世間一般では「会社員よりも給与が高い」と言われることの多い看護師。給与はそれほど低くないものの、「もっと給料をあげてほしい」と考えている看護師もいるのではないでしょうか。
この記事では、看護師の給料をあげる方法について解説します。看護師として今よりも高収入を目指したい人は、参考にしてください。
看護師の給料をあげる方法
看護師が給料をあげる方法は、いくつかあります。具体的な方法についてみていきましょう。
看護師の平均年収や手取りを増やす方法はコチラをご覧ください。
「看護師の平均年収はいくら?」 「収入を上げる方法が知りたい」 看護師は、「他の職種に比べて年収が高い」「稼げる仕事だ」とよくいわれます。 しかし、実際には夜勤や残業手当が付くためで、一概に年収が高いといえるのだろうかと疑問に感じ[…]
1:夜勤の回数を増やす
看護師が給料アップを目指す方法のひとつに、夜勤回数を増やすという手があります。多くの医療機関では、夜勤勤務時に手当を支給しています。夜勤手当の平均額は3交代制で4,399~5,490円、2交代制で11,276円です。
ただ、労働基準法には夜勤回数の制限はないものの、日本看護協会では、夜勤による心身の負担を考慮し、月あたりの夜勤の推奨回数を定めています。多くの病院では、日本看護協会の方針に則って夜勤シフトを決めており、通常の働き方では夜勤に入れる日数が限られます。
そのため、夜勤を中心に勤務したい看護師は、「夜勤専従」という働き方を選ぶことになります。ただ夜勤の多い勤務は昼夜逆転の生活になりやすく、自身の健康管理をより入念にしなければなりません。
2:資格を取得する
看護師が業務に関連した資格をプラスαで取得すれば、給与アップにつながります。医療保健分野にまつわる資格は多岐にわたります。なかでも、取得に労力や時間のかかる「認定看護師」「専門看護師」には、相応の資格手当を支給する医療機関は多いものです。
さらに最近では、「診療看護師」も注目されています。
これらの有資格者には、部署内で専門的な看護ケアを提供することに加え、リーダー的な役割も求められます。そのため昇進のチャンスにもつながるでしょう。
3:管理職を目指す
副看護師長や看護師長・看護部長といった管理職に就けば、高収入を得られるようになります。管理職には役職手当が付くうえに、一般看護師よりも基本給が高くなるからです。
なお各役職の平均月給は、副看護師長が約35万円、看護師長が約37万円、看護部長が42.7万円です。
ただ、看護師であれば誰でも管理職になれるというわけではありません。管理職のポストは限られており、臨床経験年数に加え、マネジメント能力やコミュニケーション力が求められます。
看護師として高い資質を備えていれば、管理職に就ける可能性はありますが、長い道のりとなるでしょう。
4:転職する
看護師が手軽かつ確実に給与をあげるために、転職するという選択肢もあります。転職による給料アップは、資格取得や管理職の就任と比べて時間がかからず、労力も少なくて済みます。
職場で看護師個人が給料をあげてほしいと訴えても、簡単に叶えられるものではありません。
基本給が低い、昇給システムがないなど、看護師の収入増に不利な職場で働いているのであれば、転職を検討してみるとよいでしょう。
看護師が高収入を得られる職場の特徴
給与をあげるために転職活動をする場合には、高収入が期待できる職場を探すことが大切です。ここでは、収入増が見込める職場の特徴について紹介します。
1:規模が大きい病院
看護師が収入増を見据えて転職するのであれば、クリニックよりも総合病院など規模が大きい医療機関を選ぶのがおすすめです。入院治療を行っている病院で病棟勤務をすれば、夜勤や残業に対する手当が支給されるためです。
ただ、共済年金に加入している国立系の大学病院や市立病院では、年収が高くても毎月の手取りが少なくなることがあります。
2:手当が多い職場
収入増を目指すのなら、職場の選び方も大切でしょう。手術室の配属になれば、緊急手術に対してオンコール手当や休日出勤手当が支給されます。また、精神科や放射線科、感染症病棟など危険がともなう部署では、看護師の給料に危険手当が付与されます。
さらに医療機関の大半が、看護師をはじめとする職員に対して、通勤手当や住居手当、扶養手当を支給しています。各手当は毎月の給与に付与されるため、手取りを増やすことにつながるでしょう。
3:美容クリニック
日勤のみで高収入を得たい看護師におすすめなのが美容クリニックです。美容医療を提供しているクリニックは、収益性の高い自由診療を中心に行っており、看護師の給与にも反映されやすくなります。
また美容クリニックの大半は看護師にインセンティブを支給しており、看護師個々の努力次第で収入アップを目指せます。美容医療分野は予約制の診療が多く、残業が少ないため、生活リズムを重視して働きたい人にも適しています。
4:訪問看護ステーション
看護師が高収入を期待できる意外な職場が、訪問看護ステーションです。訪問看護師の平均月給は36.7万円で、病院看護師の38.6万円と大きくかわりません。訪問看護の提供は日中が中心で、夜間対応が少ないことを考えれば、給与水準は高いといえるでしょう。
また訪問件数に応じて、給与への上乗せをする訪問看護ステーションもあります。勤務先や利用者さんの状態によっては、夜勤やオンコール対応が必要になります。
夜勤手当やオンコール手当が支給されることで、さらに給料をあげることができるでしょう。
看護師が給料面で不満を抱く要因
看護師が「給料をあげてほしい」と感じる背景には、現在の給与に不満を感じているケースが多いようです。ここからは、看護師が今の給与に満足できない理由についてみていきましょう。
1:夜勤の身体的負担・拘束時間の負担が大きい
入院治療を行う病院は、365日24時間体制で稼働しているため、夜勤を含むシフト制を採用しています。年齢が若いうちは夜勤による昼夜逆転に対応できる看護師は多いものです。
しかし、結婚や出産といったライフスタイルの変化、加齢による体力低下などにより、夜勤のあるシフトに負担を感じるようになる人も多いでしょう。
夜勤手当は、3交代制で平均4,399~5,490円、2交代制で平均11,276円と、「負担や拘束時間の割に少ない」と考える看護師も少なくありません。
2:サービス残業が多い・残業代が少ない
看護師が退職を意識するきっかけとなりやすいのが、残業に対し、時間外手当が十分に支給されない場合です。時間外業務は看護師個人が申告するものですが、医療機関のなかには時間外手当をきちんと支給していないところも存在します。
また看護師個人が申告しても、看護師長が一括管理して労務部署に申告する方法では、実際の残業時間に見合った時間外手当が支給されないこともあります。
とくに病棟勤務の場合、多くの看護師が業務開始時間よりも早めに出勤し、制服に着替え、情報収集を行うものです。医療機関の大半が、こうした時間外業務に対して残業手当を支給しておらず、看護師が不満を抱く要因となっています。
3:業務時間外の勉強会や研修への参加が必要
一般的に看護師は勉強熱心な人が多いといわれます。実際に、業務終了後に勉強会や研修への参加を求められることも多々あります。とりわけ経験年数の少ない若い看護師は、実質的に強制参加を要されますが、それらすべてに時間外手当が支給されるわけではありません。
看護師の大半は、終業時間後や休日に、病棟会や係活動など仕事関連の用事があり、「休みが少ない割に給料が少ない」と感じるようになります。
4:昇給率が低い
収入が高いといわれる看護師ですが、他職と比べると昇給率はそれほど高くありません。新卒看護師の平均給与は、全職種と比べると4万円ほど高いものの、昇給率が低く、年代全体の賃金カーブはゆるやかです。30代後半になると一般職との逆転現象が起こり、その後の賃金格差は大きくなっていきます。
医療職のなかでも数が多い看護師。そのうち、管理職になれるのは全体の2割程度です。臨床経験を積んでも給料が十分にあがらず、一般職ほど年齢に見合った収入を得られないことから、看護師が自身の給料に対して不満を持つようになります。
看護師が「給料をあげてほしい」と声をあげてもいい?
現在の給与に対して不満に感じている看護師のなかには、職場や上司に「もっと給料をあげてほしい」と訴えたい人もいることでしょう。
規模の大きい病院の場合、医療職ごとの賃金表があり、看護師の経験年数や能力、役職の有無によって給与が自動的に決定される仕組みができあがっているところも多いものです。いち看護師が「給料をあげてほしい」と叫んでも、大きな成果を得ることは難しいでしょう。
病院看護師が収入増を訴えるにあたって、看護師労働組合に加入してストライキに参加する方法もあります。しかし、やり方を誤ると職場や上司から厄介者とみなされ、疎まれる存在になるかもしれません。
一方、小さいクリニックには独自の給与体系があるため、院長先生に直々に給与アップの交渉ができる可能性もあります。看護師の能力や立場によって、交渉が成功することもあれば、問題児扱いされることもあるため、見極めが必要です。
なお、2022年2月から9月には「看護職員等処遇改善事業」が施行され、新型コロナ感染症の診療にあたる看護師に対して、一時的な賃金アップが行われました。今後も医療情勢の状況にともない、国の政策として看護師の賃金増が行われるかもしれません。
看護職出身の政治家の選出を支援することも、収入増など看護師の待遇改善の助けになるはずです。
看護師が給料をあげるために転職をする際のポイント
看護師がスムーズに給料をあげるには、転職をするのがおすすめです。給料アップのために転職する際は、以下のポイントに留意しましょう。
1:転職時に給与の内訳をチェックする
求人内容(募集要項)を閲覧するときは、給与の内訳をしっかり確認しましょう。求人広告で「○○万円保証」とアピールされていても、その中身は支給見込みの各種手当を含めた総額であることもあります。
求人票の給料内訳を確認することで、就労後に支給される各種手当の詳細を把握することができます。転職先での給料を概算すれば、就労後に収入に関するミスマッチを防げるでしょう。
2:転職時に給与交渉をする
転職の際に、院長など経営陣と給与交渉ができることもあります。転職時に給与交渉が有効なのは、クリニックなど規模の小さい医療機関です。病院でも看護師の経験年数や能力に準じた賃金増はされますが、条件以上の収入アップを見込める可能性は低くなります。
ただ看護師に限らず、転職時に採用側へ賃金について交渉ができる人は少ないものです。転職エージェントを利用すれば、アドバイザーに給与交渉の代行を請け負ってもらえます。
3:資格を取得して市場価値を上げる
転職を有利に進めるには、看護師免許以外に資格を取得し、自身の市場価値を高めることも大切です。医療現場は慢性的な看護師不足に陥っており、他職種と比べれば看護師の転職はそこまで難しいものではありません。
一方で、「給与が高い」「休みが取りやすい」といった好条件の職場は、応募者が集まりやすく、求人倍率も高くなります。
看護師資格以外にも仕事に関連する資格を取得すれば、他の応募者と差をつけられ、採用側に学ぶ意欲が旺盛であることをアピールできます。
まとめ
看護師の給料はそれほど低くはないものの、夜勤による心身の負担や残業手当の未払いなどにより、「給料が少ない」と感じる人が多い特徴があります。また昇給率が低いため、経験を積むにつれて、収入の低さが気になってくる看護師は多いものです。
看護師が収入増を叶えるには、プラスαの資格取得や管理職への就任を目指す方法がありますが、努力と時間を費やさなければなりません。
現状の給料に不満を抱いている看護師は、転職により給与アップを検討するのもよいでしょう。「心身の負担相応の給料をもらっていない」「もっと給料をあげたい」と考えている人は、自分に見合った収入を得られる職場に転職するのがおすすめです。
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