申し送りとは?目的や効率的に行うポイントを紹介!

申し送りとは?目的や効率的に行うポイントを紹介!

申し送りとは?目的や効率的に行うポイントを紹介!

看護師として働いている人にとって、申し送りは日々の業務で当たり前にしていることでしょう。あまり深く考えず、業務の一環と捉えている人も中にはいるかもしれません。しかし、申し送りは看護の仕事を行ううえでとても重要なものです。

この記事では、申し送りの目的や重要性、効率的に相手に情報を伝えるポイントを解説しています。スムーズに申し送りができるようになるコツを知りたい看護師は、最後まで読んでみてください。

申し送りとは?

申し送りとは、勤務交代の場面で前任者が次の勤務者に、業務に必要な情報を伝える業務のことです。病院や介護福祉施設など、シフト制で24時間体制で業務をする職場のほか、ひとつの業務を複数名で担当する部署など、さまざまな場面で行われています。

なお、業務の情報を伝達する行為自体を「申し送り」、前任者から後任者に伝える内容を「申し送り事項」と呼びます。

引継ぎと申し送りの違い

同じ目的で使用される言葉として「引継ぎ」が挙げられます。引継ぎも申し送りと同様に、前任者から後任者に業務内容を伝えることを意味していますが、厳密には次のように使い分けられます。

 申し送り:業務をするうえで必要な情報を伝えること
 引継ぎ:他の人がしていた業務を代わりにおこなうこと

申し送りは、ある業務を複数名で交代して行う場合に使用される言葉です。一方で引継ぎは、前任者が退任、異動、長期休暇を取得する際、代わりにその業務を担当する後任者へ業務内容やマニュアルなどを伝達する場合に使われます。

申し送りが必要な業界は?

申し送りが行われることの多い職場の例として、以下が挙げられます。

 医療・介護・福祉
 警備

申し送りの頻度は職種や業界により異なります。頻度が高いのはシフト制の職場や、ひとつの業務を複数名で担当する職場です。

なかでも看護や介護福祉の現場では、24時間体制で患者や利用者の観察やケアを行う必要があるため、申し送りは頻繁に実施されます。

病院を例に挙げるとわかりやすいかもしれません。シフト交代の場面だけでなく、外来や病棟・検査室・手術室などでは、患者を移送するたびに申し送りを行っているでしょう。

なぜ申し送りをするのか

申し送りは、看護師の仕事をはじめ、介護職や警備員・営業職など、チームで働くさまざまな業種で重要な役割を果たします。申し送りの目的や重要性をみていきましょう。

申し送りの目的

申し送りの目的は、継続して行う業務をスムーズにバトンタッチすることにあります。

申し送りが必要な職場は主にシフト制で、同じ仕事を複数名で担当します。前任者から後任者に交代する際に、仕事の進み具合や必要な情報、指示などを適切に伝えることにより、勤務するメンバーが交代しても適切に業務を進められるようになるのです。

申し送りの重要性

もし申し送りが適切に行われなかった場合、後任者は正しい情報を得ることができません。

病院の病棟で働く看護師を例に挙げてみましょう。日勤から夜勤への勤務交代の場合、夜勤勤務者は日勤勤務者からの申し送りの前に事前にカルテを確認し、情報収集を行います。しかし、忙しいときはとくに、日勤看護師のカルテ記載が交代時間までに終わっていないこともあります。

申し送りがなければ患者の状態や注意すべき点を十分に共有できないだけでなく、二重にケアを行ってしまったり、医師からの指示が実施されなかったりと、重大なミスにつながる可能性もあるのです。

申し送りを効率的に行うポイント

申し送りは大切ですが、時間をかけて丁寧にすることがよいとは限りません。正しく、効率的に行うことで、情報の伝達がスムーズになり、業務の質も向上するのです。

ここからは、申し送りを効率的に行うためのポイントを解説します。

①要点を書き留めて伝える

申し送りをスムーズに行うためには、あらかじめ伝えるべき情報の要点をまとめておく必要があります。要点を書き留めておくことで伝達漏れを防ぎ、的確に情報を伝えることができます。メモをする際には、5W1Hを意識するとよいでしょう。

<5W1H>
 いつ(when)
 どこで(where)
 だれが(who)
 何を(what)
 なぜ(why)
 どうした(how)

②時系列ではなく、項目別に整理する

申し送りの際は、時系列ではなく項目別に情報を整理して伝えるようにしましょう。時系列順で申し送りをすると、聞き手が情報を整理しづらくなってしまいます。また、重要な項目が相手に正しく伝わらなくなるリスクも生じます。

たとえば次のように項目を分類すると、整理がしやすくなるでしょう。

 患者の状態
 医師の指示・変更点
 患者や家族からの要望
 実施した処置
 指示待ちの項目 など

できるだけ余計な情報は省き、必要なことだけを簡潔に伝えることがポイントです。

③事実と感想は区別する

申し送りをする際には、事実と自分の感想をはっきりと区別して伝えます。事実と感想を混同して伝えると、聞き手に正確な情報が伝わりにくくなってしまうためです。事実を客観的に伝え、感想や推測は、別途「ここからは私の感想ですが」や「これは私の意見なのですが」というように一言添えてから話すとよいでしょう。

④フォーマットを活用する

あらかじめ申し送り事項のフォーマットを作成し、それを毎回利用する方法もおすすめです。フォーマットを埋めることで伝えたい情報が抜けづらく、より素早く効率的に相手に伝えることができるからです。フォーマットは個人で作成しても、部署の中で統一してもよいでしょう。

⑤後任に配慮した伝え方 を意識する

申し送りの際には、後任者に配慮した伝え方を意識することが大切です。勤務交代時、後任者はこれから始まる勤務の準備や情報収集で多忙な状況です。交代後にスムーズに業務を始められるよう配慮しましょう。

「申し送り」という言葉を使う時のマナー

「申し送り」という言葉は交代制の勤務をおこなう職場でよく使われる言葉です。状況に応じて使い分けが必要となることもあるので、言葉の使い方やマナーについて知っておきましょう。

取引先など社外の人には使わない

「申し送り」は、基本的に職場内・関係者内での情報の伝達や共有のことを指します。取引先や社外の人とのやり取りでは使いません。社外の人とのやり取りの場面では、「引継ぎ」や「情報共有」などの言葉を使用します。

「申し送る」は正しい日本語ではない

「申し送り」は名詞として使用されることが一般的です。「申し送る」という動詞として使われることがしばしばありますが、これは正しい日本語ではありません。「申し送りをする」や「申し送りを行う」などと表現するのが適切です。

看護業界における申し送りとは

ここからは、看護業界における申し送りについて、その目的や内容を紹介します。看護の現場で申し送りが実施されている理由には、次のようなものが挙げられます。

 患者の様子を次の勤務者に正確に伝えるため
 医師からの指示を伝えるため
 安全で確実な処置や検査、ケアを行うため
 患者・家族からの要望に適切に対応するため
 質のよい看護を提供するため

病院では、日勤・準夜勤・深夜勤など入れ替わりのタイミングが頻繁にあります。勤務が変わる際に患者の状態や注意点について申し送りをすることで、医療事故を防ぎ、安定した質のよい看護を提供することができるのです。

また、検査室や手術室などに患者を移送する際にも、病状や状態を伝えるために申し送りが実施されます。つまり、看護師は1日に何度も申し送りをする必要があるのです。同じことを何度も伝えることは大変だと感じるかもしれませんが、患者の安全を守るためにも、申し送りは欠かせません。

厚生労働省の資料によると、看護師の仕事の中で、申し送りに使う時間は4番目に長いとされています。これは、申し送りが看護師が仕事を行ううえで重要な業務のひとつであることを示しています。

参照元:厚生労働省:看護職員需給推計関係資料

看護師が使う申し送り事項と例文

実際に、看護師が行う申し送りの内容や例文を見ていきましょう。

 入院中の患者についての申し送り
 新規の患者についての申し送り

それぞれ紹介します。

入院中の患者さんの申し送り

入院中の申し送りで伝えるべき内容には、次のものが挙げられます。

 患者の容態について
 治療や処置の状況
 医師からの指示内容
 医師から患者・家族への説明内容
 患者や家族からの要望 など

例文を見ていきましょう。

「208号室のAさんは昨日から発熱が続いており、14時の時点で38.5度でした。担当医に相談し、○○の検査を行ったところ、△△という結果が出ました。現在、□□の点滴を〇ml/hで投与しています。Aさんは食欲が落ちており、本日の食事摂取量は朝昼ともに2割程度でした。排尿は1日4回、排便は昨日から確認できません。明日朝一番で、再度△△の検査をおこなう予定です」

例文では、患者の状態、バイタルサイン、実施した治療や処置の内容やその結果、医師からの指示内容などの情報が含まれています。また、今後の予定についても簡潔に伝えられています。聞き手が状況を把握しやすいよう情報を整理しながら、申し送り事項を伝えましょう。

新規の患者さんの申し送り

新規の入院患者の申し送りの際に伝えるべき内容には、次の項目があります。

 患者の氏名・年齢・性別などの基本情報
 現病歴
 既往歴
 アレルギーの有無
 検査や治療の内容
 医師からの指示
 医師から患者・家族への説明内容
 患者や家族からの要望 など

例文を紹介します。

「Bさんは58歳の女性です。2週間前から□□の症状が続いており、精査のため今日から入院となりました。ADLは自立、バイタルサインは安定しています。既往歴に△△がありますが、最近の症状との関連は不明です。
明日午前中に○○検査と××検査を予定しています。そのため本日の夕食から絶食となります。検査についてはBさんとご家族に説明し、同意書を取得済みです。
また、検査結果次第ではありますが、明後日以降に□□の治療を開始する可能性があります。治療に関してBさんは不安を訴えており、検査や治療について質問や相談があれば、対応をお願いします」

この例文では、新規入院患者の基本情報に加え、予定されている検査や治療方針、医師からの説明の状況、患者の精神状態とそれに対する対応などが含まれています。新規入院患者の申し送りでは、聞き手は患者のことを知らない状況で業務を引き継ぐことになります。必要な情報を過不足なく伝えられるように整理しておきましょう。

まとめ

この記事では、申し送りの目的や重要性、効率的に必要な情報を伝えるポイントを解説しました。申し送りをする際は、具体的で正確な情報を簡潔に伝えることが大切です。要点をメモしたり、フォーマット利用したりと工夫して、スムーズに申し送りができるように心がけましょう。

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