看護師のキャリアアップの選択肢のひとつに「診療看護師(NP)の資格を取得する」という道があります。診療看護師を目指すにあたって、収入面は気になることのひとつでしょう。実際に診療看護師の資格を取得すると、手当がつくことが多く、一般の看護師と比べて年収アップが期待できます。
この記事では、診療看護師の年収や月収、資格の取得方法について解説していきます。
そもそも診療看護師とは?
診療看護師は、医師の指示に基づき一定の診療行為を行うことのできる看護師のことで、「NP(ナース・プラクティショナー)」とも呼ばれます。
この資格は、1960年代のアメリカで、医師不足や医療費高騰の問題を解決するために誕生しました。日本では、日本NP教育大学院協議会が認可するNP教育課程を修了し、認定試験に合格した看護師に資格が与えられます。医学的な知識とスキルを身につけた診療看護師は、患者の状態をみながら一定の範囲における診療を行うことができます。
医療行為は、以下の2種類に分けられます。
● 絶対的医行為:医師のみが実施できる医療行為
● 相対的医行為:医師の指示のもと、看護師が実施できる医療行為
診療看護師は、医師に代わり、相対的医行為のうち、厚生労働省が定める「特定行為(21区分38行為)」を実施することができます。たとえば、慢性疾患や生活習慣病を抱える患者への薬の処方、持続点滴中の患者の薬剤調整といった行為がそれにあたります。
看護師としてのスキルに加え、初期医療の知識・技術を身につけたエキスパートである診療看護師には、医師の負担の軽減、医師不在時の迅速な対応、医師と多職種の橋渡しなど、多くの役割が期待されています。
“診療看護師(NP) ” は、「看護ケアの視点」と「一定の診療スキル」のふたつを兼ね揃えた看護師です。看護師としてステップアップを図るために、診療看護師(NP)を目指そうと考えている人もいるのではないでしょうか。 この記事では、診療看[…]
参照元:日本NP教育大学院協議会
厚生労働省 特定行為区分とは
診療看護師の年収・月収はいくら?
アメリカでにおいては診療看護師は上級の看護師と定義され、高報酬を得られることが知られています。では日本での年収や月収はどのくらいなのでしょうか。
日本NP教育大学院協議会の報告書によると、「看護師としての給与と別に診療看護師(NP)としての手当が支給される」と回答した人が63.3%、「看護師としての給与と同等(プラスαの支給はない)」と回答した人が19.8%でした。資格手当は医療機関により異なりますが、相場は6万円程度です。
また、看護師全体の平均年収は約508万円、月収は約35万円です。病院によって基本給やボーナス額に幅があることから、診療看護師の年収は508万円〜650万円程度、月収は35万円〜41万円程度だと予想されます。
参照元:令和5年賃金構造基本統計調査|e-Stat
令和3年度診療看護師(NP)活動実態調査
診療看護師とほかの看護師の年収を比較
診療看護師と認定看護師・専門看護師との年収の違いについてもみていきましょう。日本看護協会の調査によると、専門看護師・認定看護師資格を持つ看護師に対し、半数以上の医療機関が資格手当を支給していないことがわかりました。専門看護師・認定看護師は資格を取得したからといって、必ずしも手当を受け取れるとは限らないようです。
また、資格手当を支給する医療機関の月平均支給額は、以下のとおりです。
● 専門看護師:11,279円
● 認定看護師:8,530 円
このことから、それぞれの年収、月収の目安は以下のようになります。
月収 | 年収 | |
診療看護師 | 35〜41万円 | 508〜580万円 |
専門看護師 | 35〜36万円 | 508〜522万円 |
認定看護師 | 35〜36万円 | 508〜518万円 |
診療看護師には資格手当を支給する医療機関が多く、手当額も専門看護師・認定看護師より高い傾向にあります。その分、年収も高くなります。なお、認定看護師や専門看護師の資格を持つ看護師のなかには看護師長や主任といった管理職・リーダー職を任される人も多く、その場合、役職手当が別途つくため、年収は表より高くなるでしょう。
参照元:「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書
診療看護師になるためには
診療看護師になるためには、看護師として5年以上の経験を積んだのちに、指定された大学院で学ぶ必要があります。具体的な条件は以下のとおりです。
● 5年以上の看護職経験を積む
● 診療看護師養成カリキュラムのある大学院修士課程を修了する
● NP資格認定試験に合格する
診療看護師養成カリキュラムのある大学院は、全国に19箇所あります(2025年2月現在)。対象の大学院の詳しい情報は、日本NP教育大学院協議会のサイトで確認できます。
また、診療看護師資格の認定試験は、毎年3月に行われます。試験方法は筆記試験のみで、出題科目は以下のとおりです。
● NP(診療看護師)論
● 疾病予防・健康増進
● 医療倫理
● 医療安全・関係法規
● 病態機能学
● 臨床薬理学
● クリニカルアセスメント
● クリニカルマネジメント
また、その年の試験に不合格になった場合も、翌年度以降の再受験が認められています。
参照元:会員校紹介 | 一般社団法人 日本NP教育大学院協議会
NP資格認定試験について | 一般社団法人 日本NP教育大学院協議会
診療看護師は働きながらでも目指せる?
働きながら診療看護師を目指したいと考える人もいるでしょう。
前提として、フルタイムで勤務を続けながら大学院で診療看護師の勉強をすることはむずかしいでしょう。学習カリキュラムのなかには臨床実習や研修も含まれており、実習は基本的に平日に日中に行われるためです。
これらを踏まえ、現在の職場に籍を置きながら診療看護師を目指すには、以下の方法が考えられます。
● 休職して大学院に通う
● オンライン講義のある大学院に通う
● 週に2日程度働きながら大学院に通う
大学院によっては、講義を夕方や土曜日に行うところもあります。オンライン講義に対応した大学院もあるので、自身の希望の働き方に合わせて選びましょう。
まとめ
診療看護師は高い専門性を持ち、医師の指示のもと、一定の範囲の診療が行える魅力的な資格です。年収は508〜650万円と一般の看護師より高くなる傾向にあり、資格を取ることで高収入も期待できます。資格取得には、実務経験を積んだり大学院に通ったりと、時間と努力が必要ですが、その分だけやりがいのある仕事です。
より専門的なキャリアを目指したい人にとって、診療看護師は魅力的な選択肢となるでしょう。
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