転職には履歴書がつきものですが、書き方や例文の紹介の多くが一般企業に提出するもので、「看護師が転職するとき、履歴書をどう書けばいいのかよくわからない」と悩む人もいるのではないでしょうか。
看護師の履歴書も、基本的なルールは一般企業に提出するものと同じです。しかし、看護師ならではのルールがあります。
そこで今回は看護師が履歴書を書く際に知っておきたいルールや志望動機の書き方などについて、志望動機の文例とあわせて紹介します。参考にしてみてください。
履歴書を書くために用意するものは?
履歴書の書式に職種ごとの違いはありません。看護師が病院や介護福祉施設に提出する際も、一般企業に提出するものを使用できます。履歴書をつくる前に、 以下を準備しましょう。
● 履歴書:紙の履歴書は書店やコンビニなどで購入できます。一般的な履歴書のサイズはA4(見開きA3)です。ハローワークインターネットサービスや都道府県の労働局のホームページからPDFファイルやExcelファイルをダウンロードすることもできます。
参照元:ハローワーク インターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」
● 証明写真:紙・PDF、どちらの履歴書にも証明写真(タテ40mm×ヨコ30mm) を添付する必要があります。 履歴書に添付する証明写真は、撮影から6ヶ月以内のものを使用しましょう。
● 印鑑:紙の履歴書のなかには、印鑑を押す欄 があるものもあります。シャチハタタイプのものではなく、認印(朱肉を用いるタイプ)を用意するようにしましょう。
履歴書は手書きの方がいい?
履歴書は手書きでもパソコンで入力したものでも問題ありません。ただし、応募先から指定がある場合には、 それに従いましょう。
以前は手書きの履歴書が好まれましたが、近年ではパソコンでの作成が好まれる傾向にあります。とくに電子カルテやパソコンを使用する職場へ履歴書を提出する際は、パソコンで 作成したほうがよいかもしれません。「パソコンの基礎スキルが身についている」というアピールにつながります。
一方で手書きの履歴書は「キレイな文字が書ける」「漢字に間違いがない」といった点で、採用担当者に好印象を与えます。 カルテ記入や問診表への追記など、現場で文字を書く機会も多い看護師 の仕事。丁寧に仕上げた履歴書を提出することで、採用担当者に 「この人なら丁寧な仕事をしてくれそうだ」という好感を抱いてもらえる可能性もあります。
履歴書は正式なビジネス文書です。手書きの際は、鉛筆やシャープペンシル、筆跡を消せるタイプのボールペンを使うのは避けましょう 。
履歴書の基本的な書き方・マナー
看護師ならではの履歴書の記載 ルール
看護師の多くは一般企業ではなく、医療機関や介護福祉施設に勤めていることでしょう。会社勤めではないため、経歴を記載する際に「入社・退社」という言葉は用いません 。看護師が履歴書をつくるうえでのルール をおさらいしておきましょう。
● “志望動機”欄で応募先について書く際、病院やクリニック の場合は“貴院”、介護福祉施設の場合は“貴所”・“貴施設” と記載する
● 医療法人や社会福祉法人に対しては“貴法人”と記載する
《項目別》履歴書の基本的な書き方
ここからは、履歴書の項目ごとに書き方やポイントを解説していきます。
参照元:ハローワーク インターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」
1:写真
証明写真は、紙で提出する時にもPDFで提出する時にも 、添付する必要があります。 証明写真は多くの人が、便利で身近なスピード写真機で撮影することでしょう。 なかにはよりよい証明写真を使いたいと考え、写真スタジオや写真館で撮影する人も。プロにお願いすることで、好印象を与える写真に仕上がるだけでなく、応募先にふさわしい表情や身だしなみのアドバイスをもらえます。
写真サイズは「タテ40mm×ヨコ30mm」が一般的で、必ず6か月以内に撮影したものを使用します。また、証明写真の裏には氏名を記しましょう。万が一貼ったあとに剥がれてしまっても、採用担当者が誰のものか気づいてくれるかもしれません。
履歴書の証明写真は、応募者の第一印象に大きく関わるものです。 証明写真を撮る際は、外見にも気を配りましょう。
● 髪の毛:服装と同じく落ち着いた色味がオススメです。一般企業もOKとされるのは、カラーチャートの7番くらいまで。髪の毛の長い人は清潔な印象を与えられるよう、髪はまとめておきましょう。
● メイク:女性の場合はナチュラルメイクがよいとされています。プライベートで好んでするようなメイクは避け、表情が明るく見える程度にしましょう。
証明写真を撮った際、「思っていたより写りがイマイチだな…」と感じたことのある人も多いのではないでしょうか。「いつもはメイクをしない」という人も、明るい印象の写真に仕上がるよう、 ベースメイクをしたり眉毛を整えたりすることをオススメします 。
2:日付
履歴書の日付には“提出日 ”を記載します。提出日は「応募先に書類を提出する日」です。面接に持参する場合は“面接日”を、郵送する場合は“投函日”を 記載しましょう。
3:氏名
履歴書の“氏名”欄には、戸籍に登録されている字体で記載します。画数が多いなどの理由でふだんは略字を使用している人も、戸籍と同じ文字で記載しましょう。(例:“齋藤”をふだん“斉藤”と書いている )
履歴書を見る人にとって、氏名はいちばん最初に目に入る情報です。丁寧に書くことも大切なポイントです。
4:生年月日
履歴書に 生年月日を書く際、「年号は西暦と和暦のどちらで書くべきなのかな」と迷う人も多いのではないでしょうか。履歴書の生年月日を記載する欄に 、西暦と和暦のどちらで書くという決まりはありません。どちらかを選び、履歴書の日付や学歴・職歴、資格欄などと統一して記載しましょう。
5:住所
“住所” 欄には現住所を記載します。都道府県名からマンションやアパートの名前と部屋番号まで、略さずに表記しましょう。なお番地の正式な書き方は「1丁目2番地3号」です。
もし現住所以外への連絡を希望する場合は、 連絡先の欄に、その住所や電話番号・メールアドレス などを記載します。とくに記載するものがなければ、 連絡先欄は空欄のままで問題ありません。
6:電話番号・メールアドレス
“電話番号” 欄に記載するのは、携帯電話と固定電話のどちらでもかまいません。連絡の取りやすいほうを記載しましょう。
履歴書のなかには“メールアドレス”について記載する欄がないものもあります。 その場合は“連絡先”の欄にメールアドレスを記載します。複数のメールアドレスを持っている人は、いちばん 連絡が取りやすいものにしましょう。
7:学歴
“学歴”欄 は入学・卒業の古い順に記載します。看護師の場合は高等学校、看護学校または短大・大学の順番です。高等学校の項目には“普通科”・“商業科” など学科も記載します。
なお、入学・卒業年を西暦にするか和暦にするかは、ほかの欄と統一します。 職務経歴書も提出するのであれば、履歴書と職務経歴書の表記を合わせるようにしましょう。
8:職歴
“職歴”欄 も学歴と同様に、古い日付から順番に書きます。 一般的に、“入社”と“退社”、“入職”と“退職”がセットになります。医療機関や介護福祉施設での勤務歴を記載する際は、「入社・退社」ではなく「入職・退職」または「勤務・退職」を使用します。 企業に勤めた経験のある看護師は、その経歴部分 については「入社・退社」と記しましょう。
退職理由に関しては「一身上の都合により退職」「出産のため退職」「定年退職」など、簡潔に記しましょう 。 職歴欄の最後には“以上”と記載します。
なお、学生時代の アルバイトについては 記載する必要はありません。ただし、アルバイトの職務内容が応募先の職務内容に関連していたり、責任のあるポジションに就いたりしていた場合には、応募先へのアピールになります。アルバイト就業である旨を添えて記しておくとよいでしょう。
9:免許・資格
免許・資格の記載順は、応募先に対するアピール力の高い順にするのがオススメです。看護師の場合は“看護師免許”を一番上に記載しましょう。 保健師や助産師・認定看護師 等の免許や資格を取得している人は、それらを上位に記載します。 資格をたくさん持っている人は、応募先の職務内容に関係するものを選んで記載します。また、いつ、どの資格 や免許を取得したのかをわかりやすくするため、学歴や職歴と同様に古い順で記載するのもよいでしょう。
もし資格取得に向けて勉強中の場合は 、それを記載することで 意欲や能力のアピールにつながります。一時試験のみ合格、二次試験待機中といった現状を明記しておくとよいでしょう。
10:志望動機
“志望動機”欄 は採用担当者に自身をアピールするうえで、もっとも重要な項目です。「応募先を選んだ理由」「活かせるスキルや経験」「どのような活躍ができるのか」 といった要素を織り交ぜ、志望動機をまとめるとよいでしょう。
志望動機は「いざ書こうとするとなかなか浮かんでこない」 という悩みを抱く人 も多いようです。まずは求人票やホームページなどを確認し、応募先についてよく知るところからはじめましょう。そのうえで具体的な内容を考えます。とくに看護師としてのスキルや経験はアピールポイントとして欠かせません。自信のある手技 、活かせる経験は必ず記載するようにしましょう。
11:自己PR(長所・短所)
志望動機欄以外に“自己PR”欄 がある場合は、自身の持つスキルや応募先で活かせる経験について詳細に記載します。自己PR欄は志望動機欄と合わせて、採用担当者が重視する部分です。また 志望動機と自己PRは面接の場面でもよく聞かれるものです。 採用担当者にうまく説明できるよう、 面接の場での会話をイメージしながらまとめるとよいでしょう。
志望動機欄では主に「なぜ応募先で働きたいのか」をアピールするのに対し、自己PR欄では「応募先が求める職務内容をこなせる能力や適性があること」をアピールします。自己PR欄は、志望動機欄に書いたスキルや経験を「どう活かして活躍できるのか」を深堀りして書くのがオススメです。過去の職場で自身の性格や能力を発揮できた場面や具体的なエピソードがあると、より伝わりやすくなるでしょう。
12:趣味・特技
趣味・特技欄の書き方も意外と悩ましいものです。ここではふたつのパターンを紹介します。
① 応募先で活用できる「技能・技術」を記載する
仕事で活かせるスキルを特技として書く方法です。穿刺やルート確保など、 自信があり、応募先で活用できるスキル を書きましょう。
② 個人的な活動について記載する
スポーツやボランティア活動など個人的な活動を書く方法です。応募先の職務内容で活かせるようなものがあれば、それを優先しましょう。
どちらのパターンを選択するうえでも、大切なのは「応募先で活かせそうなものであること」。 看護師としての経験やスキルはもちろん、自身の得意なことで応募先の仕事内容とリンクすることがないか、考えてみましょう。
13:本人希望欄
“本人希望” 欄は勤務条件や勤務地の希望などについて記載する欄です。もし具体的な希望があっても、書かないのがベター。「働き方に制限の多い人だ」と否定的に受け取られ 、書類選考で落とされてしまうこともあるからです。希望がある人は、面接の場で採用担当者に伝えましょう。
特記事項がなければ「特になし。」「勤務条件は貴院(貴施設)の規定に従います。」と記載します。病院や有床クリニックなど配属先が複数ある職場で 、就業を希望する部署を記す分には問題ありません。(記載例:「病棟への配属を希望します。」)
【転職理由別】看護師の志望動機の文例
志望動機は学歴や資格など、事実のみを記載する項目とは異なり、自分で内容を考えなくてはなりません。
履歴書のなかでも、とくに書くのがむずかしいと感じる人は多いのではないでしょうか。志望動機に盛り込みたい内容は、以下の通りです。
● これまでに培った経験やスキル
● 採用された際の意欲や熱意を伝えるメッセージ
これらの内容をうまくまとめるにあたり、どうしたらよいかわからないという人もいるでしょう。ここからは転職の理由別に、志望動機の文例を紹介します。
前職で不満やトラブルがあって転職したい場合
前職で不満やトラブルがあって転職する場合、その内容をストレートに書くとネガティブな印象を与える可能性があります。具体的な内容には触れず、以下のように書くとよいでしょう。
前職では看護師として〇年勤めてきましたが、より高いレベルの看護を学べる現場で働きたいと思い転職を決意しました。貴院を志望したのは、個々の成果を正当に評価する制度が整っており、自分のスキル向上やキャリアアップにつながると考えたためです。
結婚・出産・育児などを経て転職したい場合
結婚や出産、育児による転職は、シフトの調整が必要といった観点から採用時に懸念材料とされることがあります。そのため、「今はプライベートの状況は落ち着いており、業務に支障はない」ということをアピールするとよいでしょう。
看護師として〇〇科病棟で〇年勤務していましたが、出産を機に一時的に仕事を休むことになりました。育児が一段落したため、もう1度看護師として働きたいと考えております。貴院を志望したのは、前職での実務経験や育児経験が役立つと感じたためです。新たに知識を学びなおし、貴院に貢献できるよう努めますので、よろしくお願いいたします。
未経験の診療科・配属先に転職したい場合
未経験の診療科・配属先に転職したい場合は、なぜその領域に進みたいと考えたのか、経緯や熱意をアピールしましょう。
家族が○○という病気を患った経験から、同じ病気で苦しんでいる患者様を支えたいと思うようになりました。貴院は○○科を専門としており、より深く学べると思ったため志望いたしました。これまで○○科病棟で勤務しており、○○科を扱う部署で働くのは初めてですが、これから知識を増やして患者様やそのご家族をサポートできるようになりたいと思っています。
スキルアップを求めて転職したい場合
スキルアップを求めて転職する際は、転職の理由そのものがポジティブなものなのでのため、その思いを素直に書くのがオススメです。スキルアップしたうえで、どのように職場に貢献するつもりなのかも書いておくと、さらに印象がよくなるでしょう。
私は○○年間、看護師として勤務してまいりました。今後は教育制度が充実している環境にて○○のスキルを身につけて、キャリアップを目指したく存じます。
貴院を志望したのは、以前参加させていただいた勉強会で、講義内容のレベルが非常に高いと感じたためです。これまで以上に努力し、貴院に貢献してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
履歴書を書き終えた後のチェックポイント
履歴書を書き終えたら誤字脱字がないかなどをチェックします。また学歴や職歴・ 資格欄の年月が間違っていないかも確認しましょう。ほか、以下のような点はよく目を通しておきましょう。
● 日付は記載されているか
● 連絡先(携帯電話の番号やメールアドレス)に誤りがないか
● 西暦と和暦が混ざっていないか
● 学校の入学・卒業、職場の入職・退職の年月に間違いはないか
● 資格取得の年月に間違いはないか
● 書き忘れている資格や免許はないか
履歴書を封筒に入れる際のマナー
履歴書は、必ず封筒に入れて渡します。 持参する場合と郵送する場合、それぞれのマナーを確認しておきましょう。
1:履歴書を持参する場合
履歴書を面接時に持参する場合は、書類を折らずに渡せるよう、大きめの封筒に入れましょう。一般的に封筒の色は白または薄茶色、サイズは“角2型”です。クリアファイルに入れる、ゼムクリップで止めるなどすると、採用担当者が封筒から取り出した際に、書類が散らばる心配もありません。また「相手に対し配慮ができる人だ」という印象も伝えられます。
なお、履歴書の入った封筒は、採用担当者以外が代理で受け取ることも考えられます。 そのため封筒の表面中央には“法人名”・“担当者の所属部署”・“担当者名” を、左下には赤字で「応募書類在中」と記載しておきましょう。
2:履歴書を郵送する場合
履歴書を郵送する時にも白または薄茶色の封筒を用います。一般的に封筒のサイズは“角2型”です。市販の履歴書には“長3型”が同封されていることもあり、それを利用しても問題ありません。必要な書類や郵送の手順は以下の通りです。
【必要書類】
● 応募書類:履歴書や職務経歴書など
● 送付状:応募先に送付する際には一番上に送付状(添え状やカバーレターとも呼ばれます)を付けます。送付状は一般的に、A4縦サイズ・白無地の紙にパソコンで横書きしたものを使用します。
【郵送の手順】
① 応募書類をまとめる
応募書類がそろったら、「送付状→履歴書→職務経歴書」の順番でクリアファイルに入れるか、ゼムクリップでまとめます。ハローワークからの紹介状がある場合は、送付状の次に入れます。
② 封筒に必要事項を記載する
宛先の住所、法人や事業所の名称 、担当部署、担当者名を記載します。封筒の表面左側には赤字で「応募書類在中」と記載しましょう。
③ 応募書類を入れて封をする
封筒はのり付けで封をして、“〆”印を付けます。これは封筒が未開封であることを示すためのものです。セロハンテープやホチキスで封をするのは厳禁です。
④ 発送する
郵便料金を確認し料金分の切手を貼ったら、ポストに投函します。 郵便料金が不足することを防ぐためにも、郵便局の窓口から発送することをオススメします。
まとめ
履歴書の作成方法やマナーを知る機会がなく、「これまでなんとなく作っていた」「ルールやマナーがあることを知らなかった」という人も少なくないことでしょう。
また「履歴書を書くのは新卒で就職する時以来で、正しい書き方を忘れてしまっていた」という看護師もいるのではないでしょうか。一部、看護師ならではのルールはあるものの、履歴書の書き方やポイントについては 、 ハローワークインターネットサービスの応募書類作成ページなどを参考にできます。
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