結婚は人生のなかでもライフステージが大きく変わるイベントです。結婚する看護師のなかには、「結婚する前と後、どのタイミングで転職すべきか」悩む人も多いでしょう。どちらにもそれぞれメリット・デメリットがあり、自分のライフスタイルや目指すキャリアに合わせて選択することが大切です。
この記事では、看護師が結婚前後に転職する場合や、結婚を機に退職することについて、それぞれのメリット・デメリットを紹介しています。
看護師が結婚を機に転職を考える理由
結婚をしても、現在の仕事と結婚生活の両立が可能な場合もあるでしょう。しかし、実際には結婚のタイミングで転職を考える人も多いのではないでしょうか。まずは、看護師が結婚を機に転職を考えるおもな理由を紹介します。
引越しの必要性が生じたため
ひとつめの理由は、引越しの必要性が生じたことによる転職です。結婚後は、お互いの通勤距離や通勤時間、将来の子育て環境などを考慮し、どこに新居を構えるか決める家庭が多いことでしょう。パートナーの転勤や、結婚を機に地元へ戻るなど、結婚とともに遠方に引っ越しをするパターンもありえます。
新居から職場へこれまで通りに通勤できる場合もありますが、通勤に時間がかかったり、交通手段が少なかったりすると、同じ職場で働き続けることが難しくなります。看護師の仕事は夜勤や早出、遅出など変則的なシフトになることも多く、職場が自宅から近ければ近いほど働きやすいため、新居の場所によっては転職を検討する人も多いでしょう。
育休などの制度が整っていないため
労働者の育休は、「育児休業法」と呼ばれる法律により定められています。原則として「1歳に満たない子どもを養育する労働者」であれば育休を取得することができます。
しかし、職場に子育てをしながら働く同僚がいなかったり、残業が多かったりすると、育児をしながら働くことは難しいと感じるでしょう。出産・育児には職場の理解や配慮が欠かせません。今後妊娠・出産を希望する場合には、安心して産休・育休が取れる環境を探すことは非常に大切です。
もともと職場・仕事に不満があったため
もともと職場や仕事に不満があり、結婚を機に転職を考えるパターンもあるでしょう。人間関係や業務内容、仕事の忙しさにより、現在の職場に不満があっても、退職を切り出せずに働き続けている人も多いのが現実です。
その場合には、結婚するタイミングでそれを理由に転職を決意する人もいます。また給料面での不安があって退職をとどまる人のなかには、結婚により経済的な余裕が生まれることで転職に踏み切る人も多いでしょう。
結婚前に転職するメリット・デメリット
結婚を機に転職を考えたとき、結婚前がよいのか、結婚後がよいのか、迷う人も多いでしょう。そこで、結婚前、結婚後に転職するメリット・デメリットをそれぞれ挙げてみました。
まずは、結婚前に転職するメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット1:産休・育休を取りやすい
結婚前に転職をすることにより、産休・育休をとりやすくなるというメリットがあります。産休は、出産予定のある労働者が申請すれば無条件で取得できる母体保護のための制度です。一方育休は、勤務先によって取得条件が定められていることが多く、たとえば「入社後1年以上勤務を継続すること」など必要な勤務実績が定められているパターンがよくあります。
結婚前に転職を決めておけば、妊娠・出産までの期間が長くなり、勤務実績を積んでから産休・育休を取得できます。妊娠前にキャリア形成をするため、スムーズに復職しやすいこともメリットといえるでしょう。
メリット2:しっかりと貯蓄できる
結婚前に転職をすることで、転職先で働く期間が長くなり、しっかりと貯蓄できるメリットもあります。
産休や育休制度を利用すると、働いているときと比べてどうしても収入が落ちてしまいます。それまでに積極的に貯蓄を増やしておけば、安心して休暇を取得できるでしょう。
デメリット:ハードな勤務を任される
次に、結婚前に転職するデメリットについても紹介します。結婚前に転職する場合、未婚の状態で採用されるため、夜勤が必須であったり、残業の多いハードな勤務を任されることもあるでしょう。忙しい勤務をこなしながら結婚の準備や引越しなどを進めることとなります。
また、入職したばかりの時期に新婚旅行や結婚式に関連する休暇を取ることに後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。
結婚後に転職するメリット・デメリット
次に、結婚後に転職するパターンについてのメリット・デメリットを紹介します。
メリット1:結婚生活に合わせた働き方ができる
結婚後に転職をする場合の1番のメリットは、生活スタイルに合う職場を探せることです。たとえば、新居から通いやすい方が便利、思っていたより家事に時間がかかるなど、実際に生活をしてから理想のライフスタイルが見えてくる場合もあります。生活や状況に合わせた条件で転職先を探せるため、よりよい結婚生活を送れるでしょう。
メリット2:円満に退職できる
結婚後の退職は、結婚前に職場を辞めるよりも円満に進められることもメリットのひとつです。”寿退社”という言葉もあり、結婚を機に退職する場合に引き止められにくいことと、結婚後の引っ越し・パートナーの転勤など、結婚前の職場に通勤し続けることが難しいこともあるためです。
結婚をきっかけに退職を希望することを伝えれば、円満に退職を進められるでしょう。
デメリット:妊娠が転職活動のネックになる
結婚後に転職をするデメリットとしては、妊娠の時期が転職活動のネックになることがあげられます。
結婚直後に転職し、すぐに妊娠した場合、就職してから短期間しか働いていないのにも関わらず産休・育休に入ることになります。職場にとっては大きな負担となるため、妊娠の可能性を理由に採用されないことがあるといえるでしょう。また、転職先の制度によっては、転職してすぐには育休を取れない場合があります。すぐに妊娠を考えている人にとっては、デメリットのひとつになるでしょう。
なお、結婚後すぐに妊娠・出産の予定がなければ、結婚後に転職するデメリットは少ないといえます。
結婚生活と両立できる転職先の選び方
結婚を機に転職する際には、日勤のみで働ける環境や、自宅から近い職場など、結婚生活と無理なく両立できる職場を選ぶことが大切です。結婚生活と両立しやすい転職先の選び方のポイントを紹介します。
夜勤がない・少ない
結婚後に無理なく働き続けるには、家庭での時間と仕事の時間とのバランスが重要となります。まず確認すべきことは、夜勤の有無や回数です。夜勤が多い職場は、給与面では条件がよいことが多いものの、自宅にいる時間が確保できず、パートナーとの生活スタイルが合わなくなることもあるでしょう。職場によっては、正社員として働くには夜勤が必須である場合もあります。
パートとして働く際であっても、扶養の範囲内で働くのか、職場の社会保険に加入するのかなど、パートナーと話し合う必要があるでしょう。
出産・育児に理解がある
出産を希望する場合には、出産・育児に理解がある職場を選ぶことも大切です。福利厚生のひとつとして、育児支援制度を取り入れている病院や介護福祉施設は増えています。しかし、制度があっても実際の取得実績が低い職場では、自分自身が出産・育児をするときに働きづらさを感じる可能性があります。
子どもが生まれてからも働きたい人には、保育園から急な発熱の呼び出しに半休を取得できたり、体調不良時に休みを取ったりできるような、育児に理解のある職場を選ぶとよいでしょう。
自宅から近い
結婚後は、2人分以上の食事を用意したり、洗濯をしたりと、結婚前よりも家事の負担が増えます。独身の頃より忙しいと感じる人もいるでしょう。自宅に近い職場に勤めれば通勤時間が減り、時間を有効に使えます。
子どもが小さいうちは、保育園への送迎が必要だったり、急な呼び出しがあったりと、さらに時間が足りないと感じるでしょう。職場が近いことは、長期的に見てもメリットが多いといえます。
転職ではなく退職も選択肢のひとつ
ここまで、結婚を機に転職するうえでのメリットやデメリット、職場の選び方を紹介しました。転職と同様に、結婚するタイミングで職場を退職するという選択肢もあります。退職のメリットやデメリットについても解説します。
退職のメリット
結婚を機に退職、いわゆる「寿退職」をすると、次のようなメリットがあります。
● 夫婦の時間を優先できる
● 家事に専念できる
● ストレスが減る
● 妊活に取り組みやすい
● ポジティブな退職理由であるため、引き止められにくい
大きなメリットは、自宅で過ごす時間が増え、夫婦の時間を大切にしてゆっくりと過ごせることです。これまで忙しく働いてきた人であれば、心身の疲れやストレスが溜まっていることでしょう。心と体をしっかりと休め、今後の妊娠・出産や育児に備えることができます。
また、自分の時間が増えるため、今までできなかったことに取り組んだり、新しいことを始めたりすることもできるでしょう。
退職のデメリット
結婚による退職のデメリットについても見ていきましょう。
● 収入がなくなるため経済面でパートナーの負担が増える
● 現場から離れるため看護師としてのキャリアがストップする
● 復職時の不安が大きくなる
結婚後は家庭に入り、看護師としてのキャリアアップを望まない人は、寿退職のデメリットを強く感じることは少ないかもしれません。一方で、看護師として働くことを生きがいに感じている人にとっては、寿退職によりキャリアが途絶えることは、大きなデメリットと感じるでしょう。
経済面での負担も大きくなるため、パートナーとしっかりと話し合い決断することが大切です。
転職と退職はどちらがよい?
実際のところ転職と退職、どちらにもメリット・デメリットがあるため、一概にどちらがよいとはいえません。自分のキャリアや夫婦の生活スタイルなどを踏まえ、最適な方法を選択しましょう。
看護師は国家資格であり、一度資格を取得したら生涯にわたり生かせます。また看護師不足に悩む職場は多く、一度退職をして家庭を優先したとしても復職は可能です。雇用形態をパートにしたり、クリニックに勤務したりすることにより、結婚生活とのバランスがとりやすくなります。
一人で抱え込まず、パートナーとしっかり話し合いながら、よりよい働き方を見つけましょう。
まとめ
この記事では、看護師が結婚を機に転職、退職することについて、それぞれのメリット・デメリットを紹介しました。看護師が結婚にともない、転職や退職を考える場合には、看護師としてのキャリアや理想の結婚生活、妊娠・出産のタイミングについて考慮する必要があります。パートナーとしっかりと話し合い、お互いが納得できる選択肢を検討しましょう。
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