患者が抱える痛みの程度は、人それぞれの感じ方によって異なります。そのため、患者の痛みを客観的に評価することは、治療やケアを行ううえで非常に重要です。「痛みの評価スケール」は、患者の痛みを客観的に把握し、適切な治療法を選択するのに役立ちます。
この記事では、痛みの評価によく用いられる3つのスケールについて、またそれぞれの特徴を解説します。
痛みの評価スケールとは何か?
痛みの評価スケールは、患者が感じる痛みの強さや性質を客観的に評価するためのツールです。
痛みの評価スケールを活用することで、医療従事者は患者の痛みを適切に理解し、効果的な治療計画を立案することができます。
痛みを評価する際のポイントは、以下の通りです。
● 痛みの強さ:一番強いときと弱いとき、1日の平均
● 痛みの種類:安静時・動作時の痛み
● 痛みの発生時期:いつから痛みを感じるようになったか
● 痛みのきっかけ:痛みを引き起こした原因
● 痛みの影響:日常生活への支障の程度
● 痛みの性質:痛みの感じ方や出現パターン
痛みの評価は、治療方針を決めるためにも治療の効果を判定するためにも、初診時に行うことが重要です。
痛みの評価スケールの種類
痛みの評価スケールには、主に以下の3つがあります。
- 視覚的アナログスケール(VAS)
- 数値的評価スケール(NRS)
- フェイス・スケール(FRS)
それぞれ見ていきましょう。
1.視覚的アナログスケール(VAS:Visual Analogue Scale)
視覚的アナログスケール(VAS)は、患者の痛みを視覚的に評価する方法です。
10cmの水平な直線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とし、患者に現在の痛みの程度を示してもらいます。この方法を使うことで、患者の痛みを数値化し、治療効果を客観的に評価することができます。
出典:痛みの客観的評価とQOL
2.数値的評価スケール(NRS:Numerical Rating Scale)
数値的評価スケール(NRS)は、患者の痛みを0から10までの11段階で評価する方法です。0を「痛みなし」、10を「想像できる最大の痛み」として、患者に現在の痛みの強さを数字で示してもらいます。
このスケールは患者の痛みの程度を、簡単かつ効果的に把握する手段として、広く使用されています。
出典:痛みの客観的評価とQOL
3.フェイス・スケール(FRS:Face Rating Scale)
フェイス・スケール(FRS)は、表情を描いたシートを用いて痛みの強さを評価する方法です。
患者に自身の痛みに最も近い表情を選んでもらい、痛みの強さを判定します。
出典:Labeled Face Scale を用いた痛みの評価
● Scale0:痛みが全くなく、とても幸せである
● Scale1:ちょっとだけ痛い
● Scale2:軽度の痛みがあり、少し辛い
● Scale3:中等度の痛みがあり、辛い
● Scale4:かなりの痛みがあり、とても辛い
● Scale5:耐えられないほどの強い痛みがある
小児や高齢者など、痛みの程度を言語や数値で表現することが困難な場合に有効だとされる一方で、痛み以外の気分が反映されてしまう可能性があること、評価する段階が6つと少なく、痛みを詳細に評価できないことなどが指摘されています。
まとめ
痛みの評価スケールは、患者の痛みを客観的に把握し、適切な治療を選択・提供するために不可欠なツールです。
視覚的アナログスケール(VAS)、数値的評価スケール(NRS)、フェイス・スケール(FRS)のそれぞれに特徴があり、患者の状態に応じて使い分ける必要があります。適切な評価を行うことで、患者のQOL向上と効果的な治療の実現につなげられます。
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