象をできるだけ与えないためにも、承諾後の内定辞退は避けたほうが無難です。

内定の承諾をする前に、この職場で働き続けられるのか、希望する条件に合っているかなどをきちんと考え、辞退するかどうかを決めることが大切です。

内定辞退を伝える3つの方法

内定を辞退する場合、できる限り早く、お詫びとともに連絡を入れましょう。病院側は、内定者が減ることで新たに人員を採用しなければならなくなる場合もあるためです。内定辞退の連絡をするときの手段について解説します。

1.電話

内定辞退を伝える手段として、最も適した方法が電話です。メールや手紙による連絡では、伝えたいことが一方的になったり、相手が読んだかどうかの確認ができなかったりと、誠意が伝わりにくくなります。電話での連絡であれば、直接自分の声で話ができるため、辞退の理由やお詫びを相手に誠実に伝えられるでしょう。

電話をかけて採用担当者に繋がれば、内定のお礼をしたあと、辞退する旨をはっきりと伝えます。辞退の理由は失礼のないよう簡潔に説明し、相手側に迷惑をかけたことを丁寧にお詫びします。

電話で内定辞退を伝える場合には、内定通知を受け取ってから3日以内を目安にしましょう。3日を過ぎてしまった場合でも、辞退すると決まればできる限りすぐに電話を入れることが大切です。

採用担当者が離席中の場合、伝言で済まさず、時間が経ってからかけ直し、必ず採用担当者へ直接伝えるよう心がけましょう。

2.メール

何度か電話連絡をしてもどうしても担当者に繋がらない場合は、電話をしたその日のうちに内定辞退をメールで伝えましょう。

メールによる内定辞退は、電話に比べると軽い印象を相手に与えがちです。メールで連絡する際には、「数回お電話いたしましたが、ご不在であったためメールにて失礼いたします」など、電話で直接伝えられないことへのお詫びを記載します。

また、文面により冷たい印象を相手に与えることもあるため、丁寧さを意識した文章になるよう心がけましょう。
なお、病院からの内定通知がメールで来た場合であっても、内定辞退の連絡は電話を推奨します。

3.手紙

内定辞退を伝える手段として、手紙はおすすめしません。手紙は発送から到着まで時間がかかり、内定を辞退する意思が相手に伝わるタイミングが遅れるためです。

内定辞退の連絡が遅れれば、その間も病院側は採用後の業務調整を進めることとなり、すぐに伝わる電話やメールよりも迷惑がかかってしまいます。内定辞退を伝える際には、電話またはメールを選びましょう。

詫び状は必要?

手紙で内定辞退を伝えるのは推奨しませんが、電話やメールで内定辞退を伝えたあと、あらためて詫び状を送るのはよいでしょう。

詫び状とは、謝罪する内容を記した手紙のことです。内定辞退の連絡は、基本的に電話で済みますが、電話だけでなく手紙でも謝罪の気持ちを伝えれば、相手により誠意を伝えられます。とくに、内定承諾後にやむを得ず辞退した場合や、知人の紹介による内定の辞退などの場合には、詫び状を送るようにしましょう。

詫び状は手書きが基本です。白地、縦書きの便箋に丁寧に記載しましょう。書き損じた場合には、修正テープや修正液は使用せず、新しく書き直すことがマナーです。

内定辞退でトラブルにならないための注意点

内定を辞退することは問題のある行為ではありませんが、スムーズに辞退の意思を伝えるために配慮すべきことがあります。内定辞退に関する注意点を解説します。

電話をするタイミングを考える

内定辞退の電話をする場合には、タイミングを考慮しましょう。
電話がつながりやすい時間は、施設ごとに異なります。病院や介護施設の場合は、始業直後と就業前は業務が立て込みやすく、担当者が電話に出られないこともあります。12時〜13時ごろのお昼休みの時間帯も避けたほうが無難でしょう。そのため、電話をかける時間帯は午前10~11時、または午後2~3時がおすすめです。

クリニックの場合は、診療時間の終わり頃や、午後診療が始まる20分程度前を目安にかけましょう。
内定辞退の連絡はできる限り早くすることが大切ですが、きちんと病院、施設側のスケジュールを考え、迷惑にならない時間帯を意識することも重要です。

丁寧な言葉ではっきりと伝える

電話では、丁寧な言葉を心がけ、担当者に不快感を与えないことが大切です。声が小さくなったり、こもったりすると聞き取りづらくなるため、不安な気持ちが強くてもはっきりとした発音を心がけましょう。

電話をかけた際に担当者が不在であった場合には、折り返しの電話を待つのではなく、自らかけ直すことをおすすめします。誠実な態度を示すことが大切です。

内定をもらったことへの感謝を忘れない

内定をもらったことへの感謝をきちんと伝えることも重要です。
辞退することになったとしても、内定をもらったことに変わりはありません。選考から内定に至るまでお世話になったことへの感謝を伝えてから、辞退により迷惑をかけてしまうことに対して謝罪の気持ちを丁寧に伝えましょう。

事情によっては、期間をおいて再度応募したいと考えることもあるかもしれません。感謝を伝える前向きな姿勢は、あらためて応募したいと考えたときに選考の機会をもらえるチャンスにもつながります。

電話で伝えられなかった謝罪も忘れない

電話がどうしても繋がらず、メールで内定辞退の意思を伝えることになった場合には、電話で伝えられなかった謝罪の一文を加えることをおすすめします。たとえば「先ほどお電話いたしましたが、ご不在でしたので、メールにて失礼いたします」のような内容です。

この謝罪の文が冒頭にあることで、直接意思を伝えたいという思いが相手に伝わりやすくなります。

内定保留も選択肢に入れておく

内定を承諾するか辞退するかの返答は、指定された期限内に行うことがルールです。しかし、ほかの応募先の結果を待ってから検討したい場合、内定辞退を即決できず悩むこともあるでしょう。すぐに返答できないときには、内定を保留する方法もあります。

内定保留とは

内定保留とは、内定承諾を決める期間を延ばしてもらうことです。
内定承諾後の辞退は病院側へ大きな迷惑をかけてしまうため、安易に承諾することは避けましょう。内定保留は、併願しているほかの病院の結果が出る時期がずれる場合や、現職の退職予定が確定していないなど、すぐに内定を承諾するか辞退するか決められないときの選択肢となります。

内定保留の希望をしたとしても、必ず認められるとは限りません。また、内定保留期間中にほかの候補者の入職が決定すれば、内定が取り消されることもあります。
これらを理解したうえで、内定保留の相談をしましょう。

保留できる期間

内定の保留をお願いするときには、回答の期限を設定し、その日までに必ず結論を伝えます。
内定保留できる期間は病院や状況により異なりますが、通常1〜2週間程度です。ほかの病院の結果を待っている場合には、その旨や結果発表の日程を伝え、保留期間を定めましょう。

内定保留について病院から了承を得られたあとは、連絡が途絶えて相手側に不安を与えないよう、適宜現在の状況を報告することをおすすめします。

保留の連絡は電話で行う

内定保留の連絡は、基本的に電話で行います。できる限り迅速に連絡を取るためです。
保留をお願いするときには、理由や事情の説明が必要となります。また、保留期間の調整も必要となるため、電話のほうがスムーズにやりとりが進むでしょう。

内定保留の相談で電話をかけるときも、相手の忙しい時間を避けること、丁寧な対応を心がけることは内定辞退の電話と同様です。電話が担当者に繋がったら、内定のお知らせについてお礼を述べたあと、保留したい旨を理由とともに伝えましょう。

保留できないこともある

内定保留は必ずしも受け入れられるとは限りません。
中途採用の場合、病院はすぐに人員を揃えなければならない状況にあることもあります。すぐに内定を承諾できない人は、内定が取り消されるケースもあることを理解しておきましょう。

保留を受け入れてもらえないときには、早急に承諾をするのか辞退をするのかの選択をする必要があります。

まとめ

この記事では、病院へ内定辞退をする場合に覚えておきたいことや、内定辞退の伝え方、トラブルを起こさないための注意点を紹介しました。

就職活動や転職活動の際には、複数の病院の採用試験を受けることも多く、内定辞退をすることは珍しくありません。内定辞退の意思は基本的に電話で伝えますが、どうしても繋がらない場合には、メールでもよいでしょう。どちらの場合も、内定をもらえたことに対する感謝の気持ちと、迷惑をかけたことへのお詫びを丁寧に伝えることが大切です。

また、内定辞退をできる限り避けたい人は、応募先と希望の条件に相違がないか、きちんと情報収集することも大切です。
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