仕事が忙しいイメージのある看護師の職業。看護師を目指している人、これから看護師として勤務する人のなかには、きちんと休みが取れるのか心配な人 もいるのではないでしょうか。看護師として働くにあたっても、しっかり休みを取ることができます。
この記事では、看護師の年間休日や休暇制度について解説します。 先輩看護師の休みの過ごし方についても紹介しているので、参考にしてみてください。
看護師の主な休日制度・休暇制度について
以前はサービス残業も多く、休みが少ないところの多かった看護師の職場。地域や施設形態によって差はあるものの、現在は多くの医療機関において、看護師の休日制度は4週8休制に加え、祝日休みまたはその代休を取れるようになっています。また、一般企業と同じように有給休暇の取得・消化も可能です。有給休暇は労働基準法で定められている休暇で、雇用から6か月の継続勤務があり、なおかつ労働日の8割以上出勤した人に付与されます。
上記のほかにも、医療機関ごとに以下の休暇が付与されます。
● ゴールデンウィークまたはその代休
● 夏季休暇
● 年末年始休暇
● 慶弔休暇
など
看護師の休みは実際どれくらい?
「看護師は休みが取りにくい職業である」という印象を抱く人も多いですが、実際にはどうなのでしょうか。ここからは看護師の平均的な年間休日や有給休暇の消化率についてみていきます。
1:平均年間休日
看護師の平均年間休日は116.6日と、全職種の平均年間休日である115.6日とほぼ変わりません。さらに詳しくみると、平均年間休日が120~130日の医療機関が4割以上を占めており、一概に看護師は休みが少ないというわけではないようです。
参照元:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」
年次有給休暇の取りやすさと有給消化率
日本看護協会が実施した「2023年病院看護実態調査報告書」によると、看護師の有給休暇の消化率は平均67%と報告されています。有給休暇の取得・消化は労働者の権利であるものの、多くの看護師はそのすべてを消化できるわけではありません。
医療現場は慢性的な看護師不足に陥っており、スタッフ全員が有給休暇を消化するとなれば、病棟業務を回せなくなるためです。医療機関の病床数ごとの有給休暇消化率をみると、医療機関の規模が小さい方が有給休暇の消化率が高く、規模の大きい医療機関では有給休暇の消化率がそれほど高くない傾向にあります。
有給休暇の未消化分は翌年まで持ち越されても、翌年も消化できない看護師が多いのが現状です。一般企業のなかには、未消化分の有給休暇を買い取るところもあるようですが、多くの医療現場では行われていません。
参照元:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」
《勤務形態別》看護師のシフト例
病院の病棟や救急外来は365日24時間体制で稼働しているため、看護師はシフト制で働くことになります。看護師の休日パターンはシフトによって傾向が異なります。ここでは、看護師のシフト例についてみていきましょう。
1:2交代制のシフト例
2交代制は、「日勤」と「夜勤」の2つの勤務帯を持つシフト制です。これまでは日勤と夜勤それぞれ12時間であることが多かったものの、最近では日勤8時間、夜勤16時間とする変則型の2交代制を取る医療機関が増えています。
2交代制のシフト例は以下です。
2交代制では夜勤が長時間に及ぶため、夜勤 明け後の休日を2日間連続にするところも多くあります。医療機関によっては看護師に2日連続で夜勤に入らせるところもあります。毎月の夜勤入り数が少なくなることで、夜勤時の生活リズムが合わせやすくなり、ひと月全体の昼夜逆転の頻度を減らせるのです。
2:3交代制のシフト例
3交代制は、「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つの勤務帯からなるシフトです。それぞれの実働時間は8時間となります。
3交代制のシフト例は以下です。
3交代制は、夜勤を準夜勤務と深夜勤務に分けており、夜勤の勤務時間が短いのが特徴です。夜勤による昼夜逆転が起こりにくい一方で 、シフトのパターンが複雑になる傾向があります。
3:夜勤専従常勤のシフト例
夜勤専従とは、看護師が夜勤帯のみ働く勤務形態のことをいいます。夜勤専従の働き方は昼夜逆転の生活になりますが、夜勤手当が付くため、高収入を得たい看護師から人気があります。
夜勤専従の多くは、16時頃から翌9時頃までの勤務です。夜勤明けは午前中に帰宅できるため、体力があれば、夜勤明けの日も休日と同じように過ごすことができます。
夜勤専従の正社員(夜勤常勤)のシフト例は以下です。
看護師の休日・休暇についてよくある質問
ここでは、看護師の休日や休暇について、よくある質問とその答えを紹介します。
1:土日・祝日は休める?
看護師も土日や祝日に休むことができます。ただ病院の病棟勤務の場合、土日祝を含めたシフト制となるため、平日休みになることもあります。既婚の看護師は、家族と一緒に過ごすために、土日休みを好む人が多いものです。独身の看護師で土日休みを重視しない人のなかには、平日の最大5連続勤務に対して苦手意識を持つ人もいます。
なお夜勤デビューする前の新人看護師であれば、最初の数か月は平日の日勤業務が中心となるため、土日休みを取りやすくなります。
2:1年目の新卒看護師は休める?
1年目の新人看護師も先輩看護師と同様に、夏季休暇・年末年始休暇といった季節休暇を取得できます。ただ有給休暇数については、勤務年数や勤務日数によって付与される日数が異なるため、新人看護師や転職してから間もない看護師は消化できる日数も少なくなります。
3:長期休暇は希望通りにとれる?
シフトに大きな影響がない範囲であれば、夏季休暇や年末年始休暇の希望を出せます。医療機関にもよりますが、夏季休暇は6月から9月のあいだに、土日休みと合わせて7~9日ほど取得でき、年末年始休暇は12月から2月までに1週間ほど取得することができます。
ただ年末年始休暇は、家族ぐるみの付き合いが必要な既婚の看護師が優先されることが多いようです。その分、独身の看護師は年末年始に勤務し、別の日にまとまった休暇を取ることになります。
年末年始は外泊希望を出して一時帰宅する患者さんも多く、平常時よりも入院患者数が少なくなります。業務負担が軽いうえに、休日出勤手当を出す医療機関も多いことから、年末年始に率先して勤務希望を出す看護師もいます。
看護師は休みづらいと言われる理由とは?
世間でいわれているよりも、看護師はしっかり休日や休暇を取ることができます。ここでは「看護師は休みづらい」と思われる理由についてみていきましょう。
1:土日・祝日に休みを取りにくい場合があるから
看護師として働く場合、すべての土日や祝日に休みを取れるわけではありません。病院の病棟勤務であれば土日祝を含むシフト制となります。またクリニックでも土曜診療を行っているところも多くあります。看護師も土日や祝日に休み希望を出すことはできますが、シフト状況によっては希望日に休みが取れるわけではありません。
多くの企業や学校は土日・祝日が休みのため、シフト制の勤務が多い看護師は「休みが取りにくい」と思われてしまう原因といえるでしょう。
2:休みが不規則で予定を合わせにくいから
看護師の休みは土日や祝日に固定されているわけではなく、シフトによっては平日休みも多くあります。一般企業で働く会社員と同等に休日数は確保できるものの、看護師の休日は不規則で予定が合わせにくいため、「休みを取りにくい」と思われることがあります。
3:年末年始は勤務になることが多いから
看護師のなかには、年末年始に勤務しなければいけない人も多くいます。外来やクリニックは年末年始に休診となるところが多いですが、病院の病棟は365日24時間稼働しているためです。年末から正月にかけて、家族とゆっくり過ごす伝統をもつ日本では、年末年始に勤務が必要な看護師は「休みが少ない」と捉えられやすくなります。
4:シフトの希望が通らない場合があるから
病棟勤務の看護師の場合、シフトを作成する看護師長に休みの希望を出すことができます。これを「希望休」と呼びます。希望休はなるべく配慮されますが、希望のすべてが通るというわけではありません。
同じ日に休み希望を出している看護師が複数いれば、誰かの希望が通らなくなる可能性があります。とくに病棟では、勤務者の経験年数やパワーバランスに偏りがでないようにシフトを調整しなければなりません。調整した結果、看護師の希望どおりに休みが取れないこともあるでしょう。
5:夜勤明けが休みとみなされてしまう場合があるから
「夜勤明け」はあくまでも夜勤を終えた日のことで、休日ではありません。しかし3交代制では、夜勤明けの翌日に準夜勤務になることがあります。夜勤明けは帰宅後に睡眠を取る人が多いものです。時間を有効活用できずにそのまま翌日の勤務を迎えることになれば、休みが少なく感じられるかもしれません。
6:休日出勤を求められる場合があるから
病棟勤務の看護師は、スタッフに急な休みが必要になったときや早退者がでたときに、出勤を頼まれるケースがあります。自身の休日に出勤を求められ、休みを返上することもあります。休日出勤をした後に代休の取得を調整できなければ、休日数が減ることもあるのです。
看護師が休みの希望を叶えるコツ・ポイント
看護師として働くうえで、ワークライフバランスを重視したい人、仕事とプライベートをしっかり分けたい人もいるでしょう。ここでは、看護師が希望通りに休みを取るポイントについて説明します。
1:早めに休暇の希望を出す
翌月にイベントや旅行の予定がある人は、なるべく早めに休暇の希望を出すようにしましょう。多くの医療機関では、翌月の勤務表を作成する前に、全員の休み希望を確認します。友人の結婚式への出席など大事なイベントや小旅行が控えているときは、前もって看護師長に相談してみましょう。
2:夜勤明けの日を活用して連休を作る
まとまった休日を取りたい人は、夜勤明けから連休を取るとよいでしょう。夜勤明けの日は午前中に帰宅できます。体力がある人であれば、休息後に一日を有効活用できます。夜勤明けに連休を取れば、休日数がプラス1日増えた感覚になるでしょう。
3:同僚とコミュニケーションをとる
長めの休みを取りたいときは、同僚たちとスケジュールを調整し合うことも大切です。複数の看護師が同じ時期に休みを取ると、病棟は機能しなくなってしまいます。長い休みを取りたいときは、同僚とコミュニケーションを取り、休みの希望日が重ならないように調整するとよいでしょう。
4:月をまたいだ有休を申請する
休みを長く取るにあたり、月をまたいで休み希望を出す方法があります。休暇にふた月分の週休みをつけることで、さらに長い休暇を取ることができます。海外旅行などでまとまった休みが必要なときは、月末と翌月始めに休み希望を出すとよいでしょう。
5:休みを調整しやすい職場・施設に就職・転職する
現在働いている職場で休み希望の融通が利かない場合は、休みを取りやすい職場を選ぶのがおすすめです。365日稼働している病棟よりも休診日のあるクリニックの方が休日や休暇は取りやすくなります。
また病院では一般的に看護師長がシフトを作成しますが、看護師数が少ないクリニックでは、スタッフがみんなで相談しながらシフトを作成することもよくあり、希望休の調整がしやすいでしょう。
【おまけ】現役看護師に聞いた休みの過ごし方
実際に働いている看護師は、休日をどのように過ごしているのでしょうか。ここでは、現役看護師の休日の過ごし方をいくつか紹介します。
独身の病棟勤務看護師
家庭持ちのママさん看護師
フリーランス看護師
まとめ
休日や休暇を取りにくいイメージの看護師ですが、一般企業と同等にしっかり休日を取ることができます。ただ病棟勤務の看護師は人員不足の影響が出やすく、有給休暇をすべて消化できないこともあります。
看護師は心身ともにストレスがかかりやすい職業のため、休みの日にリフレッシュすることが大切です。ワークライフバランスを重視し、長く働き続けるためにも、休日や休暇の取得しやすい職場探しをするとよいでしょう。
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