オンコール対応とは何か?手当はどれくらい?メリット・デメリットを紹介

オンコールは、医療従事者が勤務時間外に行う待機当番のことです。おもに医師・看護師が担当します。訪問看護ステーション・介護福祉施設・オペ室で働く看護師にとっては、なじみ深いものかもしれません。

転職先を探す際にも、オンコールの有無を気にする人は多いものです。今回の記事では、オンコールの仕事内容や当番の日の過ごし方などについて紹介します。オンコールへの理解を深め、転職活動の参考にしてみてください。

オンコール対応とは何か?

オンコール対応とは、医師や看護師が急な呼び出しに応じるための勤務シフトの一つです。勤務時間外でもすぐに連絡がつくよう、職場から専用の電話を持ち帰ります。

オンコールの対象時間は退勤後から次の出勤時間まで、もしくは事業所の開所時間外。深夜帯や早朝であっても、いつでも呼び出しに応じられるよう待機する必要があります。また、状況によっては時間外の訪問や出勤も行います。これを「緊急出動」や「駆け付け」と呼びます。

訪問看護師の対応

訪問看護師のオンコール対応時に連絡をしてくる相手は、おもにサービス利用者本人やその家族です。看護師は利用者の体調の急変などに関する相談に応じ、適切な指示やアドバイスを行います。電話口の利用者・家族は不安でいっぱいです。落ち着いた口調で丁寧に対応する力が求められます。なお利用者の状況によっては居宅を訪問することもあります。

介護福祉施設看護師の対応

介護福祉施設で働く看護師のオンコールは、施設の介護スタッフからかかってくる電話の対応がほとんどです。おもに施設利用者の容体が気になる際や急変時など、医療的な判断・指示が必要な場面で連絡が入ります。

介護スタッフに電話口で指示をして完了することが大半ですが、看護師が出動してケアを行うケースもあります。

オペ室看護師の対応

オペ室で働く看護師の場合には、緊急オペが入った際などに呼び出しの連絡が入ります。とくに都道府県の二次救急・三次救急指定を受ける病院では、オペ室看護師の仕事内容にオンコールが含まれることは、必至といってもよいでしょう。

訪問看護師や介護福祉施設で働く看護師とは異なり、オペ室看護師は呼び出しがあったら必ず出勤することになります。出勤後は日勤の仕事と同様に、オペの準備・介助(器械出し・外回り)・片付けなどを行います。

訪問診療における看護師の対応

訪問診療クリニックや病院の在宅医療部門で働く看護師も、オンコール対応をする場合があります。対応方法は職場によって異なるため、一つずつ紹介していきます。

 医師がオンコール対応を行い、看護師は代理応対をする
医師がほかの患者に対応しているなど、電話に出られない場合に限り、看護師が代理で応対します。

 看護師が1stコールを担当し、必要に応じて医師に連絡する
看護師がオンコールの一次受けを行う形です。訪問が必要であれば、医師に連絡し指示をあおぎます。

 医師が1stコールを担当し、看護師が2ndコールを担当する
医師がオンコールの一次受けを行い、看護師が二次受けを担います。万が一医師につながらなかった際に、看護師に連絡が入ります。

 法人本部や外部委託業者がオンコール対応を行う
現場スタッフの負担を減らすための取り組みとして、近年増えている方法です。法人本部内に夜間のオンコール対応を専門に担う部署を設けたり、外部業者に委託したりすることで、現場のオンコール対応をカット。出動が必要になった際も、同部署の当番医師・看護師が訪問するため、現場スタッフが呼び出されることは原則ありません。

なお出動方法は、事務所の方針や患者の病状によって異なります。おもに3パターンあり、「医師のみ訪問する」「医師の訪問に看護師が同行する」「看護師のみ訪問する」のいずれか。看護師が単独で訪問する場合でも、医師とは随時連絡が取れる環境です。看護師は医師の指示をあおぎながら処置を行います。

オンコールの日の過ごし方の注意点

オンコール当番の日は、必ず電話に出られる状態でいなくてはなりません。状況によっては出動する可能性もあるため、その備えも欠かせません。ではどんなことに注意をはらえばよいのでしょうか。ここからは注意すべきポイントを確認していきましょう。

遠出は避け、自宅か職場近くで待機する

オンコールの電話が鳴るのは“必ず緊急時”と言っても過言ではありません。患者や利用者の急変、緊急オペはいつ起こるかわからないもの。遠出は避け、自宅や職場の近くで待機するようにしましょう。

外出する場合でも、自宅周辺や職場近くなど、駆けつけやすい距離にとどめます。また「電波が入っておらず、気がつかなかった」ということがないよう注意しましょう。

飲酒は控える

飲酒をすると気分が高揚し、正確な判断力は失われます。相手から寄せられた相談へのアドバイスや指示を的確に行うためにも飲酒は控えましょう。

また緊急出動の可能性がある職場では、飲酒をした状態では正しい判断ができないことにくわえ、まわりに不快感を与えてしまいます。職場を離れていても「勤務中である」という自覚を持ち、緊急時に備えることが重要です。

常に携帯電話をそばに置いておく

オンコールの電話が鳴るのは大半が緊急時です。電話がかかってきたときに速やかに応答できるよう、近くに携帯電話を置いておきましょう。

呼び出しが多いのはとくに夜間や早朝、土日・祝日。仮眠をとったり近隣へ出かけたりする場合も、オンコール用の携帯電話は肌身離さず持って行く必要があります。携帯電話の充電切れや「マナーモードにしていて気がつかなかった」ということのないよう注意しましょう。

オンコール手当の平均額

オンコールの待機手当は、1日あたり1,000~3,000円が相場です。施設形態によって差があり、病院や介護福祉施設の平均額は1,000〜2,000円/日、訪問看護ステーションでは1,000〜3,000円/日。訪問看護ステーションのなかには、土日・祝日のオンコール手当額を高く設定するところもあります。

それは土日・祝日のほうが平日よりも応対回数が多いといった事情を加味してのこと。日本看護協会の「2014年 訪問看護実態調査報告書」によると、平日の待機手当の平均は1,709円/日、休日は2,687円/日です。

また施設形態や所属先にかかわらず、駆けつけを行った際には、別途「緊急出動手当」が支給されます。手当は定額あるいは時給制で、定額の場合の相場は1回あたり3,000~5,000円です。

参照元:公益社団法人日本看護協会|2014 年 訪問看護実態調査 報告書 

オンコール対応をするメリット

医療従事者がオンコール対応をすることにより、施設で働くスタッフや事業所の利用者・家族は安心感を得られます。では働く側にとっては、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは手当以外の面について紹介します。

医療従事者としてのやりがいが大きい

オンコールの電話がかかってくるのは往々にして、夜勤・休日対応をする介護スタッフだけでは対応や判断ができないときです。看護師のスキル・知識が必要な緊急事態に、適切なアドバイスや医療的ケアができれば、大きなやりがいを感じられるものです。また患者や利用者を救えることにくわえて、現場スタッフの不安を取り除く役目も果たせます。

夜勤や宿直と比べ自由度が高い

夜間の対応には夜勤や宿直を導入している事業所が大半です。宿直の場合は職場に出勤し、そこで待機します。もちろん自由にくつろぐことはできません。オンコール対応であれば、基本的に待機する場所の制約はありません。自宅でテレビを見ながら過ごしたり、趣味の時間を楽しんだりすることもできます。気を引き締めて過ごす必要こそあるものの、比較的自由な時間を過ごせる点は大きなメリットといえるでしょう。

オンコール対応をすることのデメリット

一方で、オンコール対応にはどんなデメリットがあるのでしょうか。オンコール対応がある職場への就職を考えている看護師は、自身の生活にどんな影響がありそうか、確認しておきましょう。

行動が制限される

オンコールの日は夜勤より自由に過ごせるといっても、電話はいつ鳴るかわかりません。“オンコールの日の過ごし方”の項目で紹介したように「遠出をしない」「飲酒をしない」「電話を肌身離さず持っておく」この3点を守り、緊張感を持って過ごしましょう。

オンコールのある職場を検討している看護師は、これらが自身にとって強いストレスや負担とならないか熟慮しておきましょう。自身の性格や生活スタイルと合わないようであれば、オンコール対応の頻度が高い職場は避けておくのが無難です。

睡眠がさまたげられる

オンコール待機中はふだん通りに睡眠をとるのはむずかしいでしょう。というのも眠っていても、電話が鳴ったらすぐに取らなくてはならないからです。眠りが深い人は電話の呼び出し音を大きくするなど、対策をしておく必要もあります。

また寝起きは頭が働かない人も多いことでしょう。そうした人は眠り込んでしまうことのないよう注意しながら過ごすことになります。自宅でリラックスできないのは、誰にとっても気分の良いものではありません。夜間に十分な睡眠をとれないことをストレスに感じる看護師にとっては、オンコール対応はマイナス要素になるでしょう。

オンコール対応は断れる?

オンコール対応ができないのであれば、採用面接時にその旨を伝えましょう。「オンコールのシフトに入れないと採用がむずかしい」と言われた場合は、オンコール対応の回数や当番を担う看護師の人数などを確認し、回数を少なくできないか相談するのも一つの手段です。

現在オンコール対応をしている看護師も、自身の体調や家庭の事情などの急な理由により、将来的にオンコール対応ができなくなることもあるでしょう。そうした際には、できるだけ早い段階で上長に相談することが大切です。早めに相談することで、代わりを見つけたりシフトを調整したりしてもらいやすくなるからです。

急な変更依頼は職場や同僚に大きな負担をかけることになります。職場の負担を軽減するためにも、急なシフト調整が必要な際は、早めに相談するよう心がけましょう。

よくある質問

ここからはオンコール対応についてよくある質問をピックアップし、解説していきます。すでにオンコール対応をしている看護師も、オンコール対応を検討している人も参考にしてみてください。

オンコール対応の日は不安で眠れない。どうしたらいい?

「眠っている間に電話が鳴って、電話を取れなかったらどうしよう」という思いから不安で眠れない看護師は少なくありません。とくにオンコール対応に慣れないうちは、多くの看護師が不安に感じるものです。とはいえ、先輩や同僚も多く通ってきた道。一人で抱え込まずに、身近な人に相談してみることをオススメします。

相談することで気持ちが軽くなる人もいれば、不安が解消されない人もいるでしょう。不安感やストレスが強いまま働き続けると、心身に大きな負担をきたします。深刻な不調につなげないためにも、働き方を見直しましょう。場合によっては、転職を検討するのもよいかもしれません。

労働時間として賃金が発生しない理由は?

オンコール待機中は、行動に制限はあるものの、労働時間とはみなされません。労働基準法の定める労働時間は「指揮監督下に置かれている時間」のことを指します。自宅での待機時間は指揮監督下ではないため、労働時間に該当しないのです。

ただし施設内で待機する場合は「指揮命令下に置かれた状況」です。実際に働いていなくても労働時間という扱いになり、これを「手待ち時間」と呼びます。

参考:労働基準法| e-Gov法令検索

まとめ

オンコール対応は緊急時の要ともいえるもの。医療従事者の腕の見せどころでもあり、やりがいを感じて取り組んでいる看護師も多くいます。同時に、心身への負担は切っても切れないものです。

現在オンコール対応をしていて「やりがいを感じられない」「体力的に厳しくなってきた」などネガティブな感情をいだく場合には、オンコールのない職場への転職を検討するのも選択肢の一つです。また「納得できる額の手当を得られていない」という人も、手当額を重視して転職活動を行う、あるいは夜勤のある仕事を探すのもよいかもしれません。

オンコールのある職場を検討している看護師は、オンコールによって得られる達成感と手当が自身にとってどの程度のプラス要素になるのかを考えてみましょう。プライベートへの影響などと合わせて総合的に判断することをオススメします。

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