シバリングは発熱時に起きやすい?原因や症状、対応方法を解説

シバリングは発熱時に起きやすい?原因や症状、対応方法を解説

シバリングは発熱時に起きやすい?原因や症状、対応方法を解説

看護師として働くなかで、発熱時に体がガタガタと震える現象が起きた患者の対応をする機会はよくあるのではないでしょうか。医学用語で「シバリング」と呼ばれるこの現象は、体温調節のための重要な生理的反応です。

この記事では、シバリングの原因や起こりやすい状況、看護師として適切な対処法を紹介します。日々の看護に役立ててください。

シバリングとは

「シバリング」とは、体が勝手にブルブルと震えたり、歯がガチガチと鳴るような現象を指す医学用語です。体温調節のための生理的反応のひとつで、体温を上昇させるために筋肉が不随意に動くことで起こります。熱が上がる前や全身麻酔からの覚醒時などに見られます。

同義語として「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」という言葉も使われます。体温を上げるために起こる血管の収縮、立毛筋の収縮によって生じる異常な感覚を「悪寒」、筋肉の収縮により体熱の産生を増加させようとして起こるふるえを「戦慄」とそれぞれ呼称します。

シバリングは普通の身震いと比べ長く続くため、体内酸素消費量の増加や眼圧・脳圧の上昇などの原因となることもあります。

シバリングの原因

シバリングは、体温調節のために誰にでも起こりうる生理的な反応です。

普段、体温は間脳にある視床下部の体温調節中枢によってコントロールされています。何らかの理由で体温調節中枢の調節レベルが現在の体温より高いところに設定された場合、体は体温を上げなければなりません。具体的には、体熱の放散を抑制し、筋肉を収縮させて体熱産生を増やそうとします。このときに起こるふるえがシバリングです。

なお、体温が体温調節中枢の設定したレベルまで上昇すると、悪寒やふるえは消失します。

シバリングが起きやすい状況

ここからは、シバリングがどのような状況で起こりやすいのか、具体的にみていきましょう。

1. 風邪などの発熱時
2. 手術後

それぞれ解説します。

1.風邪などの発熱時

風邪を引いたときに熱が出るのは、体内の免疫細胞がウイルスと闘っているためです。体温を上げて免疫力を活性化させ、体全体でウイルスを排除しようとしているのです。

普段、私たちの体温は37度前後に保たれています。ところが、ウイルスが体内に侵入すると、体温調節中枢が機能し、免疫を活性化させるためにセットポイントを高い温度に設定します。その後脳から全身に向けて発熱するよう指令が出され、シバリングが起こるのです。

個人差はありますが、一般的に、強力なウイルスに感染した時ほど体温は高く設定され、シバリングが起きやすいと考えられています。

2.手術後

手術中は、麻酔の影響で急激な末梢血管拡張が起こることにより患者の体温が低くなりやすくなります。手術が終了し麻酔から覚醒し始めると、低下した体温を上げようと脳が体に指令を出し、シバリングが起きるのです。

また手術の侵襲により、細胞からサイトカインと呼ばれる物質が分泌されます。サイトカインは全身に侵襲の発生を伝え、適切に生体反応を起こさせる役割を担っています。 体温調節中枢にサイトカインが作用することで、発熱するのです。なお、手術の侵襲が大きいほどサイトカインは多量に分泌されるため、シバリングが起こりやすくなります。

参考:日本手術看護学会 手術中の低体温の予防

シバリングの対応時に気をつけたいポイント

患者にシバリングが発生したら、看護師は状況を素早く判断し、適切に対処しなければなりません。次の3つのポイントを意識しましょう。

1. まずは体を温める
2. 寒気がおさまり次第、温めるのをやめる
3. 汗をかいたら着替えて水分補給をする

それぞれ解説します。

1.体を温める

シバリングが起きているとき、患者の体内では熱を作り出そうとしています。まずは室温を上げたり、布団をかけたりして体を温めます。寒がっている場合には、電気毛布や湯たんぽなどを使用し、手足を温めるようにするとよいでしょう。

なお、寒さを感じている段階では、クーリングはしません。可能であれば、常温か温かい飲み物を摂取するよう促します。シバリングが起こっている間はこまめに患者の状態を観察することも大切です。

2.寒気がおさまり次第、温めるのをやめる

寒気がなくなったら、それまで使用していた布団や電気毛布を外し、クーリングを行います。患者が心地よいと感じられるようかけものを調節し、氷枕やアイスノンで頭部を冷やしましょう。できるだけ多めに水分をとるよう勧めます。

高熱が長時間続くと体力を消耗してしまいます。看護師は、状況に応じて首や脇の下など、太い血管のある場所を冷やしたり、医師の指示に従って解熱剤を投与したりします。

3.汗をかいたら着替えて水分補給をする

解熱期の患者は、大量に汗をかきます。汗をかいたらそのままにせず、看護師は体を拭いたり、シャワーや着替えさせたりし、ゆっくり休める環境を整えましょう。

大量の発汗は脱水状態につながります。脱水症状を予防するために、水分摂取を促しましょう。体が吸収しやすいよう、経口補水液を勧めるのもよいでしょう。飲水が難しい場合には、医師の指示に従って補液を行います。

シバリングの影響を受けやすい人と注意点

シバリングは誰にでも起こりうる生理現象ですが、人によっては、危険な状態になることがあります。とくに、次のような人にシバリングが起きた場合は注意が必要です。

● 高齢者
● 心肺機能が低下している人

シバリングが起こると、酸素消費量が増えて体内の二酸化炭素や乳酸が増加します。また、交感神経の緊張により血圧や心拍数、眼圧、脳圧が上昇することもあります。混合性アシドーシスに陥ったり、重篤な不整脈が発生したりと、命に関わるリスクにつながります。

高齢者や心肺機能が低下している患者のシバリングの対応の際には、命の危険があることをしっかりと理解し、看護を行いましょう。

まとめ

この記事では、シバリングの原因や起こりやすい状況、適切な対処法を紹介しました。シバリングは、生命活動を維持するために大切な生理現象のひとつです。一般的には熱が上がるタイミングや術後に起こります。患者にシバリングが起きている最中、看護師は患者の体を温め、熱が上がりきってからクーリングを開始します。解熱後は汗をかくので、寝具や衣服を清潔に整えましょう。

シバリングが起きたときの看護のポイントや、注意して観察すべき患者の特徴をしっかりと理解し、日々の看護に活かしていってください。

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