足浴(そくよく)とは?4つの目的・手順・注意点を紹介

足浴は、医療現場や介護福祉施設などで行われる清潔援助の1つです。足浴には清潔を維持するだけでなく、血の巡りをよくしたり、リラックスを促したりする効果も期待されます。

この記事では、足浴の4つの目的と効果について解説します。実際に足浴を行う際の手順や注意点も紹介するので、参考にしてください。

足浴(そくよく)とは?

足浴は、足を温かいお湯につけて洗うケア方法です。汗で汚れやすい足の皮膚を清潔に保つだけでなく、温熱効果で全身の血行や新陳代謝を促進し、心身をリラックスさせる効果も期待できます。さらに、足の指や爪を観察する機会が増え、異常の早期発見にも役立ちます。

足浴は、全身浴が難しい人に対して行われる「部分浴」の一種です。特定の病気や状態によっては、足浴が介護や看護のケアプランに組み込まれます。足を清潔に保ったり血流を改善したりすることで感染症を予防し、むくみを軽減する効果があるからです。

このように、足浴は症状の悪化を防ぎ、適切な治療につなげるための有効な看護技術として広く活用されています。

全身浴や半身浴と比べて、足浴は温熱や水圧の影響を受ける範囲が狭く、心臓への負担を減らせます。また、場所を選ばず着衣のまま実施できるため、入浴やシャワーが難しい患者への日常的な看護ケアとして、病院や介護福祉施設などで用いられています。

足浴の目的と効果

足浴の目的と効果について、以下4点を解説します。

足をきれいに保つ

足浴の主な目的は、足を清潔に保つことです。足の裏には多くの汗腺があり、雑菌が繁殖しやすい部位です。足浴を行うことで、汗や汚れ、雑菌を洗い流し、足を清潔に保てます。

定期的な足浴で皮膚を清潔に保てれば、水虫などの感染症の予防に役立ちます。また、傷の治癒を促進させる効果も期待できます。

血の巡りを良くする

足浴は血行を促進し、全身の健康をサポートします。足先は体の末端に位置し、血流が滞りやすい部分です。足浴によって足を温めることで、血行が良くなり、全身も温まります。

また血行が促進されることで、むくみの改善や床ずれ・拘縮の予防にもつながります。また、老廃物の排泄がスムーズに行われ、全身の循環機能の向上も期待できます。こういった面からも、足浴は全身の健康をサポートする重要なケア方法といえるでしょう。

足の異常を早期発見する

足浴は、普段見えない足の状態を確認する良い機会です。足のトラブルは靴や靴下を履いていると気づきにくいものの、足浴中に皮膚の乾燥や変色、かゆみや痛み、爪の異常などをチェックできます。足のトラブルが見つかった場合、専門医の診察が必要となるケースも珍しくありません。

例えば、糖尿病の患者は、血行不良や神経障害によって足にトラブルが起きやすい傾向にあります。定期的に足浴を行うことで、こうしたリスクを早期に発見し、専門医につなげることができるのです。

疲労回復・リラックスを促す

足浴には、疲労回復とリラックスを促す効果もあります。
例えば、足浴を行うと筋肉の疲れが軽減され、神経痛による足のしびれの緩和にも役立つとされています。さらに、足浴にマッサージを組み合わせるとリラックス効果が増し、お湯にアロマオイルを加えると安眠効果も期待できます。

足浴は、冷えた足先を温め、筋肉の疲れを軽減し、リラックス効果を高める手法でもあるのです。

足浴の流れ

足浴を実施する際、事前に準備するものと足浴の手順について解説します。

事前の準備

足浴を行う際は、必要物品の準備やお湯の温度の管理がとくに重要です。事前に準備する物品は、以下の通りです。

 足首まで浸かる大きめの洗面器
 お湯(45〜48℃)
 ピッチャー(湯温調節用の水)
 ビーカー(お湯汲み用)
 石けん
 ガーゼ
 防水シーツ
 バスタオル
 汚水用バケツ
 ワゴン

必要に応じて、爪切りや保湿クリーム・塗り薬なども準備しておくと、足浴後のケアに役立つでしょう。

足浴の方法

足浴の具体的な方法は、以下の7つの手順に分けられます。

1. 患者へ声かけをする
まず、患者に足浴を行う旨を伝えて同意を得たのち、足浴の方法や所要時間について説明します。
足浴中は動けないため、尿意や便意がないか確認し、事前に排泄を済ませておくと良いでしょう。

2. 作業環境を整える
まずは室温を25℃程度に調整し、周囲が濡れないように物を移動させ、足浴を提供しやすい環境を整えます。
次に防水シートを敷き、その上にお湯の入った洗面器を置きます。お湯の量は足首まで浸かる程度にしましょう。

3. 姿勢を安定させる
患者のADLや関節可動域を把握し、適切な体位を見極めます。ベッドに座って行う場合は、両足が床につくようにベッドの高さを調整し、楽な姿勢をとってもらいます。

仰向けで行う場合は、膝を立て、膝下に枕やバスタオルを入れて姿勢を安定させます。

なかには足浴で足を露出することに羞恥心を抱く人もいます。タオルをかけたり、足浴を開始するまでは肌の露出を控えたりと、患者への配慮も忘れずに行いましょう。

4. 足の状態を観察する
足浴の前に、足の爪や皮膚の状態を観察します。

具体的には、爪の色・長さ・形・皮膚の色・発赤・創傷・むくみの有無など。これらを観察することで、足浴の方法や実施頻度、日々のケアの評価、疾患の状態の判断に役立てられます。

5. 足をお湯につける
衣服が濡れないように裾をまくり、お湯の温度を確認してから片足ずつゆっくりとお湯につけます。温度は看護師の前腕で確認し、足のそばにお湯の入った洗面器を置きます。

必要に応じて温度を調整し、患者の両足を洗面器に入れ、2〜3分浸します。膝下の露出部分が冷えないように保温用のバスタオルをかけましょう。

6. 足を洗浄する
石けんをつけたガーゼを使い、爪先から足首までを丁寧に洗います。特に指の間は汚れがたまりやすいので入念に洗いましょう。

足裏を洗う際は、必要に応じて浴用たわしや軽石を使用します。お湯から出している足は、冷えないよう、温かいタオルでくるんで保温すると良いでしょう。

両足を洗い終えたら汚水をバケツに流し、かけ湯でしっかりと足をすすぎます。

7. 水分をしっかり拭き取る
洗い終えた後は、拭き残しがないようにタオルで水分をしっかり拭き取ります。保湿剤を塗る、爪を切るなどのケアが必要な場合は、このタイミングで行います。

足浴の5つの注意点

足浴を行う場合、注意しなければならない点が5つあります。それぞれ見ていきましょう。

時間帯に配慮する

食事の直前や食後すぐは、足浴を提供するのを避けましょう。これらの時間帯に行うと、消化不良の原因となる可能性があるからです。

特に、昼間の気温が高い時間帯やお昼寝前など、体に負担のかかりにくい時間を選ぶと良いでしょう。

お湯の温度や力加減を調整する

足浴に使うお湯の温度は、39度から42度が適していますが、患者と足浴を実施する看護師とでは感じる温度に違いがあります。

お湯に足をつける前に、必ず自分の腕で温度を確認することを忘れてはなりません。そのうえで患者に「熱くないですか?」と確認し、適温で実施するようにしましょう。

また、足を洗うときの力加減も重要です。患者に「痛くないですか?」と頻繁に声をかけ、適切な力で洗うよう心がけましょう。

皮膚トラブルがないか確認する

足浴中に、皮膚の乾燥や変色、かゆみ、臭い、爪の状態をチェックします。

特に、水虫や爪白癬などの症状がないか注意深く観察することが大切です。異常が見つかった場合は、早めに主治医に相談しましょう。

よく拭き取る

足浴後は、足を丁寧に拭き取りましょう。水分が残っていると皮膚トラブルの原因になります。タオルでしっかりと拭き取ります。

足浴後の体調に気を配る

足浴は15分程度を目安に行い、患者の体を冷やしたり、余計な体力を消耗させたりしないように注意します。

体が温まりすぎると汗をかいてしまい、結果として体温が奪われることがあります。そのため、汗をかかない程度の時間に留めましょう。足浴が終わったら肌の露出部分にひざ掛けやバスタオルを巻き、保温することが大切です。

まとめ

足浴は、医療現場や介護福祉施設で行われる清潔援助の一つです。足を清潔に保つだけでなく、足の異常を早期に発見する機会にもなります。また、血行促進やリラックス効果も期待できるでしょう。

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