看護師の初任給はいくらもらえる?金額に差が出る条件や昇給のポイントを解説

「看護師の初任給はいくら?」「看護師の初任給の平均は?」と気になる人は多いのではないでしょうか。

新卒看護師の平均初任給は約26〜27万円です。ただし、看護師の初任給は勤務先だけでなく、働く地域や保有している資格などさまざまな要件で異なります。

この記事では、看護師の初任給の平均、1年目の賞与、初任給に差が出るポイントを解説します。また、初任給後の給与がどのように変化するかや、給与アップにつなげるための方法も紹介するので、看護師として長く働きたい人は、ぜひ参考にしてください。

看護師の初任給の金額や特徴

看護師の初任給の平均金額や特徴、1年目の賞与について解説します。

看護師の平均初任給は約26~27万円

2022年日本看護協会の調査によると、新卒看護師の平均初任給は、約26〜27万円となっています。基本給与額では6,340円、税込給与額では8,019円、高卒・3年過程卒より大卒のほうがやや給与は高い傾向にあります。

新卒看護師の基本給与額と税込給与額の平均値は、以下の表の通りです。

平均基本給与額平均税込給与額
高卒+3年過程卒203,276円 263,711円
大卒209,616円271,730円

参考:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」

ただし、上記「平均税込給与額」には、通勤手当・家族手当・夜勤手当・当直手当(三交代で8回分、二交代で4回分を想定)などが含まれています。また、所得税や健康保険料・厚生年金・雇用保険料などが引かれる前の給与額です。

実際、給与口座に振り込まれる給与額は、税金や保険料が引かれた額なので、手取り額は平均21〜22万円となるでしょう。

初任給は低くなりやすい

新人看護師が4月に受け取る初任給は、低くなりやすい傾向にあります。

入職して数ヶ月は、夜勤がない職場がほとんどです。そのため、初任給には夜勤手当が含まれません。また、締め日によっては、給与が満額支払われない場合があります。

例えば、4月20日締めの場合、4月入職日から20日までの日割り計算で給与が支払われます。日勤のみの新卒看護師の初任給は、低くなりやすいでしょう。

1年目の賞与はどれくらい?

勤務先の規定により異なりますが、看護師の賞与は、夏と冬の年2回支給されるパターンが少なくありません。看護師1年目は、入職して数ヶ月と働いた実績が少ないことから、最初の夏の賞与は数万円というケースもあるでしょう。

賞与は、査定期間と呼ばれる一定期間に、勤務状況や実績を評価されたうえで支給されます。

例えば7月と12月にボーナスが支給される職場では、大半が前年10月から当年3月に7月賞与の査定期間を設定します。冬の賞与は、当年4月から9月までの査定期間となるため、満額出るところが多いでしょう。ただし、職場によって異なるため確認してみましょう。

令和4年賃金構造基本統計調査によると、20〜24歳の看護師の年間賞与その他特別給与額は、平均462,300円でした。2年目以降は、満額支給され、昇給も期待できるでしょう。

参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

初任給に差が出る4つのポイント

初任給の金額に差が出る理由として、以下4つが挙げられます。

● 地域
● 設置主体
● 病床数
● 保有している資格

それぞれ解説します。

地域

看護師の初任給は、働く地域によって給与額に差があり、都市部ほど高額な傾向にあります。大卒の平均初任給よりも、都市部の専門卒の初任給が上回る場合もあります。

新卒看護師の初任給が高い都道府県の上位10位は、以下の表の通りです。
看護師の初任給【高卒+3年過程卒】

都道府県平均税込給与総額
千葉 290,594円
東京 289,206円
静岡 282,251円
埼玉 279,055円
愛知 277,838円
神奈川 277,472円
大阪 275,966円
滋賀273,439円
奈良 273,170円
山梨 272,058円

看護師の初任給【大卒】

都道府県 平均税込給与総額
千葉296,882円
東京 296,445円
静岡288,635円
埼玉 286,930円
神奈川 286,159円
愛知 285,369円
奈良 284,627円
大阪 282,787円
滋賀280,869円
兵庫 278,799円

参考:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」
※給与額には、通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当等を含む

一方、新卒看護師の初任給は、四国や九州地方で低い傾向にあります。具体的な金額は、以下の通りです。

看護師の初任給【高卒+3年過程卒】

都道府県平均税込給与総額
宮崎232,699円
鳥取238,099円
鹿児島240,765円
高知241,444円
愛媛244,182円
長崎244,523円

看護師の初任給【大卒】

都道府県平均税込給与総額
宮崎244,630円
鳥取246,479円
高知247,599円
鹿児島249,620円
愛媛252,245円
熊本252,723円

参考:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」
※給与額には、通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当等を含む

設置主体

公立、国立など、病院の設置主体によっても初任給に差が生じます。社会保険関係団体や私立学校法人などは、特に初任給が高い傾向にあります。

以下の表は、設置主体別の初任給額です。

高卒+3年過程卒 大卒
その他の法人278,136円285,692円
私立学校法人273,771円282,250円
無回答・不明273,634円280,489円
社会保険関係団体269,905円279,711円
個人275,230円278,971円
社会福祉法人270,350円277,578円
済生会267,947円277,453円
国立263,759円276,835円
会社254,555円274,139円
公益法人 263,468円271,090円
医療法人263,655円270,134円
公立259,721円270,022円
日本赤十字社258,355円268,190円
その他公的医療機関256,688円267,425円
厚生連249,262円260,236円
医療生協 253,608円259,098円

参考:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」
※給与額には、通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当等を含む

病床数

初任給は、病院の規模によっても差が生じます。病院の病床数が多いほど、初任給は高い傾向にあります。
病床数の多さは規模の大きさにもつながるため、給与面以外の福利厚生や教育体制なども充実していると考えられるでしょう。

病床数別の初任給は、以下の表の通りです。

高卒+3年過程卒大卒
99床以下260,559円267,500円
100〜199床261,954円269,253円
200〜299床 263,585円270,810円
300〜399床268,330円278,238円
400〜499床270,566円279,854円
500床以上267,805円278,167円

参考:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査報告書」
※給与額には、通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当等を含む

保有している資格

保有している資格によっても、看護師の初任給は異なります。看護師には、看護師資格と准看護師資格の2つの種類があります。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、20代の看護師と准看護師の平均年収は、それぞれ以下の通りです。

年収
看護師400万3,500円
准看護師315万2,200円

参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

上記の結果から、看護師と准看護師では、年間約85万円差が生じていることが分かります。

看護師資格は国家資格ですが、准看護師は都道府県知事から発行される免許です。
准看護師はリーダー職や管理職へ昇進することが難しく、看護師より年収が低い傾向にあります。

初任給以降の看護師の給与はどのように変わる?

看護師が新卒として働き始めたのち、給与は次第に変化していきます。ここでは、初任給以降の給与について解説します。

夜勤が始まると給与が上がる

入職して数ヶ月もすると、夜勤が始まるのが一般的です。1年目の終わりには本格的に夜勤をこなすようになり、給与は高くなるでしょう。
ただし、夜勤手当額は、二交代制・三交代制などの勤務形態や回数によって異なります。

日本看護協会の「2020年病院看護実態調査」によると、看護師が平日に行う夜勤1回あたりの平均手当額は、以下の結果となっています。

平均手当額
二交代制:夜勤の手当額 11,286円
三交代制 準夜勤の手当額4,154円
     深夜勤の手当額5,122円

※手当額は深夜時間帯(22時〜翌5時)の割増賃金を除いた定額部分のみ
参考:日本看護協会「2022年病院看護実態調査」

日本医療労働組合連合会の「2022年度夜勤実態調査」によると、二交代制の平均夜勤日数は、4.14日、三交代制の平均夜勤日数は、7.80日です。

二交代制の場合、夜勤平均手当額11,286円×4.14日=46,724円が給与にプラスされます。

一方、三交代制の夜勤平均手当額は(4,154円+5,122円)÷2=4,638円です。そのため、三交代制の場合は、4,638円×7.80日=36,174円が給与にプラスされる計算になります。

参考:日本医療労働組合連合会「2022年度夜勤実態調査」

2年目の給与はやや下がる

2年目の給与からは、前年度の収入をもとにした住民税が差し引かれるため、初任給より下がる可能性があります。昇給分よりも差し引かれる金額が多いと、手取りは減ってしまうでしょう。

とはいえ、夜勤手当や残業手当が付けば、初任給より下がらず、手取り額は増えていきます。

役職手当が追加される

長く勤めていると、リーダーや指導係など責任のある立場を任されるようになります。主任や師長などの役職に就くと、手当が加算されるため給与が上がっていくでしょう。

また、透析看護や内視鏡介助などの経験を重ねると、職場によっては透析手当や内視鏡手当などが加算されるケースもあります。

資格取得で給与アップ

実務経験が長くなると「専門看護師」「認定看護師」など、特定の看護分野において専門的な知識や技術を高めるための資格を取得する機会があります。

日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」によると、専門看護師・認定看護師の平均給与額や、資格取得に伴い上がった給与の平均額は以下の通りです。

上がった給与の平均平均基本給月額平均給与総月額
専門看護師14,471円331,456円435,291円
認定看護師11,191円319,013円429,170円

参考:日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査報告書」

資格取得には時間とお金がかかりますが、その分専門性が高まり、より質の高い看護ができるようになります。結果として、給与の上昇が見込めるでしょう。

看護師が給与を上げる3つの方法

看護師が給与を上げる方法には、以下の3つが挙げられます。

● 夜勤に入る回数を増やす
● キャリアアップを目指す
● 転職する

それぞれ解説します。

夜勤に入る回数を増やす

看護師が給与を上げるための1つ目の方法は、夜勤に入る回数を増やすことです。先ほど伝えたように、夜勤手当は二交代制では平均11,286円、三交代制では平均4,154円〜5,122円加算されます。

そのため、夜勤回数を増やせば手軽に給与を上げられるでしょう。ただし、夜勤と日勤の不規則な勤務では体調を崩しやすいため、健康と給与のバランスが大切です。

キャリアアップを目指す

看護師が給与を上げるための2つ目の方法として、キャリアアップが挙げられます。主任・師長などの役職手当や、専門・認定看護師などの資格手当は、看護師の給与アップには欠かせないポイントです。

助産師や保健師、ケアマネジャーといった資格を取得することで収入アップにつなげられます。医療介護業界で活躍できる資格を取得しやすいのも、看護師という仕事の魅力です。

転職する

看護師が給与を上げる3つ目の方法は、転職することです。1つの職場で長く働けば昇給によって給与は上がります。とはいえ、同じ業務内容でも、地域や設置主体・病院の規模によって、給与が異なるケースは少なくありません。

ただし、病床数が多くなるほど忙しくなる可能性が高くなるため、注意が必要です。収入アップを目指すのであれば、転職サイトやハローワークなどを活用し、近隣の医療機関の給与情報をチェックしてみましょう。

まとめ

今回は、看護師の初任給についてお伝えしました。

日本看護協会の調査では、新卒看護師の平均初任給は約26〜27万円です。ただし、看護師の初任給は、働く地域・設置主体・病院の規模で異なります。また、夜勤に入る時期や回数によっても変動します。

2年目以降の給与は、さまざまな手当や資格などによって徐々に増えていくでしょう。また、昇給によって給与は上がりますが、転職によって大幅な給与アップが見込めるケースも少なくありません。

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