看護師になるには?免許の取得方法や費用負担を減らす方法を解説

看護師になるには?免許の取得方法や費用負担を減らす方法を解説

看護師になるには?免許の取得方法や費用負担を減らす方法を解説

看護師になるには、看護学校を卒業し、看護師国家試験に合格する必要があります。選ぶ学校によって、免許取得までの期間や費用が異なるため、事前に違いを把握しておきましょう。

本記事では、社会人が看護師免許を取得する方法や看護師を目指す際の学校やルートの選び方についても解説します。社会人で看護師になる道を検討している人も参考にしてください。

看護師になるには?

看護師になるには、高卒者の場合、看護大学や看護短期大学、看護師養成所で最低3年、中卒者の場合、5年一貫看護師養成課程校で5年の教育を受け、看護師国家試験に合格する必要があります。

看護師国家試験は毎年2月中旬に行われており、試験合格率はおおよそ90%前後です。

看護師国家試験の開催年合格率
令和6年 第113回87.8%
令和5年 第112回90.8%
令和4年 第111回91.3%
令和3年 第110回90.4%
令和2年 第109回89.2%

同じ医療従事者である臨床検査技師や薬剤師、作業療法士の国家試験合格率は約70~80%です。これと比較すると、看護師国家試験の合格率は高く、 試験難易度は低いといえるでしょう。

参照:
厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表」
厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」
厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験及び第111回看護師国家試験の合格発表」
厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表」
厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表」

社会人になってから看護師を目指す方法

社会人を経てからでも、看護師は目指せます。日本医師会の「令和4年 医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」 によると、看護師養成所(3年課程)の学生のうち約4人に1人が社会人経験者という調査結果が出ています。

看護師不足を背景に、社会人の受け入れに積極的な学校が増えており、経済的な支援制度も充実してきています。

社会人が看護師になるには、主に二つの道があります。一つは最初から看護師免許を取得する方法、もう一つは准看護師免許を取得した後、看護師免許を取得する方法です。

それぞれについて解説していきます。

参照:公益社団法人 日本医師会「令和4年 医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」

1.看護師国家試験の合格を目指す

社会人を経て看護師になるには、看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得しなければなりません 。まずは看護学校に入学し、看護師国家試験の受験資格を得ましょう。

看護師国家試験の受験資格を得るには、高卒者で最短3年、中卒者で5年にわたり看護学校での専門教育を受ける必要があります。看護師養成所や看護大学など、各学校の特徴を把握し、自身の学歴と目指す方向性に合わせて入学先を選ぶとよいでしょう。

なお、保健師や助産師のカリキュラムがある大学に入学した場合、4年の教育期間で“保健師免許”や“助産師免許”の取得も目指せます。

2.准看護師免許を取得した後、看護師免許の取得を目指す

社会人を経て看護師を目指す場合、はじめに准看護師免許を取得し、その後、看護師免許の取得を目指す方法もあります。
准看護師免許は、指定の養成所で2年間の教育を受け、都道府県が実施する准看護師試験 に合格することで取得できます。看護師免許よりも短期間で取得でき、難易度も低いのが特徴です。

なかには看護師養成所に通うために、まとまった学費や生活費を工面することがむずかしいという人もいるのではないでしょうか。准看護師免許を取得後、病院で働きながら看護師養成所に通えば、収入を得ながら看護師を目指すことが可能です。臨床経験を積みつつ、看護師免許の取得を目指せるといった利点もあります。

ただし、中卒者が看護師養成所に入学する場合は、准看護師としての実務経験が3年以上必要です。高卒者の場合は、実務経験の有無は問われません。

社会人になってから看護師を目指す際の学校やルートの選び方

ここでは、社会人を経て看護師を目指す際の学校やルートの選び方について解説します。各学校の特徴やルートの違いを把握し、もっとも自身と相性がよい道を選ぶことで、より効率的に看護師免許を取得できることでしょう。

最短で免許取得を目指す場合

高卒者の場合、看護師養成所や看護短期大学に入学すれば、最短3年で看護師免許を取得できます。看護師養成所は学費が安いこと、看護短期大学は一般教養も身につけられることがそれぞれの特徴です。

ただし、看護短期大学は全国にわずか14校しかなく、立地面で通学がむずかしい人もいるでしょう。 また、両者とも全日制であり、仕事と両立しながら通うことは困難を極めます 。最短で看護師免許の取得を目指すのであれば 、経済面や学習環境、通学のしやすさなどを考慮し、学校を選ぶことが大切です。

最短で看護師免許を取得できれば、早期に安定収入を得られるほか、キャリアアップの機会も早く訪れるというメリットがあります。

参照:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する参考資料」

看護師としてキャリアアップを目指す場合

看護師としてのキャリアアップを重視するなら、4年制の看護大学に入学するのがおすすめです。幅広い知識が身につきやすく、4年の教育期間で保健師や助産師の資格取得も目指せます。また、大学院への進学も可能です。

大学院修士課程を修了すれば専門看護師資格も最短で取得できます。病院や企業の採用条件には「大学卒業以上」と定められているケースもあり、 学歴が理由で就職先の選択肢が狭まる可能性も低くなります。さらには、養成所卒の看護師よりも初任給が8000円程度高く、昇給額も優遇されやすいというメリットがあります。

参照:日本看護協会「2023 年 病院看護実態調査 報告書」

仕事をしながら看護師を目指す場合

フルタイムで仕事をしながら看護師免許取得を目指すのは非常に困難です。というのも、看護師養成所や看護大学は、日中に授業が組み込まれているほか、長期の実習もあり、仕事に充てる時間を十分に確保できないからです。そのため、パートやアルバイトに切り替えた上で、土日や夜間に働くことになるでしょう。

仕事と学業を両立させたい場合には 、まずは准看護師免許を取得し、その後段階的に看護師免許を取得するのがおすすめです。准看護師免許を保有していれば、定時制や通信制の看護師養成所に入学でき、働きながらでも看護師免許の取得を目指せます。

准看護師として働きながら看護師を目指す場合

准看護師として働きながら看護師免許取得を目指す場合、仕事と学業の両立が課題になります。准看護師が通える看護師養成所には、主に全日制と定時制の2種類があります。全日制は、最短2年で看護師免許を取得できますが、日中は授業に割かれるため 仕事との両立がむずかしいのが欠点です。

一方、定時制は、看護師免許の取得まで3年かかるものの、夜間の授業が設けられており、仕事の時間を確保しやすいという利点があります。仕事と学業のバランスを考慮し、自分に合った学校を選びましょう。

仕事をしながら通いやすい学校とは?

定時制の看護師養成所なら、仕事をしながらでも無理なく通うことができます。定時制の看護師養成所には、“昼間定時制”と“夜間定時制”があります。

日中に授業がない曜日もあるため、仕事に充てる時間を確保しやすいでしょう。ただし、勉強の時間や実習時間を考慮すると、フルタイム勤務はむずかしいのが現実です。パート勤務やアルバイト勤務に切り替え、無理のない範囲で働くとよいでしょう。

3年次には、長期実習が始まる上、 国家試験に向けた勉強時間も確保しなければいけません。忙しい時期に極力働かずに済むよう、貯金しておくなどの工夫をしておきましょう。

准看護師としての実務経験が7年以上ある場合

准看護師としての実務経験が7年以上ある場合は、通信制の看護師養成所に通うことができます。通信制の看護師養成所は、通信教材での学習が中心で授業時間を柔軟に調整でき、仕事と学業を両立しやすいでしょう。また、通信制の看護師養成所の教育期間は2年と、早期に看護師免許を取得できるというメリットもあります。

ただし、対面授業や看護実習などが計50日ほどあるため、この期間に休暇がとれるよう事前に職場と調整しておく必要があります。

社会人になってから看護師になるメリットとは?

社会人になってから看護師になることで、これまでの社会経験を活かすことができます。また、キャリアの選択肢が増え、給料が高くなるといったメリットもあります。それぞれについて詳しく解説していきます。

幅広い働き方ができる

社会人経験があると、看護師として幅広い働き方ができます。例えば、企業での就業経験があれば、ビジネスマナーを活かして患者や他職種と丁寧なコミュニケーションをとることができます。

また、「仕事が忙しくて自身の健康を後回しにしがち」というビジネスパーソンの立場を理解した上で、生活指導を行えます。そのほか、企業の健康管理室で会社員時代の自身の経験や業務効率化の知見をもとに活躍することもできるでしょう。

このように、社会人経験は病院内外で活かすことができ、看護師としてのキャリアの幅を広げます。

給与が比較的高い

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約508万円です。職種問わず女性全体の平均年収は約314万円であることから、看護師の給与水準は比較的高めだといえるでしょう。

看護師は、夜勤回数を増やしたり専門資格を取得したりすることで、手当が加算され、より高い収入を得られます。また、管理職への昇進など、キャリアを積むことでも収入増加が見込めます。安定した収入を求める人にとって、看護師は魅力的な職業だといえるでしょう。

参照:
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」

社会人としての経験を活かすことができる

社会人経験は、看護師として働く上で大きな強みとなります。これは、社会人経験で培われたコミュニケーションスキルや時間管理能力、プレゼンスキルなどが、看護現場でも役立つからです。

例えば、営業職経験者は患者との信頼関係の構築に長けていたり、教職経験者は勉強会の資料作成や看護研究用のスライド作成が得意だったりします。

このように、社会人としての経験は看護現場でも活かされやすく、その点が評価されれば、早期のキャリアアップにもつながるでしょう。

看護師を目指す前に知っておくべきことは?

看護師を目指す場合、学校選びの基準や学生期間にかかる費用、学生生活の忙しさ、看護師の責任などについて事前に理解しておくことが大切です。ここからはおさえるべきポイントについて詳しく解説します。

学校選びと入試の対策

学校選びの基準や入試対策について理解を深めることは、看護師を目指す上で重要です。学校を選ぶ際には、カリキュラムや実習施設、国家試験合格率などをチェックし、自身に適した学校かどうか判断するとよいでしょう。

入試対策では必須科目の勉強のほか、小論文や面接対策も必要になります。医療や看護業界の時事問題にも注目しておくとよいでしょう。早めに準備を始めて、計画的に勉強しておけば、志望校合格に一歩近づきます。

学費と生活費

看護師を目指すにあたり 、学費や生活費も重要なチェックポイントです。必要な費用を把握しておくことで、経済的に余裕をもって学業に専念できます。看護学校の学費は、看護師養成所で約200~300万円、私立大学で約500万円前後です。

その他、生活費や教材費もかかります。日中は授業で仕事の時間が限られることも考慮し、 十分な貯蓄をしておく必要があるでしょう。

奨学金制度や給付金制度などの経済的支援制度を活用することで、学費をおさえられます。

参照:
東京都専修学校各種学校協会「調査2 令和5年度 学生・生徒納付金調査」
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

看護学生の多忙さ

看護学生の生活は忙しいものです。講義や実習に加え、レポート作成など、自宅で行う課題も多く、自由時間がほぼありません。特に、実習期間中は多忙で、実習後にも記録を作成したり、勉強したりすることが求められます。演習課題やテスト勉強などに追われ、卒業間際には国家試験対策も行わなければいけません。

このような忙しい日々を乗り切るためには、仕事と学業の両立に関して、家族や職場の理解を得る必要があります。事前に協力を依頼しておくことで、学業に集中できる環境を整えられるでしょう。

看護師としての責任感

看護師は、人の命に直接関わる仕事です。自分のミス1つで患者の命を脅かすこともあるため、常に責任の重さを感じながら業務にあたることになります。患者の急変時には冷静な判断と迅速な対応を求められ、医師不在時には看護師が第一対応者となることも多くあります。命を預かる重圧に耐えられず、離職してしまう看護師も少なくありません。

長く働き続けるには、こういった責任の重さを十分に理解した上で、看護師を目指す必要があるでしょう。

看護師になるにはどれくらいの費用がかかる?

看護師になるための必要費用は、入学する学校の種類によって大きく異なります。学校別の学費の目安は、以下の表のとおりです。

学校の種類卒業までの学費合計
看護師養成所約200~300万円
看護短期大学約330万円前後
私立看護大学約500万円前後
国立看護大学250万円前後

参照:
東京都専修学校各種学校協会「調査2 令和5年度 学生・生徒納付金調査」
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
文部科学省「文部科学省令第十六号」

学費に加えて、教材費や学生保険料、白衣代も必要です。一人暮らしの場合は、食費や住居費もかかります。入学後は学業に専念できるよう、 早めに必要費用を算出し、計画的に貯蓄しておきましょう。

学生期間にかかる費用をできるだけ抑えたい場合は、奨学金制度や給付金制度などを活用することも検討してみるとよいでしょう。
次の項目では、学費負担を減らす方法について詳しく解説していきます。

参照:
東京都専修学校各種学校協会「調査2 令和5年度 学生・生徒納付金調査」
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
文部科学省「文部科学省令第十六号」

看護師になるための学費負担を減らす方法

看護師を目指す際の学費負担を減らしたい場合に は、以下の2つの制度が活用できます。
 奨学金制度
 給付金制度
それぞれについて解説します。

1.奨学金制度

奨学金制度とは、経済的な理由で進学がむずかしい学生に対し、金銭的な支援を行う制度のことです。

主に“貸与型”と“給付型”の2種類があり、それぞれで利子の有無や返済義務の有無に違いがあります。主な奨学金制度には、“日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度”や“都道府県の看護師等修学資金貸与事業”などが挙げられます。

また、独自に看護学生に対して奨学金制度を設けている病院も少なくありません。

申し込み要件を満たせば、複数の奨学金制度を併用できる場合もあります。

参照:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金制度の種類と概要」

2.給付金制度

給付金制度とは、学費や生活費の負担を軽減する目的で、学生に返済不要の支援金を支給する制度です。 主な給付金制度には、“日本学生支援機構(JASSO)の給付奨学金”や“教育訓練給付金制度”などが挙げられます。

実際に教育訓練給付金制度を活用すれば、厚生労働大臣指定の看護師養成所講座受講時に教育訓練経費の40%(年間上限32万円)、資格取得後就職時に20%(年間上限16万円)が支給されます。ただし、教育訓練給付金制度の利用には2年以上の雇用保険被保険者期間が必要です。

参照:
独立行政法人日本学生支援機構「奨学金制度の種類と概要」
厚生労働省「看護師養成所における社会人経験者の受け入れ準備・支援のための指針」

まとめ

この記事では、看護師免許を取得する方法や看護学校やルートの選び方、学費負担を減らす方法などについて解説しました。また、社会人が看護師を目指す方法についても紹介しました。看護師免許を最短で取得するなら“看護師養成所”、キャリアアップを重視するなら“看護大学”に入学するとよいでしょう。仕事と学業の両立を考えるのであれば、まずは准看護師免許を取得し、働きながら看護師免許を取得する方法がおすすめです。学費負担を軽減したい場合は、奨学金制度や給付金制度の活用も検討しましょう。

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