看護師の仕事は不規則な勤務形態となりやすく、食事のタイミングも日によって異なるという人も多いでしょう。とくに夜勤の日は、どうしても栄養のバランスが崩れてしまったり、炭水化物や脂質が多いものに偏ってしまったりするものです。
仕事の疲れを回復し、体内時計を整えるためには食事のタイミングや内容を工夫することが非常に大切です。この記事では、夜勤明けの食事を選ぶポイントや夜勤前後におすすめの食事メニュー、夜勤明けに避けるべき食品を紹介しています。夜勤をしている人は、参考にしてみてください。
夜勤明けの食事のセレクトポイント
夜勤の日は、どうしても生活リズムが乱れやすくなってしまいます。乱れた体内時計を上手にリセットし、体の疲れを軽減するためには、食事をするタイミングや選ぶ食品を工夫することが大切です。まずは、夜勤明けの食事のポイントを紹介します。
夜勤明けは消化のよいものを食べる
夜勤明けは消化のよい食べものを選びましょう。夜勤が明けたあとは、食事をとってから仮眠するという人が多いでしょう。脂質の多いものを食べると消化に時間がかかるため、眠っている間も胃腸が働き続けます。胃腸が休まらないと体全体が休息できず、睡眠にも悪影響を与えます。
夜勤明けは糖分や脂質の多い食べ物をたくさん食べたい衝動にかられるかもしれません。しかし、たくさん食べたい気持ちを抑えて、消化のよい食事を少量ずつ食べるようにしましょう。また、すぐに寝てしまいたいほど疲れているときは、しっかりと体を休めるためにも食事をとらずに眠ることをおすすめします。
夜勤前と夜勤中の食事と合わせて考える
夜勤の日はどうしても、食事の栄養バランスが崩れてしまいがちです。とくに夜勤のスタッフの人数が少ない場合や、急変や緊急入院に対応しなければならない場合には、ゆっくりと食事をする時間が取れず、手軽に食べられるおにぎりやパンだけになってしまうこともあるでしょう。
忙しいなかでも体を労わるためには、1日をトータルして健康的な食事を心がけてみることをおすすめします。まずは、夜勤前・夜勤中・夜勤明けの食事をそれぞれ朝食・昼食・夕食と考えて食事の内容を調整してみましょう。各食事の内容や、栄養のバランスを考えやすくなります。
コンビニの食事でもOK
忙しい夜勤前や、疲労の溜まっている夜勤明けは自炊にこだわらず、コンビニで食事を調達することもひとつの手段です。コンビニには、手軽に必要な栄養素が摂れるよう工夫された商品が豊富に揃っています。ただし栄養のバランスが崩れないよう、選択する食品には配慮が必要です。
ごはんや麺類などの炭水化物だけでなく、たんぱく質の多い食品や、食物繊維・ビタミン類が豊富に含まれる野菜類・果物類を十分摂るように心がけましょう。
・サラダ
・枝豆
・サラダチキン
・豚汁
・豆腐
・バナナ など
つい炭水化物を摂りすぎてしまう人は、サラダや野菜スープなど、野菜の多い食品を1品プラスすることから始めるのがおすすめです。食物繊維の豊富な野菜類を食事の最初に食べるようにすると、満腹中枢が刺激され、炭水化物の摂り過ぎを予防できます。
酸っぱいものを意識して食べる
疲れていると、甘いものを食べたくなるという人も多いでしょう。効率的に疲労回復をしたい場合には、甘いものに加えて「酸っぱいもの」を選んでみてください。酸味成分である「クエン酸」は、体内で糖分を代謝し、エネルギーを生み出す際に重要な役割を果たしています。つまり、クエン酸を意識して摂取することで、効率よく糖分からエネルギーを得られるのです。
また、クエン酸には、体内の疲労物質を分解し、蓄積を防ぐ作用もあります。レモンやオレンジ・グレープフルーツなどの柑橘類、梅干しなど、酸っぱいものを夜勤前後の食事や間食に取り入れることにより、疲労回復効果が高められます。
夜勤におすすめの食事メニュー
夜勤前後の食事は、どうしても炭水化物に偏ってしまったり、野菜が少なかったりと、バランスが崩れがちです。夜勤の日の食事内容を健康的なものにするために、夜勤前から夜勤中、夜勤後を通して1日分の食事と考え、栄養バランスを考慮したメニューを考えましょう。
夜勤前後の食事におすすめのメニューをそれぞれ紹介します。
夜勤前
夜勤前の食事は、1日3食のうちの「朝食」に該当します。夜勤当日は普段より遅く起床する人も多いかもしれません。朝食を兼ねた昼食を摂る場合でも、炭水化物やたんぱく質、野菜・果物を取り入れ、バランスのとれた食事を摂りましょう。
また、脂質や糖質が多い菓子パンや、塩分・脂肪分の多いジャンクフードは避け、400kcal前後のボリュームを目安にすることをおすすめします。サンドイッチやおにぎり、ヨーグルトなど、普段朝食に食べるメニューを夜勤前の食事として選べば、起床後も食べやすいでしょう。
夜勤中
夜勤中の休憩時間に摂る食事は3食のうち「昼食」にあたります。消化がよく、エネルギーをしっかりと補給できるものが適しています。ただし、麺類やご飯ものなど炭水化物を食べすぎると、逆に疲労感や眠気を感じやすくなってしまいます。
コンビニのおにぎりやパンなどの単品メニューは手軽に摂取できますが、栄養素が炭水化物に偏りがちです。野菜とたんぱく質を中心とした、次のような栄養価の高いものをプラスするように心がけましょう。
・野菜サラダ
・おでん
・スープ類
・ヨーグルト
・チーズ
・ゆで卵 など
夜勤の最中はゆっくりと食事の時間を確保できないことも多いのではないでしょうか。その場合には、例に挙げた手軽に栄養の摂れるものを選んで準備しておくことをおすすめします。
夜勤明け
明けの食事は1日3食のうち「夕食」に該当します。実際に食べる時間帯は午前中〜昼間ですが、ヘルシーな夕食をイメージし炭水化物や脂質は少なめにしましょう。おすすめは、野菜がたっぷり入った具沢山のスープや豚汁、卵を入れた雑炊など、消化がよく効率的に栄養を摂れるメニューです。
食欲がない場合には、夜勤明けに無理に食事をする必要はありません。夜勤で乱れた体内時計をリセットするためには、仮眠は短時間にとどめ、夜早めに休むとよいでしょう。仮眠から覚めたら、通常通りの生活・食事に戻していきます。
夜勤明けに避けたい食事
夜勤の後は、開放感やホルモンバランスの乱れにより、食欲が増しやすい状態です。つい食べすぎてしまったり、カロリーの高いものを選んで食べてしまう人も多いでしょう。ここでは、夜勤明けにできるだけ避けたい食べ物や飲み物について解説します。
脂っこいもの
夜勤に限らず、徹夜明けは、ついこってりとした脂質の多い食事を選んでしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、脂質の多い食事は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけてしまいます。食後にすぐに眠ると睡眠の質が下がり、疲れているのにしっかりと眠れないという状況に陥りやすくなります。
夜勤明けに仮眠をとらず普段通りの生活を送れる人は、そこまで脂っこいものを意識して避ける必要はありません。通常通りの食事に戻しつつ夜は早めに就寝し、体のダメージ回復に努めるよう心がけましょう。
カフェインが含まれるもの
夜勤明けには、カフェインが含まれる食品は控えましょう。カフェインには睡眠を妨げる作用があり、夜勤明けにカフェインを含む食べ物や飲み物を摂取すると、スムーズに寝付けず、より体内リズムが崩れる原因となります。
リラックスのためにコーヒーや紅茶を飲みたい人は、デカフェのコーヒーや、ノンカフェインのハーブティなどで代用するのがおすすめです。また、車の運転の眠気覚ましとしてコーヒーを飲みたい場合には、眠る時間の3時間前までに少量だけ飲むようにしましょう。カフェインの血中濃度が最大値となるのは、摂取後30分から2時間程度であると言われているためです。
甘いもの
糖質が多く含まれるお菓子類や菓子パンも避けましょう。糖質を多くとりすぎると、交感神経が興奮しやすい状態を作り出してしまいます。寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりと、睡眠へ悪影響をおよぼします。
甘いものがどうしても食べたくなった時には、果物や、無糖のヨーグルトに少量のハチミツを加えたものなど、糖質の少ないものを食べるようにしましょう。
夜勤明けの食事の注意点
ここまで、夜勤明けの食事におすすめのメニューや、避けるべき食べ物について紹介してきました。夜勤明けに食事をする際には、次の点にも注意しましょう。
・お酒のおつまみを工夫する
・塩分過多にならないようにする
・無理して食べない
それぞれ詳しく解説します。
お酒のおつまみを工夫する
開放感から、お酒を飲みたくなるという人もいるでしょう。適量の飲酒であれば問題ありません。しかし、お酒とともに食べるおつまみには、油分や塩分が多く含まれているものがあるため注意しましょう。脂質が多い食品をたくさん摂取すると胃腸への負担が大きくなり、不調の原因となったり、睡眠の質を下げてしまったりします。
おつまみには、野菜スティックや冷奴など、たんぱく質や食物繊維が豊富なヘルシーなものを選びましょう。
塩分過多にならないようにする
夜勤明けの食事には、コンビニやスーパーなど市販のお弁当やお惣菜が便利です。コンビニやスーパーでは、糖質や脂質を減らしたヘルシー志向の商品が増えています。ただし、しっかりとした味付けのものも多く、塩分過多になりやすいことも事実です。塩分のとり過ぎが慢性的に続けば、血圧が上がったり、腎臓に負担をかけたりと健康に害を及ぼします。
お惣菜やお弁当に添付されている醤油やソースを必要以上にかけない、サラダにかけるドレッシングを少なめにするなど、塩分の摂取量を意識して調節しましょう。
無理して食べない
夜勤後は、疲労感や眠気により、食欲がわかないこともあるでしょう。食欲がない時は無理をして食べる必要はありません。
無理やり食べてしまうと胃腸に負担がかかり、睡眠の質を下げてしまいます。疲労が十分取れなくなってしまうため、仮眠をして食欲が出てきてから、食べやすいものを摂取することをおすすめします。
まとめ
この記事では、夜勤明けの食事を選ぶポイントや、夜勤前後におすすめの食事メニュー、夜勤明けに避けるべき食品を紹介しました。夜勤はハードな勤務であるうえ、時間が不規則で疲労感も大きくなりがちです。夜勤明けで疲れているときこそ、しっかりと体を休め、回復させる食事の選び方を工夫しましょう。
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